開催3日で中止が決定

8月1日から始まった国内最大規模の国際芸術祭あいちトリエンナーレ
そこで物議を醸したのが慰安婦像などを扱った表現の不自由展・その後。開催からわずか2日で抗議の電話やメールが約1400件殺到した。

その結果…

運営側は3日目となった8月3日限りで一連の展示を中止することを決めた。

この記事の画像(10枚)

あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督:
余波があまりも大きいということは僕も認識しています。またひとつ日本の表現の自由が後退したかもしれない。

問題となったのは“表現の不自由展・その後”

表現の不自由展は、2015年に行われた美術館やイベントなどで“公開中止”となった作品を集めた展示会。
今回は「その後」として展示した、「米軍機の墜落を沖縄のシャッターに描いた作品」や慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」 などが議論を呼んだ。

あいちトリエンナーレ来場者の女性:
こういう時期に刺激するのはよくないと思います。

会場では少女像に紙袋をかぶせようとする人や、主催者に対して怒り出す人も。

そしてもう1つ問題となったのが今回の芸術祭に国から約7800万円の税金が助成される予定だったこと。

あいちトリエンナーレの視察を終えた名古屋市の河村たかし市長も…

河村たかし名古屋市長:
日本人の心を踏みにじるものだ。税金使ってますけど、そんなとこでこんなことやるということは即刻中止して頂きたいです。展示を。

テロや脅迫ともとれる電話やメール

こうした中、わずか3日であいちトリエンナーレの中止を決めた背景について芸術祭の実行委員会会長を務める、愛知県の大村知事は。

芸術祭実行委員会会長 大村秀章愛知県知事:
テロや脅迫ともとれるような電話やメール等がありまして、このままでは安全に展覧会を運営することが危惧されるような状況です。

芸術祭の運営に支障をきたすほどの電話があり、中にはガソリンの携行缶を持って会場の美術館に行くと脅迫するファックスが送られてきたことが中止の理由と説明した。

その一方で表現の不自由展の実施団体は猛反発している。

表現の不自由展・その後実行委員会永田浩三氏:
一方的に中止に追い込まれたのは残念。異論はあって構わないけど、見る機会を奪うことはいけない。

また日本ペンクラブも、芸術の意義が失われ自由の気風を萎縮させるとして展示は続けられるべきだと表明した。

今回の問題点について、危機管理の専門家は…

危機管理に詳しい株式会社エイレックス畑山純氏:
日韓関係が悪化している状況で展示をしてしまった、ということとの関係はかなりある。
脅迫まできてしまうと、中止という判断にせざるを得なかったのではないかと思います。

生田竜聖アナウンサー:
一連の報道を受けまして、菅官房長官は補助金の交付を慎重に検討する考えを示しました。
これに対し、憲法研究者の志田陽子さんは展示内容によって補助金が精査されれば、表現の自由を制限することになると警鐘を鳴らしています。

(「めざましテレビ」8月5日放送分より)