高齢者ドライバーの認知機能の低下が背景に

オオシバくん:
最近、また、交通死亡事故のニュースが多いよね?

平松デスク:
確かに、10連休前ぐらいから高齢ドライバーによる事故、飲酒事故、暴走事故が多発したよね。
特に、何度もニュースで取り上げられているけど、近年、高齢ドライバーの事故は深刻さ。
去年1年間に、75歳以上のドライバーが起こした死亡事故は460件で、おととしと比べて1割も増えたんだ。
交通死亡事故は件数も死者も過去最少だった。
ずっと減少傾向にあるにもかかわらず、高齢ドライバーによる死亡事故は増えているから問題なのさ。
しかも、事故原因の3割は、アクセルとブレーキの踏み間違えなどの操作ミスさ。
とっさに踏むペダルや信号の色を判断したり、理解できなかったといった、お年寄り特有の認知機能の低下が背景にあると考えられているよ。
高齢化社会がさらに進み、高齢ドライバーも増えていけば、さらに深刻な自体になりうるよね。だから危惧されているのさ。

最も交通事故を起こしたのは40代

「ヒラマツカイセツ」動画より
「ヒラマツカイセツ」動画より
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オオシバくん:
でも、最近、起きている、悲惨な交通事故は、高齢者が運転していなかったものもあるよね?

平松デスク:
確かに、大津市の事故も、宇都宮市の事故も、高齢ドライバーじゃなかったね。
どうも勘違いしている人が多いようだけど、実は、事故を起こしている人の大半は、お年寄りじゃないよ。
去年1年間に、日本国内で起きた交通死亡事故は3449件。
このうち75歳以上が起こした事故は、およそ15%。
と言うことは、残りの死亡事故はお年寄り以外が起こしているんだ。
最も交通事故を起こしているのは40代で532件、2番目が50代の494件さ。
当然のことだけど、ハンドルを握る機会の多い人たちの方が圧倒的に事故を起こす頻度も多いということ。
となると、事故の原因も変わってくるんだよ。

事故原因で最も多いのは「漫然運転」

「ヒラマツカイセツ」動画より
「ヒラマツカイセツ」動画より

オオシバくん:
それはどういうこと?

平松デスク:
さっきも言ったけど、高齢ドライバーによる死亡事故は、運転ミスが最も多かった。
ところが、全体で見ると、そうじゃないんだ。
事故原因で最も多いのは『漫然運転』というやつさ。
あまり聞きなれない言葉かもしれないね。
よそ見をしていたとか、安全を確認していなかったとかじゃなくて、ぼんやりと、何か考え事をしながら、漫然と運転していて事故を起こしたということ。

そんな事故原因があるの?と驚かれるかもしれないけど、これが多いんだ。
去年の死亡事故の原因別で見ると、飲酒運転が10件、信号無視が113件、スピードの出しすぎは133件、運転ミスが原因は412件、
これに対して漫然運転は518件にものぼっている。
実は、昔から、ずっと、死亡事故の原因トップは漫然運転なんだ。
高齢ドライバーの事故、運転免許証自主返納ばかりに目が行っているけど、お年寄りじゃなくても、誰だって事故は起こす、漫然と、集中していない状態でハンドルを握ると死亡事故につながる、ということをみんな、肝に銘じてほしいね。

【解説:フジテレビ 社会部デスク 平松秀敏】

平松秀敏
平松秀敏

『拙速は巧遅に勝る』。テレビ報道は、こう在るべき。
『聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥』。これが記者としての信条。
1970年熊本県出身。県立済々黌高校、明治大学卒。
95年フジテレビ入社。報道カメラマン、司法・警視庁キャップ、社会部デスクを経て、現在、解説委員。
サザンオールスターズと福岡ソフトバンクホークスをこよなく愛する。娘2人の父