それでも…ブレないトランプ支持者

トランプ大統領は9日、FBI=連邦捜査局のコミー長官を突然、解任した。コミー前長官は3日、議会の公聴会で「トランプ陣営とロシアとの関係の捜査を続けている」と証言し、捜査の行方が注目される中での解任となった。

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そんな中、ギャラップの調査(5月10、11日実施、成人1013人)で「FBI長官の更迭」について、承認が39%、不承認が46%という結果が公表された。同時期のトランプ支持率は40%。相変わらず史上最低の人気だが、トランプ支持者はブレていないことが分かる。

「FBI長官更迭」で、一層鮮明になるトランプ政権への関心

前回、1993年7月に「クリントン大統領」がFBI長官を更迭した際に行われた調査では、承認が44%、不承認は24%だった。

解任理由は、長官による公用機の不正使用などの職権乱用。ただ、疑惑が持ち上がったのがクリントン大統領が就任する直前で、長官本人が疑惑を否定し辞任圧力にも抵抗する中で、6カ月後に解任された経緯などを考えると、共和党の大統領が指名したFBI長官をクビにする良い理由として、公用機のプライベート利用を掘り起こしてきたのでは?という可能性もないとはいえないだろう。

1993年のクリントンによる解任に対する不承認は24%、対して、24年後のトランプによる更迭劇では不承認がほぼ倍だ。トランプへの反発の大きさが表れている。が、より注目すべきは「意見なし」の数字ではないか?今回は15%、クリントンの時は32%だった。

つまり、当時はFBI長官がクビにされても3分の1のアメリカ人は関心がなかったということだ。それが半分になっているということは、トランプとその統治への関心が大きいことを示しているともいえる。トランプは就任から100日あまり、何かと騒がせてくれているからみんな注目しているが、24年前は、大統領がFBI長官をクビにしたからといって、そんなにオオゴトなのか?という感じが伝わってくる数字だと思えないだろうか。

任期10年を作った怪物「ジョン・エドガー・フーバー」

「FBI長官が任期10年の途中で解任されるのは異例だ」とか「FBI長官は政治的中立確保のために1期10年となっている」などと言われる。その『任期10年』のきっかけとなった人物は、「ジョン・エドガー・フーバー」だ。

彼は48年間FBI(前身の「司法省捜査局」を含む)のトップに君臨し、捜査権限を乱用して盗聴などで歴代大統領や政権幹部、議員などのスキャンダルを秘密裡に収集。膨大な秘密ファイル(Official and Confidential)を隠し持っていた。その暴露を恐れて、どの大統領も彼をクビにできなかったが、在職中に亡くなった(直接の死因は高血圧性心臓血管疾患)のを好機にしてFBI長官の任期は10年の縛りが決まった。

“怪物”の再来を防ぐためであり、「政治的中立確保のため」というのはある意味、後付けのようなものだ。

そして、10年の任期を全うしたFBI長官はこれまでたった一人だけだ。解任を異例というのなら、任期満了はもっと異例といわなければならない。

長官空席の期間は長官代行が置かれている。代行期間は長いと1年を超えている。それだけFBI長官の人事は難しいということだ。

大統領は自分に対して疑いなく忠誠心を示す人ではないとFBIを任せられない。それが“怪物”フーバーの教訓だからだ。フーバーと歴代大統領の例にみられる通り、FBI長官は職権であるいは秘密裡に大統領の回りを嗅ぎまわることができる。フーバーはそうして得たスキャンダラスな情報を一部メディアにリークして書かせ、対応に窮した大統領がフーバーに屈するという形で“怪物”となっていったのだ。

トランプ大統領は、自身とロシアとのつながりの有無を嗅ぎまわるような情報機関・捜査機関が大嫌いで、政府内からの「情報リーク」を声高に非難し、自分の言う通りにならないメディアをやり玉にあげる。そこにはフーバー的な存在が生まれる環境への本能的警戒感があるのかもしれない。コミーFBI長官の突然の解任以降、そんなことを考えた。