いま手を打たないと、日本の労働市場は危険水域に

日本は超高齢化、人口減少社会だ。

生産年齢人口は1995年のピーク時に8716万人だったが、2060年にはその半分の4418万人になる見通しだ。
つまりいま手を打たないと、今後の日本の労働市場は立ち行かなくなる。
働き方改革の主目的は、高齢者や女性など、これまで働きたくても働けなかった人たちに、働きやすい環境を提供することだ。
安倍総理は「働き方改革」として、「長時間労働の是正」、「同一労働同一賃金」、「最低賃金の引き上げ」などをあげている。
「長時間労働」では、「過労死」や「ブラックバイト」が社会問題となっている中、電通の女性社員が過労自殺するという痛ましい事件も起こった。
さらに、長時間労働は、子育てと仕事の両立を目指す女性の社会進出の障壁となるほか、男性が家庭に参画して家事や育児をすることも阻害している。

労働時間は労働基準法で、1日8時間、週40時間と定められている。
しかし、36協定により、労使間の合意があれば労働時間に上限がなくなり、長時間労働問題の温床となっている。
「日本は命を守る労働時間の上限が無い国」(「働き方改革実現会議」白河桃子委員)なのだ。
労働時間の上限については、過労死・労災の認定基準が1カ月100時間、2~6カ月で平均80時間となっている。
今後労働時間の上限を決めるにあたって、この基準が目安となりそうだ。

現在、日本の雇用者の4割が非正規社員

日本のGDP規模は世界3位にもかかわらず、時間当たりの労働生産性はOECD加盟国の中で22位。
つまり、日本の長時間労働が、生産性に何ら貢献していないことは明らかだ。
企業経営者は、これまでの「長時間働く社員は頑張っている」という評価基準をあらため、生産効率をどう上げるか考えるべきだ。
安倍総理が働き方改革の「一丁目一番地」と言っているのが「同一労働同一賃金」だ。

いま日本の雇用者の4割は非正規社員。
同一労働同一賃金は、正社員と非正規社員の待遇差、つまり全く同じ仕事をしているのに給料が大きく違う状態の改善を目指している。
日本は、フルタイムの社員に比べてパートタイマーの賃金が極端に安く、ヨーロッパ諸国は8割程度と言われるのに比べ、日本は6割を切っている。
政府は去年、基本給などについて非正規をどう待遇すると問題になるのか、ガイドライン案を提示した。
この国会では、法制度の改正が行われる見通しだが、人件費を抑えたい産業界からの反発も大きく、議論は予断を許さない。

急務とされるのは、女性が働きやすい社会の実現

最後に、女性の働き方改革だ。
生産年齢人口の減少を防ぐためにも、女性が働きやすい社会の実現は急務だ。
OECDの雇用アウトルック2016によると、日本の女性の就業率は72.7%でOECD加盟国34カ国中23位。
日本の女性の就業率が低い理由は、出産・育児期にあたる30代で就業率が下がる、いわゆるM字カーブが原因だ。
女性の就業率が8割を超えているフランスでは、労働時間が週35時間(日本は40時間)、有給休暇日数が5週間と定められている。
安倍政権はこうした法整備のほか、オフィスに通勤しなくても家で働けるテレワークの普及を目指している。
いまテレワーク人口は3%足らず。
テレワークが普及すれば、通勤時間の解消で労働効率がアップするほか、満員電車の解消にもつながる。
また、女性だけでなく男性の育児や家事参画も促すことになるだろう。