天皇陛下の皇位継承に伴い、2019年秋に行われる「大嘗祭」。そこで使うお米の産地を占う儀式が13日、皇居で行われた。産地はどこに決まったのか。
お米の産地はどう決まる?
この記事の画像(10枚)13日午前10時前、黒い装束に身を包んだ宮内庁の職員が、木箱を持ち、斎舎と呼ばれる施設に向かった。秋に天皇陛下が即位後初めて、国民の安寧や五穀豊穣を祈られる「大嘗祭」。
「斎田点定の儀」は、この「大嘗祭」で神々にお供えするコメを育てる「斎田(さいでん)」と呼ばれる「神聖な稲田」を選ぶ儀式だ。この「斎田」を選ぶために、アオウミガメの甲羅を火で炙った際にできるひびの入り具合で産地を決める「亀卜(きぼく)」と呼ばれる占いが行われた。
甲羅を加工した職人さんに聞いてみた…
こちらは、「亀卜」用に加工された、アオウミガメの甲羅。アオウミガメの甲羅の輸入は、ワシントン条約で禁止されているため、宮内庁は、国内でアオウミガメの捕獲が認められている東京・小笠原から調達した。さらに宮内庁は、江戸時代から続くべっ甲細工「伊勢屋」の六代目・森田孝雄さんに甲羅の加工を依頼した。
こちらは、加工される前のアカウミガメの甲羅の写真。アオウミガメの甲羅は、占いで使用される形に切り出され、わずか1.5ミリの厚さまで削られる。
べっ甲細工「伊勢屋」の六代目・森田孝雄さん:
大変なのは薄くなるまで削るでしょう。その後きれいにしたいんだけど(甲羅が)固いんですよ、コンマ5(0.5ミリ)を削るのに3時間ぐらいかかっていた
(甲羅の加工は)1枚作るのに1日半くらいかかった。うまく儀式が滞りなく終了すれば、ある程度役に立ったのかな、お手伝いさせてもらえたのかな、ということですよね
占いの結果は・・・
都道府県を東の「悠紀地方」、西の「主基地方」に分け、それぞれから一つずつ選ばれる斎田。13日の占いにより栃木県と京都府が選ばれ、結果は、宮内庁長官を通して陛下にも伝えられた。選ばれた両府県の知事は・・・
栃木県・福田富一知事:
どこに持っていっても自慢できるおいしい米が県内各地でとれている。県民一人一人にとって大きな励みにつながるのではないかと
京都・西脇隆俊知事:
秋には滞りなくお納めできるようしっかり取り組んでいきたい
今後、宮内庁の協議で、「斎田」の具体的な場所や生産者が決まる見通しとなっている。
気になる占い方法は?
佐々木恭子キャスター:
今回使われたカメの甲羅の原寸大を用意しました。
将棋の駒の形をしています。縦は24cm、横は15cm、厚さはなんと1.5mmまで削るんです。
加藤綾子キャスター:
1.5mmまでですか!
佐々木キャスター:
あのカメの甲羅を1.5mmですからすさまじい努力だと思います。
風間晋解説委員:
それでひびが入りやすくなるのでは・・・?
佐々木キャスター:
前回の儀式に携わった三木善明さんに、どのように占いをするのか聞きました。
アオウミガメの甲羅を竹のお箸でつまんで、火にかざします。
そして、水をかけてできたひび割れによって吉か凶か占うのだそうです。
さらに考古学に詳しい國分篤志さんによりますと、甲羅を火にかざす際に
「ト」・「ホ」・「エミ」・「カミ」・「タメ」という呪文を唱えるのですが、これは火にかざす「方向」を表すそうなんです。「ト」は下、「ホ」は上、「エミ」は右、「カミ」は左、「タメ」が中央で、この呪文を唱えながらそれぞれの方向に意味があって火にかざしながら動かすんだそうです。この儀式、なんと奈良時代頃から始まっているそうですよ。
加藤キャスター:
どういう風にひびが入ったら、場所はどこか、ということは詳しくは分からないんですよね。
佐々木キャスター:
その詳細は明らかにされていないんです。
加藤キャスター:
今後宮内庁と自治体が協議して実際にどこでお米を作るか決まっていくということです。
(「Live News it!」5月13日放送分より)