タイプ別でわかる、それぞれの快眠への道

これまでの4回では、睡眠のメカニズムと理想的な睡眠を手に入れるための方法について考察してきた。ラストを飾る第5回では、一人ひとりの睡眠がどのような状況にあるのかを簡単にチェックできるチャートと、改善のためのアドバイスを用意した。

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【A】を選んだ人は、ストレス不眠タイプ!
睡眠時間が足りず、しかも夜に眠れないという人は、精神的なストレスがないか考えてみよう。胃痛がある人、つい暴飲暴食してしまう人はとくに気をつけたい。

脳のなかで睡眠のリズムをコントロールする場所は、ストレスを感知する場所と同じだと言われている。つまり、ストレスが増すと睡眠サイクルも乱れやすくなる。そして睡眠サイクルが乱れると、今度はストレスへの耐性が弱くなってしまう。その結果、うつ病になることもあるそうだ。

まずはストレスの原因を探り、そこから解決策を見出そう。もし自分だけでは対処できないと感じたときは、医師を頼るのも手だ。

【B】を選んだ人は、非効率不眠タイプ!
単純に睡眠時間が足りないと感じている人は、今の状況からいかにして睡眠時間を捻出するかを考えてみよう。もしムダに夜更かしをしていたり、ダラダラと仕事をしたりしているのであれば、睡眠は次の日のパフォーマンスに関係することを意識して、睡眠時間を増やす努力をすべきだ。

こうした努力のうえで、それでも睡眠時間が足りない人は、睡眠の質を最大化することを目指してほしい。戦略的に睡眠を取るという、攻めの姿勢が睡眠の改善につながるはずだ。


【C】を選んだ人は、悪習慣不眠タイプ!
睡眠時間は足りているが、眠りの満足度が低いと感じている人は、不眠につながる悪い習慣がないか確認してほしい。

「昼夜問わずコーヒーを飲んでいる」
「就寝前の晩酌は絶対だ」
「夜遅くに晩御飯を食べている」
「帰宅中の電車で眠ってしまう」
「夜にコンビニへ行くことが多い」
「熱い風呂が好きだ」
「深夜0時を過ぎてからランニングをすることがある」

これらは、すべて睡眠の満足度を下げる原因になる。複数項目にチェックがつく人は、まず自身の生活スタイルから見直してみると、心地よく眠れるようになるかもしれない。


【D】を選んだ人は、隠れ不眠タイプ!
睡眠時間は足りていて、よく眠れている。それなのに日中に眠気があるという人は、もしかしたら“隠れ不眠”かもしれない。

ベッドに入ると1分も経たずに眠ってしまう場合は、十分な睡眠ができていない証拠。もう一度、睡眠時間や眠りの質について考察してみるべきだ。本連載をもう一度はじめから読み直してみると、快眠への手がかりが見つかるはず!


【E】を選んだ人は、睡眠完璧タイプ!
日中に眠気もなく、現在の睡眠状況にも満足している人は、「自身に最適な睡眠とは何か?」を理解している睡眠マスター。現状では何も問題ないだろう。とはいえ、睡眠時間は加齢とともに変化していく。微調整を繰り返しながらキープしていくように心がけよう。


【F】を選んだ人は、悪環境不眠タイプ!
日中に眠気がないにもかかわらず、満足のいく睡眠ができていないのであれば、睡眠環境に目を向けてみるといいかもしれない。

部屋は片付いているか。枕やマットレスは自身の体と合っているだろうか。部屋のカラーはリラックスできるものだろうか。寝室をもう一度見回してみながら、できるところから改善していくといいだろう。

また、就寝前にストレッチをすると、体の緊張がほぐれるのでリラックスして眠ることができる。

ビジネスマンにとって睡眠管理は重要なスキル

さて、全5回にわたってお送りしてきた本連載だが、話を伺った友野なおさん、裴英洙さん、三橋美穂さんの3名の睡眠のスペシャリストから共通して話題に上ったのは、日本がまだまだ仕事の質より量を追い求める社会的体質だということだった。外資系企業の影響もあり、徐々に量より質という価値基準が浸透しつつあるが、それでも日本はまだ高度経済成長期の働き方を引きずっているわけだ。ただ、このままの状態でいいわけではない。

これからリーダーとして活躍していくビジネスパーソンには、部下の業務だけでなく、睡眠をマネージメントしていく必要が出てくる。『ハフィントン・ポスト』の創設者として有名なアリアナ・ハフィントンが、過労で倒れたことをきっかけに睡眠の重要性について訴えはじめたのと同じように。

そのときのために、まずは自分に最適な睡眠をすぐにでも見つけてみよう。それが将来の投資にきっとつながるはずだ。



■取材協力者プロフィール



友野 なお
睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役、科学でわかる ねむりの環境・空間ラボ主催。順天堂大学大学院博士前期課程にて睡眠を研究。日本睡眠学会、日本睡眠環境学会に所属。著書に『ぐっすり睡眠!疲れとり足首ウォーマー』(KADOKAWA)、『やすみかたの教科書』(主婦の友社)

裴 英洙
医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なっている。著書に『一流の睡眠』(ダイヤモンド社)、『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)

三橋 美穂
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て2003年に独立。現在は、全国での講演や執筆のほか、ベッドメーカーのコンサルティングなど、企業の睡眠関連事業にも広く携わる。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)、『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA)



文=村上 広大(EditReal)
イラスト=浜名 信次(Beach)