トランプ大統領がハムレットみたいに悩んでいます。
アメリカ議会下院は日本時間の26日朝、圧倒的多数(419-3)で
ロシアに対する制裁強化法案を可決しました。
これによってトランプ大統領が悩みに悩んでいます。
法案の眼目は、対ロシア制裁を緩和、あるいは、解除する場合は大統領だけで決めるのではなく議会の事前の審議と同意が必要!ということです。
つまり、この問題でトランプ大統領の独断は許さないというものなのです。
法案は、上院でも今週中に可決される見通しです。
トランプ大統領の悩みは、法案が大統領の机に送られてきた時に
果たして署名を拒否すべきかどうかです。
大統領はロシア、プーチン大統領との関係を前進させたいと思っている。
そもそも自分の手足が議会に縛られるなんてとんでもない!と思っているでしょう。
であれば署名拒否。
一方で、議会の圧倒的多数が賛成している法案を覆せば、
大統領はロシアに甘すぎる。やはり裏に何かある‥との疑いが強まります。
議会との関係にも問題が出かねない。そう考えれば、署名するでしょう。
サンダース報道官は23日に「大統領は署名する」と述べていますが、
オバマケア潰しやロシアゲート問題がどうなるによって、大統領と議会の関係は微妙です。
署名拒否でひと波乱起こしてみせるのが、実はトランプ流なのかもしれません。

ーートランプ大統領にとっては署名するのかしないのか「公開踏絵」みたいですね?!
トランプ大統領は基本的には署名せざるを得ないんじゃないかな って思われるんですけど
実は連立方程式 みたいになっていて、議会との関係が上手く行く、あるいは 議会が自分が望むように働いてくれるんだったら 署名する。しかし、議会が、 ロシア ゲート、あるいは、オバマケアでの対応で自分が思うように進まないんだったら、そんな議会のご機嫌を取ることないっていうことで署名拒否、というシナリオ もあり得るかな、と。
ーーどちらの公算が高いという風に読んでいますか?
今、 読みづらくなっているのは、アメリカの議会は夏休みが入るんですね。
下院は今週いっぱいで夏休み前の審議は終わり。あと3日間しか残っていない。今まさに、夏休み前の駆け込み審議と採決がいっぱいあるんですよ。
上院の方は もともとオバマケアを潰すプロジェクトをなんとか動かす為に、夏休みを3週間 先延ばしして8月の第3週までやるって言ってるんですけど、それでも下院に合わせて、勝負はこの週末までって考えているんですね。そこで、上院でオバマケアを審議するための動議がぎりぎりのところで可決出来たのが、今日 ニュースになっています。
つまり このオバマケア 代替法案を審議するためには審議に入りましょうと、議会として、院として、意思決定をしなきゃいけなかったんですけど 、なんと、この与党 共和党の議員さん二人が造反したんです。そうすると50対50になるんですよ。
その場合 上院 はどうするか。議長の副大統領が議会にやってきて「私がその決定 投票します」と。そこでペンス 副大統領が審議入りに賛成票を投じて51対50で、オバマケア 代替法案の審議に入りましょうってのがようやく決まったんですよ。
ーーこの一票が非常に大きいですね 。
トランプ大統領はツイッターで「とても大きな一歩だ」と大喜びのツイートしたんですがこれは審議が始まるっていうだけで、その審議がどこに行けるのはってのは また別の話なんです。しかも、このオバマケア 代替法を上手く可決する為に、そもそも 可決に必要な 票数はいったい何票か。共和党は52票しか持ってません。単純過半数でいけるようにしたい。ところが議会事務局などは、60票が賛成しないとダメだってっていう見解なんです。じゃ、60票を確保できるかというと、無理なんですよ。審議入りしてもどこにも行けないで終わる。

ーーえ?審議入りしてもどこにも行けないで終わることがあるんですか?
過去にいくらでもありますよ
”審議未了につき廃案”ということにもなりうるんです。
オバマケアを潰す っていうこのプロジェクトも、結局オジャンになるんじゃないかな っていう感じなんですよ。
ーートランプさんがやりたいと声高に言ってきたことも なかなか実現しないことも多いですね。
この前、ホワイトハウスに与党共和党の議員を集めて「 お前らこの仕事をちゃんとやりきるまでは 夏休みとるなー」とはっぱかけたんですけど、しかし 政治は数なので、ちょっと厳しそうだなという感じになってます。
ーー波乱を起こすのがトランプ流、と捉えるならば、今後トランプさんがどのような波乱をぶちまけようと考えていると思いますか?
トランプさんってその時々に「勝ったのは俺だ」といいたい人。
ーー小さな勝負を沢山積み重ねるタイプ?
一言でいうと状況対応型 なんです。理念はない人なんです。理念や理想はないんです。その時々のディールで「この俺が勝った!俺の方が強い!えらい!」っていうイメージを作り上げるのが 実は自分の次の選挙に有利になるって考えている。今回も、もしかすると唯々諾々と 議会のいうこと聞くよりも、いっちょ、波乱を起こして俺は強力な大統領だ!って言いたいのかもしれません。