日本で廃棄される食品は年間約2775万トン(環境省および農水省推計 平成26年度)。

1人当たりの食品廃棄量は、世界ワーストワンだ。

そのうち、本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品、いわゆるフードロスは、年間600万トン以上。

「食べ物を大切にしない国」ニッポンでいいのか?

フードロス問題解決に向けて、いま様々な取り組みが行われている。

「食べ物を捨てない日本計画」

タイ産のココナッツオイルなどを輸入販売している、オーガニック食品メーカー「ブラウンシュガーファースト」は、そのものずばり「食べ物を捨てない日本計画」と名付けたフードロス削減の取り組みを始めた。

先月30日、ブラウンシュガーファーストは都内のヤフー本社内で、賞味期限が30日を切ったココナッツオイルやアップルソース、ポップコーンなどを希望小売価格の3~4割引で販売するイベントを行った。

販売した商品は、オフィスのおやつとして、食べてもらおうという取り組みだ。

また、SNSを活用し、フードロスを解決するためのアイデアを募って、実現可能なものからブラウンシュガーファーストが着手すると宣言。

目標は3か月で100のアイデアの実現だ。

代表の荻野みどりさんは、賞味期限のルールで流通できなくなった製品が大量に発生してしまったことがフードロスを考えるきっかけになったという。

「何トンという食品を捨てなきゃいけない、ゴミとして焼却処分しなければいけないと。ディスカウントスーパーでは小売価格の5%くらいになってしまって、小売店さんたちにご迷惑をおかけしてしまうし、値崩れを起こすと今後当社自身が商売を続けることが不可能になってしまう。さらに寄付をするにあたっても、賞味期限は1か月以上なくちゃいけないと」

「3分の1ルール」の壁

ココナッツオイルは、健康ブームもあって、1か月で1万本が売れるほどのベストセラー商品だ。

しかし、流通の商習慣である「3分の1ルール」によって、生産されてから12か月の賞味期限があるのにも関わらず、8か月をすぎると商品は販売店の倉庫で保管され、賞味期限を過ぎると廃棄されてしまうのだ。

90年代からスーパーが始めたと言われているこの「3分の1ルール」。

これは日本の消費者が、賞味期限が1日でも先のものを買う「ゼロリスク思考」によるところが大きい。

こうした商習慣を変えようと、荻野さんは大手の食品メーカーにも働きかけをした。

しかし、必ずしも反応はよくなかったという。

「大手にお話をしに行くと、『ちょっと検討します』で終わってしまい、すぐにアクションを、とはなかなかならない感じを今受けています」

その理由は、大手メーカーが食品を廃棄していると公に言わないことにあるという。

「やはり食品廃棄というのは、会社としてイメージが良くないのもあります。皆さん、3分の1ルールは改善したいと思っていますが、食品流通の世界でいうと、より新しいもの、リスクがゼロのものをお届けする使命が強くあって、そこを曲げるのには大きな決断がいるんですね」

荻野さんは、この取り組みのビジョンとして「最終的にはこの活動がなくなることを目指しています」という。

「すべて食べられる美味しいアイテムなので、楽しく美味しく解決する。流通の過程で見限られた商品が、もう一流通、もう一経済まわるという仕組づくりをするのを目指しています」

俳優・伊勢谷友介さんによる取り組み

伊勢谷友介氏

また、規格外野菜の活用で、フードロスを削減する取り組みを行っているのが、俳優の伊勢谷友介さんだ。

伊勢谷さんは、自らソーシャルビジネス「リバースプロジェクト」を経営し、社会の課題を解決するため様々なプロジェクトを行っている。

その中で、農家で大量に廃棄されている規格外野菜を活用した「食」の循環プロジェクトが、今年4月から始まった「E-REGULAR(イーレギュラー)」だ。

規格外野菜は、味や栄養素が劣っているわけではない。

しかし、消費者にその形が嫌われて、加工品にする以外ほとんどが廃棄され、その量は収穫量の1割に上ると言われている。

「E-REGULAR(イーレギュラー)」では、農家から仕入れた規格外野菜を、協力企業に卸し社員食堂で活用してもらう。

そして、その売り上げの一部を、貧困家庭の子どもたちに食事を提供している「こども食堂」に寄付している。

伊勢谷さんは、このプロジェクトの狙いをこういう。

「規格外野菜が畑のわきで腐る…という現状があり、まだ食べられる野菜を僕らが商品化して、大きく消費するところに卸せば、形が違っても問題ないと。なおかつ、市場を通さない『産直』になる。1日か2日分新鮮なので、きっとおいしいはずです。僕らは大体5%くらい安く提供できます。しかも日本全国どこからでも、持ってくることができます」

まさにWIN-WINのプロジェクト

規格外野菜を買い取ることで、農家にとっては新たな収入源になる。

企業にとっては社会貢献によるイメージ向上とコスト削減につながり、社員にとっても新鮮な野菜を食べることができるメリットがある。

この取り組みには本田技研工業などが参加し、社員食堂で購入した規格外野菜を活用している。

このプロジェクトは、子どもの貧困対策にもつながる。

「安く提供した分、企業からは1食につき2円程度いただいて、それを子どもたちの貧困を助けるための事業にさせていただいています」と伊勢谷さんは言う。

貧困率が高いと言われる高知県で、現地のフードバンクに直接支援したことから始まり、この活動はいま全国に広がっている。

まさに、WIN-WINのプロジェクトだ。

オフィスから始めるフードロス削減の取り組み。

企業にも組織を挙げた社会問題解決の努力が求められている。