女性自身もよく知らない「乳房再建術」

現在、わが国では12人に1人の女性が乳がんを罹患し、患者さんの3分の1は乳房を切除することになります。腫瘍の広がりにもよりますので、ステージ1での切除もありえます。
乳房を失った女性の悲しみ・喪失感は想像以上に大きいものです。

しかし、その場合も形成外科医による乳房再建術で、失った乳房を「取り戻せ」ます。
その一方、乳房再建について知っている女性は22%に留まり、78%はどんな治療法かよく知らないというデータがあります。

3年前に人工乳房(インプラント)による乳房再建も保険適用に!

再建術には、自分の組織の移植と、人工乳房(インプラント)を使う方法の2つあります。
長い間、健康保険が適用となるのは、自家組織による再建のみでした。
それが、2013年7月からは人工乳房による再建にも保険適用がされることになりました。
人工乳房による再建術は約100万円とされてきましたが、高額療養費制度を利用した場合、実質的な負担額は自家組織の移植と同等の8~10万円程度となりました。

乳房が大きかった患者さんにはお腹の組織、小さかった患者さんには背中の組織

自家組織の移植は、「お腹の組織を移植する方法」と、「背中の組織を移植する方法」の2つに大きく分けられます。
お腹の組織の移植は、乳房のボリュームが比較的大きい人に適しています。ただしお腹の組織を取るので、妊娠・出産を予定している人には適していません。下腹部に30cm程度の傷あとが残ります。
背中の組織の移植は、乳房のボリュームが比較的小さい人に適しています。こちらは背中に15cm程度の傷あとが残ります。

人工乳房(インプラント)による再建は体の負担は少ないが、10年後に交換が必要

インプラントによる乳房再建は、自家組織の移植より入院期間は短く、体への負担も小さくて済み、仕事にも早期に復帰できるため、再建術の主流になりつつあります。
ただし、自家組織移植が「メンテナンスフリー」に対し、インプラント法は10年から20年で人工乳房の交換が必要です。
また、切除していない側の乳頭の一部を移植する等して、乳頭も乳輪も再建出来ます。

40歳以上の女性は1年に1回、乳がん検診を!

乳がんは早期に発見できるほど、切除部位も小さくて済み、生存率も上がる、比較的予後が良いがんです。
ところが日本は、がん検診の受診率が低いのが問題となっています。
自治体が実施する乳がん検診は40歳以上の方を対象に2年に1回の受診を推奨していますが、ぜひ1年に1回は受診して頂きたいと思います。