表皮が大量にはがれ落ちる…

「乾癬」は慢性的な皮膚の病気です。症状は、皮膚が赤くなって盛り上がる「紅斑(こうはん)」、次にその表面が銀白色のカサブタ「鱗屑(りんせつ)」で覆われ、やがてそれがボロボロと大量にはがれ落ちる「落屑(らくせつ)」です。

症状が進むと病変部が増え、互いにくっついて大きくなります。また、皮膚の一部である爪が変形することもあります。かゆみは約50%の患者さんにみられます。患者数は徐々に増加し、国内患者数を約43万人とする疫学研究も報告されています。

この記事の画像(4枚)

見られるストレスから、うつや引きこもりに

皮疹は全身のどこにでも出ますが、連続して刺激を受けやすい部位や、日光の当たりにくい部位…頭皮や髪の生え際、肘、膝、腰、お尻などに出やすい特徴があります。

炎症は皮膚表面で起こるため、見た目にも非常に目立ちます。そのため、温泉やプールに行けない、スカートがはけない、半袖のシャツが着られない等、日常生活での支障が多くなりがちです。

さらには、人に見られることが大きな精神的ストレスとなり、ひどい場合は引きこもりや、うつ症状を来す例も少なくありません。仕事を失ってしまった事例さえあります。

近年、乾癬は「More than skin deep」=『皮膚にとどまらない病気である』と言われるようになりました。

「乾癬」は決して感染しない!

見た目や「カンセン」という名前などから、『人に移るのでは…』と誤解されがちで、それが患者さんをさらに苦しめてきました。

しかし、「乾癬」は決して他人に感染しません!

細菌やウイルスによる病気ではないので、発疹に触れても、温泉やプールに一緒に入っても、他人に感染する心配は全くありません。

内服薬は副作用に注意!

治療法はいくつかあります。ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を患部にぬる<外用療法>、光源ランプを用いて、紫外線を照射する<光線療法>でも十分な効果が認められない場合は、飲み薬の<内服療法>に移行します。

ただし、腎臓等の臓器障害の副作用が起こることがあります。またレチノイドという内服薬には催奇形性があります。服用した場合には、男性は6か月、女性は2年間の避妊が必要です。

今年、日本で内服薬としては25年ぶりに発売された「オテズラ」という新薬は、これまでになかった機序で作用し、副作用も少ないとされ、内服療法の新たな選択肢となると見られます。

「生物学的製剤」で症状が格段に改善!

一度発症すると根治はせず、患者さんが長く苦しむ「乾癬」。

しかし「生物学的製剤」の登場で、皮疹の90%改善を目指すことが出来るようになりました。「乾癬」の原因には免疫システムの異常(自己免疫反応)があります。そして、そこには複数のサイトカイン(特定の細胞に働きかけるたんぱく質)が大きく関わっています。

「生物学的製剤」は、炎症症状を起こす特定のサイトカインを標的として、その働きを強力にブロックしますので、従来の治療に比べて高い効果が期待できます。
重症の患者さんでも、皮疹のない状態を保持する事が可能となって来たのです。

「生物学的製剤」は、既存治療で効果不十分な場合のみ

それなら、全ての乾癬の患者さんに、最初から「生物学的製剤」による治療を施せばいいのでは、と思われるかもしれません。
しかし「生物学的製剤」は、1回で約23万円の治療を年8回行うため、高額医療の対象となります。そのため、使用は既存治療で効果不十分な患者さんに限られます。(患者さん自身の負担は、医療保険等で、それほど高額にはなりません)
また治療は、日本皮膚科学会が承認した施設でのみ開始することができます。


(執筆:Watanabe Chiharu)