思い込みを持たず、個人個人の違いを知る

大阪「市場ずし」で韓国人と見られる観光客が大量のわさびが入った画像を投稿し、ネットが炎上。すし店の運営会社が「差別的な意図はなかった」と謝罪した。すし店では多くの外国人観光客がわさびを要望するため、事前確認せずサービスとして大量のわさびを入れていたが、現在は外国人客にはわさびを別添えして提供しているという。

古市は、「日本でわさびを食べ慣れている人でも、わさび増量を要望するのはあまり聞いたことがない。外国人客はそんなに増量を要望するのだろうか? 個人差があるので、外国人全員に対してわさびを増量するのは嫌がらせと思われても仕方ないようにも思う」と疑問を呈す。

碓井 真史氏

これに対して碓井氏は「最初は悪意なのかと思ったがそうではなくサービスとしてだった。この事例は“あるグループに属する人は全員そうだろう”と思い込む『ステレオタイプ』の行動だ。われわれ人間はつい単純な思考(ステレオタイプ)で考えがちで、無意識に偏見や差別をしてしまう」と語る。

そのうえで、「お店側も外国人とのコミュニケーションが苦手で、手間ひまかけて個人の意見を聞くのではなく、安易な方向に走ってしまったのではないか。謝罪文も、お騒がせして申し訳ないという内容だけで、単純な思考回路だったと考えてもらえていないのが残念」と指摘した。

古市が「何がこれだけ騒ぎを大きくしたのか? こういった事件で私たちはどう対応すべきか?」と質問すると、碓井氏は「人間は偏見差別をしてしまうものなので、こういう事例があるたびに、個人個人を見ていかなくてはいけないとみんなで意識すべき。ヘイトクライムの活動をする人のなかには陰謀論など極端な意見を語る人がいるが、彼らを過剰に攻撃するのではなく、冷静に伝え、憎悪の増幅が起きないようにし、日本人は本来好意的なのだと内外に示すことが必要だろう」と語った。

外国人とのつきあい方を考える

是松 孝典氏

一方、是松氏は「なぜこんなことで騒がれるのか? 韓国ではあまり慣れ親しまれていないが、ヨーロッパでは今、わさびが大人気で熱愛する人も多い。大阪のすし店の対応は決して間違いではない。日本らしいホスピタリティが過剰だったのだろうか。日本らしく、忖度(相手を推し量って)して、思いやりとして行ったというのが本当のところではないか」と主張する。

是松氏は、とくに日本企業は外国人とのトラブルが起きやすいと語る。

「日本人は海外の宗教や文化の違いに戸惑うことが多い。ビジネスでも、相手の国の宗教の戒律や国どうしの関係、習慣、行事など、気を遣うべきことが多く大変。心がけとしては、余計なことをしないこと。日本式に考えるのではなく、わかりやすいルールを示すのが良いのではないか」

また経営コンサルタントの視点から「飲食店業界は全体的に人手不足なので、個人個人にきめ細かい対応をするのは難しい。飲食店の人手不足は今後も続くだろう。また、日本人と外国人を分けて対応するのもコストがかかる。差別にもコストがかかるということ。コストとサービスの兼ね合いが問題だ」と語った。

日本人らしい発想では通用しないこともある


古市はこの事件に対し、「わさびが流行っているということもあるので嫌がらせではないのかもしれないが、外国人一般はこうだという区切りをしたことは差別だったかもしれない。すし店の謝罪は、何でこういうことが起きたのかを根っこから考えてほしかった。日本人らしく忖度するのではなく、始めから店のスタイルを示しておくことで、こういったトラブルを回避することができるのではないか」と締めくくった。

古市憲寿 大島由香里
(執筆:compass)