「携帯電話、時計のアラームなど、音の出る電子機器はあらかじめ電源をお切りください」。

上演中に携帯電話の着信音などが鳴らないように、舞台やコンサートの開演前に必ずと言っていいほど流れるこのアナウンス。昔と比べて観客側にも周知され、着信音が鳴ることは減ってきたのではないだろうか?
 
しかし、会場が暗くなる舞台などにおいては、携帯電話使用における別の問題があるようだ。

大阪で舞台音響の仕事をしているすがわん(@sugawan)さんが、「大事なお知らせ」と題し、Twitterに観客への注意喚起を投稿したのだ。



「本番中にスマホを開いて時間を確認したり、LINEを確認したりするお客さんがいる。その行為がどれだけ目立ってるかは気にしてない。なので、メンバーに協力してもらい舞台上からどう見えてるか実験してみた結果」という文章とともに、暗い会場の観客席で、スマホを操作している人の様子を写した画像を掲載した。

その画像には、暗い観客席でスマホに視線を落とす人の顔や洋服がはっきりと映っている。さらには、スマホをいじっている本人の隣の人の表情まで見て取れる。 

たしかに、すがわんさんが指摘するように「出演者より目立ってる可能性ありまっせ」という状況なのだ。

終演後、出演者に協力してもらい実験した様子。画像:すがわん(@sugawan)さん
終演後、出演者に協力してもらい実験した様子。画像:すがわん(@sugawan)さん
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この投稿は話題となり、約7万リツート、6万2000のいいねを記録。(5月15日現在) 
さらには「公演中にスマホいじりしてる人がいて驚きです」「私も先日思いました。白い光が視界に入り、やだなあと思いました。」などと、賛同するコメントであふれている。
 
観客における携帯マナーは昔からあるが、なぜ今、このような投稿をしたのだろうか? すがわんさんに聞いた。

文章で伝えるより画像の方が伝わりやすいと思い投稿

――このような実験をしてTwitterに投稿した狙いは?

上演中に携帯を見ておられる方が客席にいらっしゃったので、注意喚起が出来ればと思い実験しました。口頭や文章で伝えるよりは画像の方が伝わりやすいかと思い、このような形にしました。特に暗転中に見受けられ、「暗転」という「演出」を台無しにするのは他のお客様に迷惑になります。


――上演中にスマホを確認する人は多い?

映画は分からないのですが、小劇場・大劇場・LIVEに関わらず少数ではありますがいらっしゃいます。もちろん、全くいない場合もあります。

個人的な見解としては劇団側や制作サイドが場内でアナウンスした後にご来場のお客様に多く見られると思います。 

スマホの光は演者・スタッフともに気になる

――舞台鑑賞においては携帯の着信音がかつては話題になっていた。現在はどう?

正直、多々あります。今回担当していた舞台でも、無音になったシーンで音響ブース近くの客席からLINEの通知音が鳴りました。

付近のお客様も音の方を振り返っておられました。また、マナーモードにされておられたお客様もいらっしゃったのですが、バイブレーションの音が場内に響く事もありました。

 
 ――観客席でスマホをいじって画面が光っていると、やはり出演者やスタッフは気になるもの?

役者サイドに確認したところ、やはり気になるとのことでした。音響ブースや照明ブースは客席の最後列にあるが故に客席全てを見渡せている状態です。なので、テクニカルスタッフはかなり気にはなります。

今回の趣旨とは少し異なりますが、音響家としては飴の包装を開ける音やビニール袋を触る音なども静かなシーンではかなり劇場内に響きますのでご留意頂きたいと思います。 

画像:すがわん(@sugawan)さん
画像:すがわん(@sugawan)さん

反響の大きさには正直驚いている

――今回の投稿には約7万RTと大きな反響があった。これをどう感じた?

本来であればマナーとして当たり前のことを呟いただけですので正直驚いております。


――最後に、観客の方々にはどのような意識で観劇してもらえると嬉しい?

意識というか、せめて芝居や映画の上演時間は2時間程の時間ですので、宜しければその時間だけでも一緒にその世界を旅して頂ければと思います。その2時間ほどの時間に数か月という時間を費やし、演者・スタッフは全力で挑んでいます。

舞台や映画は、音響や照明も含めて考え尽くされて演出しているもの。
今回の投稿のように画像で見せられると、客席のスマホは舞台から見てもかなり気になるレベルだということがよくわかった。
舞台関係者や他の観客の迷惑にならないように、マナーを守って楽しもう。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。