年収はちゃんと上がっている?

昇進や転職など、10年も経てば仕事のスタイルが大きく変わる。

30代後半の世代は、プライベートにおいても、結婚や出産・育児、住宅購入などを迎えることが多いタイミングで、何かとお金が必要になる時期だが、はたしてこの10年で収入面はどう変化しているのだろうか?

同一のサンプルに長期間かけて行う調査はなかなかないが、リクルートワークス研究所が発表する「ワーキングパーソン調査(※1)」が参考になりそうだ。
 
今回は、「2004年の25~29歳の男性」と「2014年に35~39歳の男性」に関するデータを比較しながら、この世代に起きた変化を数値から探ってみたい。
 
まず、年収について調べてみよう。2004年(25~29歳)と2014年(35~39歳)の無回答を除く上位5位の年収をランキング化して比べてみた。長き不況でなかなか給与は上がらないといわれるが、年収分布のランキングを見ると、全体的には加齢とともに年収は上昇傾向にあるようだ。
 
●2004年(25~29歳)の年収
1位「300~400万円未満(28.9%)」
2位「400~500万円未満(22.8%)」
3位「200~300万円未満(11.2%)」
4位「500~600万円未満(9.6%)」
5位「600~700万円未満(4.6%)」

●2014年(35~39歳)の年収
1位「400~500万円未満(21.3%)」
2位「500~600万円未満(20.8%)」
3位「600~700万円未満(15.5%)」
4位「300~400万円未満(9.7%)」
5位「800~900万円未満(5.6%)」

平均年収で比べると、2004年(25~29歳)は385.7万円で2014年(35~39歳)は574.1万円で、190万円近く上がっている。

昇給したということは、重責ある仕事が?

役職の有無に関して調べてみると、2004年(25~29歳)は「役職にはついていない」と回答した人が74.6%だったのに対し、10年後の2014年(35~39歳)では、58.1%。

10年間で、約16%程度昇進する人が表れたということになる。

もちろん、「名ばかり管理職」が増えているという実態もあるので喜ばしい昇進であったか、この数値からは一概に言えるものではないが、それでも世代の年収が増えているという事実は素直に喜ばしいだろう。

職場環境への満足度は半減

職場環境についてはどうだろうか。

同様に、「就業形態への満足度」について比較してみると、2004年(25~29歳)は「とても満足している」「まあ満足している」と回答した“満足派”が86.9%だったのに対し、10年後の2014年(35~39歳)では43.7%と、約半分にまで激減している。

「職場への満足度」についても同様で、2004年(25~29歳)は「非常に満足している」「まあ満足している」と回答した“満足派”は73.3%だったのに対し、10年後の2014年(35~39歳)では、40.8%(2014年は「強くそう思う」「そう思う」回答者の合算値)。

同一の選択肢でないため、厳密ではないものの、こちらも就業形態への満足度同様に半減。給与は上がったものの、現状に満足、という訳ではないらしい。

ひょっとすると、労働時間が長時間化しているのだろうかと思い、実労働時間を比較すると、2004年(25~29歳)の平均労働時間は48.8時間/週。それに対し、10年後の2014年(35~39歳)は、47.0時間/週。

ブラック企業やワークライフバランスという言葉が世に喧伝されたこともあってか、労働時間は改善している。
 
年収も上がり、労働時間も短くなった。すると、思い浮かぶのは人間関係か。職場の組織構造をのぞいてみよう。

40代以上が増え、下の世代が減る職場

そもそも現在の35~39歳世代は、職場にどのくらいいるものなのか。参考までに職場の年齢分布(男女)を2004年と2014年で比べると、以下の通り。

日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、昨年9月過去最高の26.7%となり、日本が超高齢化社会に突入したことはすでに多くで報じられているが、組織も高齢化が進んでおり、特に40代以降が増加していることが改めてわかる。

35~39歳より上の世代は、バブル~団塊ジュニア世代。人口も多いだけに、こうなることは仕方のないことではあるが、上世代が多いほど、出世や昇進の機会が少なくなるだけでなく、自分たちの評価につながるような“おいしい”仕事は回ってきにくい。

また、ある程度仕事でひとり立ちし、自分で回せるようになったにもかかわらず、いつまでも上の世代からあれこれ言われるのは面白くないだろう。

こうした鬱屈した思いが、満足度低迷を助長しているのかもしれない。

交友関係・恋愛観も真面目化している?

ところで、プライベートについて、何か変化は? 特に気になるのは、交友関係や恋愛観。これについては、博報堂の「生活定点」(2006年と2016年を比較)を参考にした。

今回は、現在の35~39歳が20代だった2006年と、それから10年後の2016年、つまり現在を比較し、交友関係や恋愛観の変化を探る。

まずは、交友関係から見てみよう。(矢印右が2016年の数値)
 
Q.自分は誰とでも友達になれる
40.1% → 25.6%

Q.友人が多ければ多いほどよいと思う
51.6% → 27.6%

「友人は多ければ多いほどよいと思う」「自分は誰とでも友達になれる方だ」という項目では、どちらも激減。誰とでもオープンにフレンドリーというより、狭く深くの友達付き合いが、この世代の“今どき”なのかもしれない。

では、恋愛観はどうだろう。

Q.いくつになっても恋愛していたいと思う
44.6% → 32.4%

Q.異性の友人とエッチな会話をすることに抵抗はない
49.0% → 34.6%
 
「いくつになっても恋愛していたいと思う」の項目では、20代の頃には44.6%もの人が賛成していたが、30代になると32.4%に減少。また、「異性の友人とエッチな会話をすることに抵抗はない」と答えた人は、49.0%から34.6%まで数値が下がっている。
 
現代では、スマホやタブレットなどの通信機器が普及し、FacebookやTwitter、LINEをはじめとするSNSでの交流も盛ん。
しかし意外にも、10年前に比べ、交友関係や恋愛観はどんどん真面目になっている印象を受ける。
 
年齢的に、様々な経験を重ねてきたであろうこの世代。その経験から学び少し落ち着いたのか、はたまた、いわゆる“草食系”が増えたのか…。いずれにせよ、恋愛も交友関係も、閉鎖的になってきたことだけは間違いなさそうだ。
 
10年の月日が時代を変え、人の意識や環境も変える。今回の考察で、それがよくわかった。当然、今後も様々な事が変化していくだろう。その変化に適応する能力を身に着けることも、重要になっていくのではないだろうか。


文=明日陽樹/考務店



(※1「ワーキングパーソン調査」=2年に1度、首都圏50km範囲で働く18~59歳の男女を対象に、就業形態や転職経験、年収、残業の有無、仕事の満足度など、おもに仕事に関する内容を中心に働く人たちの実態を調べるというもの)