韓国・文大統領がトランプ大統領と初会談へ

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6月29日、30日で調整されている、韓国の文在寅大統領の訪米、トランプ大統領との初会談に注目する。この2人がうまくやっていけるのかどうかとても心配だ。

日程はまだ正式ではないが、6月29日(木)の夕食で初顔合わせ。翌30日(金)に公式の首脳会談を行い、その後、共同会見を予定。文在寅大統領は、この他に、シンクタンク(CSIS)での講演なども行う。2人がうまくやっていけるのか心配な理由は大きく言って、政策面の食い違いと首脳同士の肌合いの違いの2点。政策面では、北朝鮮へのアプローチ・THAAD配備・米韓FTAをめぐってあつれきが生じそうだ。

「対話路線」が“トランプディール”に水差す…事前調整があったのか大いに疑問

このところ盛んに報道されている通り、文大統領は北朝鮮に対しては「圧力よりも対話」路線だ。特に来年2月に開催されるピョンチャン冬季五輪をテコに北朝鮮との対話を進め、融和を図ろうという姿勢が明瞭だ。大統領自ら「北と合同チームを作りたい」「北朝鮮で一部競技を実施したい」とアピールしている。

対北朝鮮ではトランプ大統領が今、ディール男としての意地をかけ、中国と習近平国家主席を脅したりすかしたりし、それを受けて中国が北朝鮮への影響力を行使して北朝鮮を締め上げ、核・ミサイル開発を阻止しようというアプローチを続けているところだ。

そんな中での文大統領の対話路線は、トランプ大統領にとって邪魔者以外の何物でもない。足並みが乱れるとトランプ・ディールの迫力がそがれてしまう。

もし、文大統領が勝手に走り出したとなると、アメリカ側としてもとがめざるを得ない。対北戦略そのものが別物なのに加え、文大統領がどこまでアメリカと事前調整して対話路線に走り出したのか、大いに疑問だ。

文大統領としては、訪米前にガツンと表明しておくのが上策との思いがあるかもしれないが、勝手に走り出したのであれば相当もめるのではないか。

知らない!聞いてない!話が違う!文大統領発言でTHAAD配備めぐる米韓合意は“先行き不透明”に

THAAD配備についても、訪米を前に一層、ゴタゴタ感が強まっている。米韓の合意について文氏自身が、知らない、聞いてない、話が違う、といった類の発言をしていて、この話も間違いなくこじれるだろう。THAADの配備については、北朝鮮も中国も大反対だから、アメリカからすれば、文大統領は利敵行為を行っているとも見える。これも、トランプ大統領の対北アプローチを損ないかねない問題だ。

「できの悪い通商合意 再交渉だ!」米韓FTA槍玉に…

そして、米韓FTA。トランプ大統領は以前、「米韓FTAはヒラリーが締結したできの悪い通商合意だ。締結前に比べてアメリカの対韓貿易赤字は飛躍的に拡大した。再交渉だ!」という趣旨の発言をしている。貿易赤字の拡大、他の政策課題が思うように進まない場合、トランプ大統領はいつでも、米韓FTAを槍玉に挙げるだろう。

“対極的な”トランプ大統領と文大統領

次に、首脳同士の肌合いの問題。

はっきり言って、この2人は対極に位置して、お互い相容れないタイプではないか。
トランプ大統領は理念に興味はなく、その時その時の「勝ち」にこだわるディール男。
文在寅大統領は、信念にこだわり自身の主張を曲げないタイプだ。

思い出されるのは、文大統領の師匠に当たり2003~2008年在任のノムヒョン元大統領が当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領と全く反りが合わなかったことだ。アメリカの同盟国であり、安全保障を頼っているにも関わらず、「韓国が東アジアのバランサーになる」という趣旨の発言を繰り返し、ひんしゅくを買った。それは日本や米国との関係を見直しながら中国との接近を図り、北朝鮮を融和することに他ならないからだ。記憶はあいまいなのだが、ノムヒョン氏はワシントンでの首脳会議後の共同会見の席上、ブッシュ氏の目の前でも同様の発言をし、関係者をあきれ返らせたものだ。

トランプ大統領は文大統領を“フレンド”と呼ぶのか?

もちろん、文在寅大統領とノムヒョン元大統領は別人格だ。それに、当時「ノムヒョンの影法師」の異名をとるほどの側近として仕えていた経験から、いろいろと学んだこともあるだろう。それを文氏がトランプ大統領との関係でどう活かすかが問題だ。「ノムヒョンはさすがだ。見習わなければならない。」と思うのか、あるいは「色々問題があったのは事実だから、そこから学んで対米関係をうまく転がしていかなければならない」と受け止めて行動するかが問われる。

トランプと文在寅、この2人の大統領は、弾劾という事態がなければ、少なくともトランプ氏の一期目の任期が切れる2021年1月までは、ずっと顔を突き合わせることになる。人の好き嫌いは、初顔合わせの時の印象が長ぁ~く尾を引いたりするものだ。だからこそ今週の初会談の出来が大事なのだ。

それは日本にとっても他人事ではない。日本は、日米韓が結束・協力して北朝鮮に向き合い、東アジアの安定と繁栄を実現しようという立場だ。もしも韓国とアメリカがグチャグチャになったら日本にもネガティブに影響する。

同時に、文大統領の言動からは慰安婦に関する日韓合意を反故にしたいという思いが伝わってくる。また、訪米を前に海外メディアとのインタビューで日本批判をやったりしており、日本としては警戒せざるを得ない相手でもある。

その文大統領とトランプ大統領の会談の成否を見るポイントだが、例によって、握手の長さや握りの強さがどうだとか、はたまた二人は見つめ合うのかどうかとか。。

私としては、トランプ大統領は会談や会見で、文在寅大統領を“フレンド”と呼ぶかどうか? そこに注目しようと思っている。

風間晋
風間晋


フジテレビ報道局解説委員。「ユアタイム」ニュースコンシェルジュ。 「グッディ!」やホウドウキョクの「鴨ちゃんねる」「ランチタグ」にもレギュラー出演経験あり。FNNニュースJAPAN編集長、ワシントン支局長、ニューヨーク支局記者など歴任。

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