最近、スマホゲームに夢中な大人たちをよく見かけるが、その一方でアナログなボードゲームにハマる大人が増えているという。
デジタル全盛期の今、なぜボードゲームなのか? 

行列ができるボードゲームカフェ

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行列ができる渋谷のボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE渋谷店」。

世界中から集められた600種類以上のゲームが1人1500円から5時間、遊び放題だという。置いてあるゲームは、全て電源を使わず、卓上で遊べるゲームだという。
心理戦を楽しむボードゲームを楽しむ30代の男性グループや、様々な人々が楽しむこのカフェ。

若い男女のグループが楽しむゲームは「あてっこついたて」という日本人考案のゲーム。
お互いに質問をしながら、自分には見えないように建てられたカードに書かれている単語を推理して当てるゲームだ。
笑い声とともに大盛り上がりだった。

人との関わりが魅力

東京・中野にある、ボードゲームカフェ「DEAR SPIELE」で、同じテーブルで楽しんでいる男女に話を聞くと、お互い初対面で名前も知らないという。
別のテーブルで親子に見える2人に話を聞いてもお互い「初めまして」の関係だそうだ。

しばらく取材を続けていると、男性3人がゲームを始めようとするところに20代の女性が合流。意外にもすんなり入って、ゲームを楽しんでいる。

「まずこの辺を取り除くのが大事なんですよね」
「『治療』に専念してもらいたいのがあると思うので」
「衛生兵を感染が危険な地域に」
「黄色が3枚になりました」
「あっ、いいですね。じゃあ2枚ここ」

などと議論が白熱。

このゲームは、大人気の「パンデミック」というゲームで、各々が医療研究チームの一員となって、世界中に蔓延する感染症の根絶を目指す「協力型」のゲームだという。
力を合わせることが重要なため、初対面でも目的達成のため、1つになれるようだ。

女性客に初対面でも楽しめるのかどうか話を聞くと、「ちょっと緊張はしてますが、楽しいです」とコメント。

一緒に遊んでいた40代の男性は「一緒にゲームをしている若い人は、何だこのクソじじいって思ってるかも」などとおどけるが、周りのメンバーは年齢など関係なく歓迎しているようだ。

店内で他のゲームに興じていた、元教員だという男性は「デジタル機器ってのは、自分の中に埋没しちゃうんですよね。電車の中だとみんなスマホに向かっているでしょ。『隣は何をする人ぞ』じゃないですか。ボードゲームは1つのボードを皆で囲んで、人との関わりが楽しいところですよね」とアナログなボードゲームの魅力を話していた。

企業の人間関係にもボードゲームが活躍

『人と人の関わりを生む』そんなボードゲームの特徴を活かしている場所があると聞き、取材に訪れたのはビジネス系のホームページを運営するIT企業「Wantedly」。


夜7時すぎ、帰宅前に集まってきた社員達は「ボードゲーム部」のメンバーで、オフィスの一角に置いてある多数のゲームを週1回ほど、遊んでから帰るという。

この日ボードゲーム部のメンバーが楽しんでいたのは「エセ芸術家ニューヨークへ行く」というゲーム。

テーマを決めるのは出題者。
この日のテーマは「乗り物」で、お題は「タクシー」と決まった。

出題者が事前にメンバーに配る手札には、お題の「タクシー」と書かれた札が配られるが、1枚だけ「×」と書いた札があり、「×」が配られた人だけお題が分からない「エセ芸術家」になる。

それぞれ違う色のペンで、一枚の紙にお題の「タクシー」の絵を一筆ずつ描き進めていき、誰が「×」の札を配られたエセ芸術家なのかを当てる「推理」のゲームだ。
1つの紙にそれぞれが2回ずつ一筆を描いて終了。洞察力が問われるゲームだ。


「俺は絶対、ピンクさんが×だと思う」
「ピンクさんじゃないよ」 
「ピンクさんが絶対×を配られたエセ芸術家。エセ臭がプンプンする」
「じゃあそろそろ犯人当てに…。エセ芸術家だと思う人を指差してください。せーの」

などと大盛り上がり。

メンバーはボードゲームを通じて、相手の人間性がわかり、その人への接し方もわかるという。

また、ボードゲームをきっかけにお互いの仲も良くなり、IT企業というどうしてもパソコンとばかり向き合う時間が多い環境の中で、先輩後輩の垣根を超えた円滑な人間関係が生まれてきたそうだ。

デイサービスでボードゲームを通じた関わり合い

東京国立市にあるライフタイム国立デイサービスセンターでは、ボードゲームを楽しむシニアの姿が

これは「地獄の釜」というボードゲームで、点数が書かれたコインをめくり、なるべく多く点数を獲得していくもの。

数あるコインの裏には悪魔の姿が描かれたものがあり、それをめくると、これまでとったコインが没収されるというシンプルなものだが、皆大はしゃぎ。

ゲームを楽しんでいた85歳の女性はゲーム版を見ながら「ほんとに地獄にこんな釜があるのかどうかね。帰ってきた人いないから分かんないもんね」とブラックジョークを飛ばす。

平均年齢87歳のおばあちゃんたちが大盛り上がりするこのボードゲームを、なぜ導入したのか施設の職員に聞くと「やはり高齢者は、家に篭ったりすることが多いので、対面で人と顔を合わせてゲームをやって、笑顔が起こって、会話が起こるというのは凄いことだと思う」とその魅力を語った。

人と顔を合わせるからこそ、笑顔が生まれる。

ボードゲームは、大切な事を思い出させてくれるようだ。


(『とくダネ!』12月13日放送分より)