米豪首脳 関係改善の“カギ”となる式典

今週のトランプ大統領の予定では、これがもっとも注目される。5月4日 トランプ大統領 オーストラリアのターンブル首相とようやく仲直り。

1月28日、トランプ大統領は就任挨拶の電話会談を各国首脳と行っていた。
ターンブル首相とも1時間話す予定だったが、30分ほど経ったところでトランプ大統領が腹を立て、電話をガチャ切りした件がニュースで話題になった。

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就任挨拶の電話会談は、主要国、友好国などの別、時差がどれくらいあるのかなども考えながら、クシュナー氏が1日目グループ、2日目グループ…その中での順番などを調整し、基本1人1時間で予定を組んでいたようだ。それなのにターンブル首相に対しては時間をたっぷり残してガチャ切りしてしまった。

実はターンブル首相とオバマ前大統領の間で、オーストラリアにやってきた難民の一部をアメリカが引き受けるという約束事があった。

ターンブル首相がトランプ大統領に「その約束は生きているよね?」と確認を求めたのが運の尽き。トランプ大統領には当然そんな引き継ぎはなく、そもそもトランプ氏は難民、移民の受け入れは御免こうむる!という人。いろいろ話さなければいけないことがあっただろうが、ここで怒り心頭に発し、電話を切ってしまったのだ。

いかにもトランプ大統領らしいが、国際儀礼的にはありえないことだ。

このガチャ切り以来、アメリカ国務省とオーストラリアの外務省は両者を仲直りさせるには一体どうしたらいいのか悩み、いろいろ知恵を出した結果、ついにその時がやってきた。それが5月4日。なぜこの日かというと、「珊瑚海海戦」の75周年記念式典が催されるからだ。

2人が顔を合わせる場所は、ニューヨーク、マンハッタンのハドソン川に係留されている、「イントレピッド」という太平洋戦争時代の空母だ。今では博物館になっているが、その艦上で行われるイベントに、トランプ大統領とターンブル首相がそろって参加し、首脳会談も行って仲直りをするという手配が整ったのだ。

珊瑚海海戦とは、75年前に大日本帝国海軍とアメリカ、オーストラリアの連合艦隊が行った海戦で、史上初めての“空母対空母”の対決だった。

昨今は「カール・ビンソン」や中国の「遼寧」といった空母の名前がニュースにしばしば登場するが、もともと第二次世界大戦の時代に空母艦隊を運用できるような上等な海軍は世界にそうそうなかった。日本とアメリカは間違いなく空母運用の最先端をいっていた。

珊瑚海はオーストラリアの北東に広がっていて、アメリカとオーストラリアを結ぶ重要なシーレーンに当たる。

日本軍はオーストラリアをアメリカから遮断する作戦目的をもって、ツラギという島を攻略し、そこからパプアニューギニアのポートモレスビーを攻め落とそうとした。

そのために空母部隊が珊瑚海に入るが、アメリカはその動きを事前に察知していて、珊瑚海海戦となったのだった。

要するに、アメリカとオーストラリアは一緒に日本軍と戦った仲じゃないか! 珊瑚海海戦75周年の式典に、軍の最高司令官でもあるアメリカ大統領とオーストラリア首相が参加するのは当然の成り行きだし、大切なことだ。この機会を仲直りに利用しない手はない! ということで、ターンブル首相はトランプ大統領の出席を確認した上で、この記念式典に駆けつけることにしたのだ。

ペンス副大統領 トランプ大統領の仲直り模索し訪豪

しかし、ここまでたどり着くのが大変だった。

先日、日本にペンス副大統領が来たが、その際の訪問国は順番に、韓国、日本、インドネシアそしてオーストラリアだった。ペンス副大統領はターンブル首相と4月22日に会談したが、その最大の目的は、トランプ大統領との仲直りの道筋をつけることだった筈だ。その翌週には、ターンブル首相はアフガニスタンを訪問し、そこでマティス国防長官に会った。

オーストラリア軍は今なおアフガニスタンに駐留する、アメリカにとって大切で、忠実な同盟国だとアピールした訳だ。

首脳同士の関係が一度こじれると、修復にはこんなに手間と時間がかかるものなのだ。

トランプ氏にとって5月は“一大外交月間”

5月はトランプ大統領にとっては一大外交月間だ。

韓国、フランス、イランで大統領選挙が行われ、新たに選ばれた大統領との関係づくりが求められる。

下旬には、まずNATO首脳会議がブリュッセルで、引き続きG7サミットがイタリアのシチリア島で行われる。調整中ということだが、イスラエルとサウジアラビアも訪問するとされている。

もともと中東諸国へも…という話が出ていたが、サウジアラビアという具体的な国名に絞り込まれてきたため、事前調整もゴールに近づいているものと思われる。