“リアル店舗離れ”が進むニューヨーク5番街

アメリカ・ニューヨーク5番街
老舗デパートや高級ブランドが立ち並ぶ、世界有数のショッピングストリートは今、空き店舗が目立つようになっている。

ニューヨーク5番街
ニューヨーク5番街
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ここ数年、ラルフローレンやGAPなど、有名ブランドの撤退が相次ぐ5番街。
その背景にあるのが、アマゾンをはじめとするネットショッピングの台頭

アメリカの2018年のネット販売率は14.3%で、10年前の5.3%に比べ、3倍近くに増加。
その影響で、“リアル店舗離れ”が急速に進んでいるという。

ニューヨーク5番街
ニューヨーク5番街

「PSFK」コンサルタントのスコット・ラシュット氏:
(店舗が閉じている) 原因の一つは、ネットショッピングの上昇です。早くて便利、効率がよく買い物をするのにお店に行く必要がなくなっています

「PSFK」コンサルタントのスコット・ラシュット氏
「PSFK」コンサルタントのスコット・ラシュット氏

ネットと実店舗が融合した「体験型店舗」

こうした中、新たな形態のリアル店舗がニューヨークで話題になっている。

まるでSF映画のようなVRゴーグルを装着して店内をめぐる女性や、アート感覚いっぱいのトンネルのようなすべり台で写真を撮り合う女性たち。

『ショーフィールド』店内
『ショーフィールド』店内
『ショーフィールド』店内
『ショーフィールド』店内

来店客:
内装を全て見てきたわ。この滑り台を下りてきたんだけど、かっこよかったわ。ちょっと怖いけど、かっこいい!

2018年12月にオープンした、自称「世界で一番面白い店」とうたう、ショーフィールドは、4階建ての建物に、スタートアップ企業や今まで店舗を持たなかったネット企業など、40以上のブランドが集まっている。

お店はわずか5畳ほどのスペースで、商品のほか、オブジェなどが飾られていて、写真を自由に撮影できる。
インスタ映えする小さなショールーム『 ショーフィールド』は、最新の個性派ブランドとアートが楽しめる体験型デパート

来店客:
楽しいプレゼンテーションで見せていて、それがすぐ買えるというのがすごく面白い。“新しいモノ”みたいなくくりでいろんなものがあるのがすごく楽しいです

一方、資金などの問題で大掛かりな実店舗を出せなかったブランドにとっても、ショーフィールドは、顧客と直接触れ合うことができる重要なスペース。

バッグ店「クレイ」オーナーのサラ・クレイさん:
ここに出店するのが大好きです。より近い距離で客と関わることができる。そこでブランドストーリーを伝えることができる。ここにいれば、ほかのブランドとのコラボレーションができ、いつもとは違う客層に宣伝ができる、そして経験してもらえる

バッグ店「クレイ」オーナーのサラ・クレイさん
バッグ店「クレイ」オーナーのサラ・クレイさん

ネットと実店舗が融合したショーフィールド。体験型店舗への関心が高まっている。

自分の価値観に合う「スモールブランド」の勢い

三田友梨佳キャスター:
ショーフィールドは一体何が人を惹きつけると思いますか?

経営コンサルタント・森田章氏:
少量多品種で、個性的な商品であるスモールブランドの勢いをショーフィールドはうまく取り込んでいると思います。

経営コンサルタント・森田章氏:
ボストンコンサルティンググループの調査では北米における日用消費財の売り上げとしてスモールブランドが全体の成長を大きく牽引していると。メガブランドが持っている最大公約数をターゲットにした安心のブランドに自分を合わせるのではなくて、自分の価値観に合うスモールブランドを選ぶ傾向が、消費欲の旺盛な若者を中心に強まってきていることが背景にあると思う

経営コンサルタント・森田章氏:
また、スモールブランドの価値観が気に入れば高く買うことも厭わないし、さらには勝手に情報も発信してくれる。大量生産、大量消費によって価格を引き下げてきたメガブランドの対抗軸になってきていると思っています

三田友梨佳キャスター :
スモールブランドの成長は今後も続いていきますか?

森田章氏:
スモールブランドを作るには資本力はあまり必要なくて、むしろアイディアが必要なので身軽なスタートアップが得意だということ。そうゆう意味でメガブランドがむしろスモールブランドを取り込もうと合従連衡を考えている局面にあるのかなと思います。

(「Live News α」7月10日放送分)