バナナの木は1年で3~5メートル成長

「バナナペーパー」をご存じだろうか?

文字通りバナナから作った紙だ。

実はこの紙が自然破壊を防ぎ、人々を貧困から救っている。

23日の「ビジネスのキモ」では、「バナナペーパー」の製造と普及に取り組む「One Planet Café」のエクベリご夫妻に話を伺った。

私たちが普段使っている紙の9割は、普通の木でできている。

しかし木の成長には30年程度かかるため、消費(伐採)のスピードに木の成長が追いつかない。つまり、サステナビリティ=持続可能性がない。

一方、バナナの木は1年で3~5メートル成長する。

バナナの木は、一度バナナを収穫すると、同じ木から二度と実が出来ないので、これまで農家はバナナを収穫すると木の茎の部分を切り捨てていた。

つまりバナナの木は、何にも利用されずゴミとして捨てられていた。

バナナの木

捨てられたバナナの木を利用

エクベリ夫妻が「バナナペーパー」を思いついたのは、アフリカの南部にあるザンビアだ。

人口1千600万人のこの国は、美しい自然を持ち、鉱業・農業・観光業を主要産業としているが、決して豊かではない。

自然に魅せられてザンビアを訪れたエクベリ夫妻だったが、ライオンやキリン、像が絶滅の危機に瀕していることや、人々が貧困に苦しんでいる姿を見て、これを変えなければいけないと考えた。

そこで捨てられたバナナの木を利用して、紙を作ることを考えたのである。

エクベリさんは「ファーストペーパーから離れないといけない」と言う。

最近の農産物はトレーサビリティを意識して作られているので、生産者の顔が見える。

一方、紙は誰が作ったかわからない、いわばファーストペーパーだ。

エクベリさんは、ザンビアで収穫したバナナの木を繊維のようにして、日本の「和紙」の技術を使って紙にすることに成功した。

ザンビアでの取り組みは、いま約20人の雇用を生み、500人の生活を支えている。

「バナナペーパー」は貧困対策につながり、子どもに教育を与えている。

さらに貧困のため動物の密猟に手を染めていた人々に職を与え、動物の減少の歯止めにも役立っている。

いま「バナナペーパー」は、WFTO(世界フェアトレード機関)から、生産者の労働条件や賃金、児童労働などの厳しい基準をクリアして、フェアトレードの認証を受けている。

価格は普通の紙に比べて、名刺にすると1.5倍程度高額だが、日本でもトヨタや資生堂、パナソニックなどの大企業が、その趣旨に賛同して実際に「バナナペーパー」を使っているという。

ブルーエコノミーを知っていますか?

「ブルーエコノミーを知っていますか?宇宙から見た地球はブルー。地球に既にあるものを利用して、環境に配慮し、持続可能なものにつなげることができる」

経済成長と環境を両立させるという「ブルーエコノミー」は、実現が難しいと言われてきた。

しかし、エクベリ夫妻は「バナナペーパー」によって環境保護と貧困対策を同時に目指す。

「バナナを作る国は、125か国。ほとんどが途上国。この事業をフランチャイズすることで貧困を無くすチャンスがある。」

エクベリ夫妻の「ブルーエコノミー」の取り組みは続く。