「日本野菜が世界ブランド化するのでよろしく」

ヨーロッパ産のチーズやワインが安くなる。消費者にとっては嬉しいニュースが伝えられた。

4年余りの交渉を続けてきた日本とEUのEPA(経済連携協定)が大枠合意に達し、日本がEU産のチーズやワインにかけている関税を、一定の条件のもとで段階的に撤廃することが確認された。

ベルギーのブリュッセルで会見を行なった安倍首相は、「大枠合意の実現を発表できることは、大きな喜びだ」と笑顔を見せた。

この大枠合意を受け、政府は14日、日本の農産・酪農品について、競争力を高めることなどを盛り込んだ基本方針を決定した。

会議の中で安倍首相は「守る農業から、攻める農業に転換して、意欲ある生産者が安心して生産に取り組める、万全の対策を講じていく」と述べ、生産性向上への具体策を急ぐ考えを示した。

「攻めの農業」は、小泉政権でもかなり叫ばれた。小泉元首相の在任中の講演や街頭演説では「日本の1個2000円のリンゴや1粒300円のイチゴが、中国で飛ぶように売れている」といったフレーズが何度も繰り返された。

その後、東日本大震災で日本の農産品に対する規制を各国がかけたことなどもあって、「攻めの農業」はいまだに成功しているとは言い難い状況だ。

そんな状況の中、今月18日、小泉元首相の秘書官だった飯島勲氏の姿が、イギリス・ハンプトンコート宮殿で開かれた晩餐会にあった。

集まっていたのは日本とイギリスの政府関係者や企業経営者など250人。

日本側からは、西川公也元農水相やTPP交渉で最前線に立っていた鶴岡公二駐英大使、JAグループ京都の中川泰宏会長らが出席していた。

会場で挨拶をした西川元農水相は次のように語った。

「日本とEUはEPAに関して大枠で合意しました。日本の農産物をEU諸国に輸出できる先が見えました。ぜひイギリスとも私どもは仲良くやっていきたいと思っています」

「日本の農産品を世界のブランド化しよう、その京都の野菜を先頭に日本の野菜を知ってもらおうとこの会が開かれました」

「日本とEU、イギリスの貿易が盛んになることを願っています。日本の野菜が世界ブランド化するので、よろしくお願いします

「こんな日本料理は初めてだ」

テーブルに並べられたのは、京野菜をメインに使った料理の数々。この日のために日本から一流シェフが肉や野菜などの新鮮な食材とともに渡英し、現地でも受け入れられやすいよう工夫した創作日本料理を振る舞った。マナーなどで苦労することがないよう、箸ではなく、ナイフやフォークで楽しんでもらう計らいもされた。

イギリスの政府関係者たちも次々に振る舞われる料理に舌鼓を打ち、会場からは「こんな日本料理は初めてだ」と驚きの声があがっていたという。

京都の野菜は首都圏ではあまり馴染みが深くないが、西川元農水相が「京都の野菜を先頭に」と語った通り、京都は「攻めの農業」にかなり積極的だ。

震災後の日本産品のブランドイメージの低下を打開するため、JA京都は、2013年にはパリのベルサイユ宮殿、2014年にはイスタンブールのトプカプ宮殿、2015年には北京の宋慶齢故居、2016年にはモスクワのペトロフスキー宮殿と、毎年のように同様のイベントを開いている。

「京野菜等世界ブランド化プロジェクト」と銘打たれたこれらのイベントは、どの会場でも評判が高く、日本料理の食材に注目度が年々高まっている。

また、これまでのイベントのほとんどで、現地のシェフとコラボレーションをして料理を出している。それは「日本料理の美味しさ」を伝えるのではなく、「料理に使う日本食材の美味しさ」を伝えるためだ。

「本格日本料理」ではなく「創作日本料理」を振る舞っているのも、『いつも親しんでいる味やマナー』の中で、どう日本食材を使ってもらうかに重点が置かれているからと言える。

もともとの品質の高さと日本の万全な検査体制に対する安心感から、日本産の輸入規制を緩和する動きは世界でかなり進んでいる。

小泉元首相は「攻めの農業」に関する演説で、日本のコメを海外に売る際には必ず日本の炊飯器も一緒にもっていくように説いていた。

「どんなに良いコメでも、性能の良い炊飯器と美味しい炊き方も一緒に伝えないと、その魅力は伝わらない」と。

日本の農産品のブランドイメージをさらに上げ、真の攻めの農業に転換できるのか。官民挙げての協力がなお一層必要になっている。