安部さんは24歳の時に史上最年少で東大教養学部の授業を担当し、近著の「日本につけるクスリ」では、「この国を変える方法」について様々な提言をしている。
 
そもそも安部さんは、なぜ社会問題の現場を学ぶツアーを始めたのか?

安部さんーー「自分は14歳の時に家庭で問題を起こし、学校に行かず駅前でぶらぶらしていた問題児、社会問題の当事者だった。そのとき、なぜ世の中の人は関心を持ってくれないのかと。そこで、無関心の構造そのものを変えられないかと考え、大学3年の時にボランティア団体として始めました。」

興味の壁、情報の壁、現場の壁

安部さんは、社会問題が解決されない原因には3つの壁の問題があるという。

1つめは興味の壁、2つめが情報の壁、3つめが現場の壁だ。

安部さんーー「社会問題が解決されないのは、まず興味が無い。また、社会問題に関する情報はまとまっていないし、可視化されていない。さらに、たとえ興味があって情報があっても、どう現場に行っていいのか、どうやって関わっていいのか皆わからない。この壁を壊さないと、結果として課題の解決に向かわない。」 

これらの壁を打ち破るためのプラットフォームが、「リディラバ」のスタディツアーだ。

この社会問題を楽しく学べるツアーは、なんと200から250種類もある。

たとえば、障がい者やホームレスの現場を訪ねるツアー、鹿肉を食べながら環境保全を考えるツアー、イスラム文化に触れるツアーから風俗で働く女性の話を聞く女子会ツアーまで、ツアーのテーマは様々だ。
スタディツアーには、ここ2~3年間で4000~5000人が参加したそうで、参加者は25歳から35歳の社会人が多いという。

安部さんーー「リディラバは市民と公共社会の橋渡し役というインフラを作りましょうと。ツアー代金は頂くが、手数料を残してあとはNPOに支払っている。参加者にとっては、これまで社会問題解決に参加するとなると、プロボノかボランティアしかなく、ハードルが高かった。一方、NPOもツアーになることで啓発機会が増えるし、新たな収入源が生まれ、支援者を巻き込む術にもなる。」

つまりNPO、参加者両者にとっても、リディラバのスタディツアーはウインウインのプラットフォームなのだ。

観光名所巡りの修学旅行から、「社会体験ツアー」へ移行する学校も

さらに、リディラバは学校の教育旅行事業にも取り組んでいる。

これまで修学旅行というと、歴史的な観光名所が定番だったが、2020年度の教育改革に向けて、中学や高校の現場から社会を体験できるツアーへのニーズが高まっている。

また、これからの時代は、自ら課題を設定し、解決する能力の重要度が高まってくる。

リディラバでは、企業の研修や採用活動の支援も行っている。 

社会問題の現場にまずは行ってみようというリディラバの取り組み。

当事者が抱えている課題を皆で共有することから、オープンソリューションは生まれるのだ。 

番組内で紹介した安部敏樹さんの著書

「日本につけるクスリ」 出版ディスカヴァー・トゥエンティワン