「睡眠負債を返済」シリーズも第4回となりました。いよいよ夏本番、寝苦しい日が続きますが、今回は夏に快眠を得るためのコツを、日本快眠環境科学ラボの顧問で、昭和西川株式会社の常務取締役、西川ユカコさんにお伺いします。




――暑い日が続くと寝苦しい、寝付けないという人が増えてきます。そこできょうは、夏でも深い睡眠をとるための寝具選びのコツを伺いたいと思います。


西川:
暑さ対策と深く眠れることはベクトルが違うので、深い睡眠をとるための対策がまず先で、暑さ対策はその次になりますね。
寝具を選ぶ際に一番大事なのが、マットレスや敷布団など身体の下に敷くものです。
マットレスも敷布団も選び方は同じです。

人間はまっすぐ正しく立った時、背骨にS字カーブがあって、ヨコから見ると4~6センチ程度のくぼみがあります。
寝たときには、このくぼみが2~3センチ程度になるのがいいので、マットレスや敷布団の固さは、寝るとくぼみが2〜3センチ程度になるのがいいと言われています。
これ以上固いと、身体が反り返ってしまい、翌朝腰が痛くなったり、疲れが残りやすくなったります。逆に柔らかい場合は、身体が沈み込んで「く」の字になるので、こちらも腰痛のもととなります。

寝具のお店でまずは寝てみて、身体が反り返ったり、沈み込んだりするものは避けることで、自分にとってベストのマットレスや敷布団を選んでください。


――枕の選び方も、深い睡眠をとるためには重要だと言われていますよね。

枕を選ぶ際には、呼吸のしやすさがポイントになります。
ふだん下を向いて息をすると、うまく息が出来ず苦しくなりますよね。
寝ているときも枕が高くて顎が下を向くような状態になると、気道がふさがるので、いびきが出やすくなります。

枕を選ぶ際には、寝たときに自分の横顔が美しく見えるかどうかがポイントです。
枕が高いと顎が下を向くので二重顎になりますし、上げすぎると口が開いて間抜けっぽく見えます。

枕の適正な高さは個人差があって、頭のかたちや、首の太さと長さ、体型、頸椎のへこみの具合などいろいろな要素で変わってきます。


――枕を選ぶポイントは横顔ですか…

正しい枕を選ぶことの効用は他にもあります。

朝起きたときに「風邪をひいたかな」と思う時はありませんか?
寝ているときは、ウイルスを殺す唾液の分泌量が少ないので、口を開けて寝ていると風邪をひきやすくなるのです。

もし枕が低くて、顎が上向きで寝ていると、口が開いてウイルスが入り、風邪をひく可能性が高くなります。

適正な高さの枕を選ぶことは、寝ている間に風邪をひかない方法でもあります。


――なるほど。では夏の暑さ対策ですが、掛け布団やタオルケットはかけたほうがいいのですか?

夏でも掛けたほうがいいです。
昔からお腹を冷やさないようにと言われているのは正しいです。
また、汗かいたときは、気化熱で体温が奪われます。
何もかけていないと身体が冷えすぎるので、何かしらかけるべきですね。


――夏に夫婦間で困るのは、寝室のエアコンの温度設定です。一般的に男性は温度を低めに設定したがり、女性は高めに設定しますね?このエアコンバトルは、寝具選びで解決できますか?

一般的に男性は筋肉量が多いので体温が高く暑がりです。一方、女性は筋肉量が少ないので体温が低いし、低体温症の方もいて、部屋を冷やしたくない方が多いです。

寝室でエアコンを使う場合には、寝る前に冷やしておいて、寝るときに27,8度に設定するのがセオリーです。


――28度では暑くて寝られないという男性が多いと思いますが...

その場合は、別々の部屋にするしかありませんね(笑)。
とはいえ、寝具による解決策としては、「接触冷感」の寝具を選ぶという方法があります。

たとえば、体温の高い男性は化学繊維を好み、女性は麻など緩やかに身体を冷やすもの好みます。
それぞれの温度感覚に合わせて、こうした繊維を使ったシーツやベッドパット、ピローパットを選ぶといいですね。


――夫婦それぞれが別の寝具を使うのですね?

そもそもベッドの適正な固さも男女差がありますし、温度感覚も違うので繊維の好みも違います。

妥協点は見つかりますが、深い眠りを追求するならベッドを別々にするというのも1つの選択肢となりますね。
この記事の画像(3枚)

――夏になると気になるのが臭いです。家庭ではお父さんのベッド周りは、汗や整髪料の匂いが臭いと、お母さんや娘が寄り付かないということも。。こうした家庭内スメハラ対策は何かありますか?

ベッド周りのにおい、特に布団や枕カバーの匂いは気になりますよね。
こうしたケースは、寝具になるべく抗菌防臭機能のあるものを使うことです。

スメハラの温床、枕カバーだけでもすぐ始めてください。
思春期の女の子は、お父さんの匂いに厳しいですよ(笑)。


――お酒を飲んで帰ったり、特に締めラーメンをやったりすると、寝るときに匂いが取れませんが…

臭い以前の問題として、お酒を飲んだ後のラーメンはお勧めできません(苦笑)。

人間は寝始めの3時間で、1日の7~8割の成長ホルモンが出ると言われています。

成長ホルモンは、高い脂肪燃焼効果がありますが、満腹の状態で寝ると出る量が減りますので、脂肪を貯め、太りやすくなります

それと食べる時間帯の問題があります。
BMAL1(ビーマルワン)という体内時計をリセットするタンパク質があるのですが、こちらは体内の細胞に脂肪を貯め込む働きがあり、このBMAL1が一番作られるのが22時~2時なのです。

ですので、この時間帯にラーメンを食べてすぐ寝ると、ダブルで脂肪が身体に貯め込まれやすくなります。
締めラーメンは太りやすくなる条件がそろっていますね。


――反省します。きょうは有難うございました。

昭和西川株式会社 西川ユカコ常務取締役 睡眠負債