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基本情報とニュースのおさらい

2025年に大阪万博の開催を目指す誘致委員会が旗揚げされた。トップには74歳の榊原定征経団連会長が就任。会長代行には森詳介関西経済連合会会長(76)と、大阪府の松井一郎知事(54)が名を連ねる。東京で開かれた発足式にはお笑いコンビ「ダウンタウン」の2人(共に53)が登場して会場を沸かせたが、果たして大阪万博はうまくいくのか?古市憲寿(32)が2人の専門家に話を伺った。

社会学者 古市憲寿:
無理そうっていうか意味がなさそう。1970年の大阪万博は、明るい未来を見せる希望の祭典だったんですけど、財政赤字がひどい大阪っていう町で万博をしたところで、自分の足元なんとかしろよって思うんですけど。

Twitterには「東京オリンピック、大阪万博、懐古趣味の老害だな」って意見が来てます。確かに、昔は良かったって言ってそうな人たちが、やってる気がしますね。中心メンバーは、子どものころ万博に行ったような年配の方が多いようです。

大村晟アナウンサー(25):でもプラスの面も少なからずあると思いますけど。

古市:まあ関係者が潤うんじゃないですかね。

70年万博の成功が忘れられない

ジャーナリスト 吉富有治さん

大阪万博は、そもそも作家の堺屋太一さん(81)が、2~3年ほど前に言い出したんですよ。堺屋さんは大阪府と大阪市の特別顧問で、70年の万博に関わった人なんです。多分この成功体験が忘れられないんでしょうね。

万博だけじゃなく、お祭りが好きなようで、堺屋さんが参加している大阪府と大阪市の会議では、大阪城に10万人呼んで盆踊り大会を開こうとか、ゲーム大会を開こうとか、なんかそういうちょっと首をかしげたくなるような話ばっかりしているそうです。大阪万博はその延長なんですね。それに当時の橋下市長(47)が声をあげ、松井知事が引き継いだという流れです。

会場は「大阪の負の遺産」

大阪万博はどこでやるのかというと、大阪湾のベイエリアにある「夢洲(ゆめしま)」という埋め立て地なんですが、ちょっと「いわくつき」の土地なんです。

80年代の終わりに大阪市がベイエリアを開発して企業が集まる経済の拠点を作ろうとしましたが、バブルがはじけてぺんぺん草が生えちゃった。これが元で大阪市は莫大な借金を背負うことになるんです。

2001年になると、今度は大阪にオリンピックを誘致して「夢洲」を選手村にしようと計画するんですが、ふたを開けてみたら、たしか当時日本は最下位だった。言ってみれば大阪市の負の遺産なんですね。

そこに大阪維新の会が現れて「都構想」で経済の活性化を図ろうとしたんですが、都市の制度をいじったところで簡単に経済が発展するもんじゃない。そこでカジノであるとか万博であるとかを持ち込んできたというのが本当のところなんです。2020年の東京五輪とカジノと万博という流れで、なんとか大阪の経済を活性化しようという「はらづもり」があるんですね。

万博のテーマも問題

あとはテーマが問題でしょう。70年万博のテーマは「人類の進歩と調和」でした。今予定しているテーマは「未来社会」で、その前には「健康と長寿」っていうのもありました。これはたしか松井知事から出たもので、会場を24時間オープンするとか言ってたんですけど、健康と長寿のためなら早く寝た方がいいだろ!って私なんか思うんですけどね。

まあちょっと漠然としすぎているので、よくよくテーマを練ってパビリオンや催しを考えないと、先に万博の開催を表明しているフランスに負けてしまうでしょう。

万博の価値が落ちている

経済ジャーナリスト阪南大学常任理事  堀浩司さん

これまでの万国博覧会というのは、「未来」を私たちに伝えてくれました。1853年のニューヨーク万博では、「二階まで人を押し上げる板」という呼び方で、エレベーターが展示されました。1878年のパリ万博では、エジソンの蓄音機から聞こえる人の声にみんながびっくりしました。つまり今まで体験したことないものをみんなに知らせて、そして経済産業を発展させていこうというのが万国博覧会だったんですね。

1970年の大阪万博は、開催の2年前に日本がGNP(国民総生産)で西ドイツを抜き世界第二位になって、まさにこれから世界に日本をアピールしようとした時代でした。しかし最近は情報化が進んだおかげで、次世代の技術や外国の事もすぐに誰でも分かるようになり、万博の価値そのものが以前とはだいぶ変わってきています。

アメリカ・イギリスにもそっぽを向かれる

例えばアメリカは2001年に、万博を取り仕切る博覧会国際事務局から脱退しています。なぜかというと、わざわざ万国博覧会に出展してアピールするのは効率が悪い、企業や州などが出展することはあっても、国としてはもう出ないというんです。

また2025年万博にはイギリスも手を挙げていたんですが、「万博開催は、納税者にとって金額に見合う価値はない」として辞退しています。今や万国博覧会を開く意味そのものがだいぶ低下しているのではないかと思います。

万博で技術は向上しない

2025年大阪万博の経済波及効果は6兆4000億円だと言われています。確かに会場建設には1200~1300億円、地下鉄の工事などで700億円という工事が発生しますから経済効果は期待されるんですけれど、実は消費が増えるわけではありません。例えば、みなさんが万博に行くのにお金を使ったら、ほかの部分に使うお金を我慢しますよね。つまり今まで以上に消費が増えるわけではないんです。だからいくら経済効果があると言っても、全体から見ればあまり意味をなさないのではないかと思います。

万博そのものの地位が下がっている今、万博開催によって技術が上がるという事は考えられないことだと思います。むしろ今の日本は、人口が減少する一方で人工知能が発達してきて、その中で技術が進歩していくのではないでしょうか。

古市憲寿のまとめ

古市:堺屋さんは、「インターネット万博」やら「つくば科学万博」やら、本当に人生が万博ばっかりで楽しそうなんですよね。あの人はネタが尽きると万博って言い始めるんですよ。

ある時代に万博が有効だったのは本当だと思うんですが、今日お二人がおっしゃっていたとおり、ネットで何でも見られる時代に本当に万博をやる必要があるのかって言うと、ちょっとまあどうなのかなって思います。「ダウンタウン」のお二人はどんな気持ちで発足会に出たんでしょうか?

大村:「松ちゃんの本音が聞きたい」という意見もお寄せいただきました。

古市:ぼくは今から2年ぐらい前、愛知万博(愛・地球博)の跡地に行ったんですれど、ボロボロになったモリゾーとキッコロが置いてありました。

大村:うわ~切ない!

古市:洗濯もなにされてない汚いままで展示館の前に置いてあったの。

大村:え~、鮮やかな緑色だったモリゾーとキッコロが…枯れちゃったんですかね。

古市:万博ってやってもいいけど後が大変ですよね。