自堕落な日々を過ごすことも多い、年末年始。特にダラダラと寝正月をむさぼった結果、年明けに体のコンディションを悪くする…ということも。とはいえ仕事始めはすぐに訪れる。どんな過ごし方をすれば、仕事に向けてスマートにコンディションを切り替えられるのだろう。快眠セラピストの三橋美穂さんに話を聞いた。

年明けのダルさの原因とは何?

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仕事始めのダルさ・気分の重さは付きものだけど、そもそもそんな身体の憂鬱はなぜ起こるのだろうか。

「おもに体内時計の乱れが原因です。体内時計は24時間より長く設定されており、毎日リセットされています。しかし昼近くまで寝たり、夜更かしたりする日が続くと、いわば“時差ボケ”状態になってしまうのです」(三橋さん、以下同)

海外旅行後と同じで、頭の中がボンヤリしたり、体がダルかったり、胃腸の調子が悪くなったりする。これが、長期休暇明けのダルさの正体のひとつなのだ。…やっぱり正月休みといえども、ダラダラと過ごしてはいけないの?

「いえいえ、そんなことはありませんよ。多くのビジネスマンは慢性的な睡眠不足状態にあります。長期休暇は、そんな“睡眠負債”を返すための良い機会。むしろ普段より長く寝て、しっかりと体を休めることは大切です」

なるほど。“寝正月”というとネガティブなイメージがつきまとうが、体に良い側面もあるということだ。

睡眠のプロが伝授!正月明けまでに整えるスケジュール

とはいえ、あまりにもダラダラ過ごしすぎるのはNGだとか。正月休み明けの仕事に合わせ、適度にダラダラするコツなどはあるのだろうか。

「仕事始めから逆算して2日前からを、整えるための期間としましょう。今年のお正月は5日から仕事始めの人が多いはず。普段6時起きのビジネスマンを想定して、睡眠のペースを組んでみましたので、参考にしてください」

元旦と2日は比較的自由に過ごしてOKだが、3〜4日は調整期間としよう。徐々に普段の時間に起きられるように睡眠時間を前倒しにしていく。また、このスケジュールで寝起きする以外にも大きなポイントが2つあるそうだ。

「最も重要なのは、“光”です。体内時計を調整するためには、太陽の光を浴びるのが効果的。
体内時計の調整には2500ルクス以上の光が必要なのですが、光量でいえば、たとえば晴天の日の直射日光は10万ルクスを超えます。明るい窓際なら、3000〜1万ルクス程度。でも、窓から2m離れると、1000ルクス以下に減ってしまうんです。
最も望ましいのは、散歩をして目一杯朝日を浴びることですが、窓際でスマホや新聞を読みながら1時間ほど過ごすと、遅れていた体内時計が前進して、調整できますよ」

これに加え、食事も睡眠を大きく左右する要因だという。3日以降はお酒を控えて、睡眠の質を高めるとベター。お酒は少量だと眠りが浅くなり、多量だと睡眠時間が長くなりすぎるという。ちなみに三橋さん自身は、カフェインが含まれるコーヒーも、普段から16時以降は飲まないように心掛けているのだとか。

なお、お正月にはベッドやコタツでダラダラと過ごす人も多いだろうが、これはあまり良くないそう。

「身体は体温が上がって始めて活動状態に入ります。横になった状態だと筋肉が緩んでいるので、体温が上がりません。また、体内時計の調整には、朝食を摂る必要もあります。“抹消時計”を“中枢時計”に合わせるのが、朝食なんです。窓際のベッドで横になりながら日光を浴びているだけでは、体内時計は調整されないので、注意してください」

正月三ヶ日を遊び尽くしてしまった…リカバリー方法はある?

お正月の過ごし方のコツをしっかりレクチャーしてもらったが、惰性とは抑えの利かない魔物。もしも直前まで自堕落に遊び尽くしてしまったら、どうすればいい?

「最後の手段ですが、“空腹の時間を長くして、体内時計を調整する”という方法があります。これは海外旅行などでの時差ボケに対して行う方法です。ハーバード大学の調査によれば、16時間何も食べない状態の後、朝食を食べると体内時間はリセットされることが報告されています」

つまり、上記のスケジュールに則れば、仕事始めの前日の4日の15時に夕食を摂ったら、翌5日7時の朝食まで、食事の間隔を空ける、ということだ。けっこうハードルは高いが、年始からバリバリ働きたいビジネスマンにとっては、押さえておいて損のないテクニックと言えるだろう。

毎年、仕事始めに鬱々とした顔で出勤しているアナタ。来年のスタートはしっかり体内時計を整えて、万全の状態で臨んでみては!?

三橋美穂さん
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て2003年に独立。現在は、全国での講演や執筆のほか、ベッドメーカーのコンサルティングなど、企業の睡眠関連事業にも広く携わる。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)、『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA)


文=向川 毅