悪化の一途をたどる日韓関係。

8月6日、日本有数のコリアンタウンである東京・新大久保を訪れると、普段通りの賑わいを見せていた。

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しかし、コリアンタウンを行き交う人の胸の内は…

日本人学生(20):
韓国旅行に行くのは、さすがに今は絶対に行けない。友達とかも全部キャンセルしているので。旅費とかも全部払っちゃったけど…

日本人会社員(30代):
行こうかなと思ってたんですけど、ちょっと延期になりました。万が一のことがあったら困るので

夏休みに行くはずだった韓国旅行をキャンセルしたという日本人たち。一方、新大久保で飲食店を経営する韓国人が漏らしたのは、「これから影響はあるかもしれない。不安はあります」という不安の声だった。

今、両国民を不安にさせている日韓の対立。旅行にスポーツ、文化まで、日韓の対立によって広がる影響を見ていく。

東京五輪ボイコットの請願も…ミスコン&スポーツまで影響

韓国 文在寅大統領:
今後、起きる事態の責任も全て日本政府にあることをはっきり警告する

日本政府が輸出手続きを優遇する、いわゆる「ホワイト国」から韓国の除外を決めたことをめぐり、8月2日、韓国の文在寅大統領は報復を宣言した。

その中身は、洪楠基副首相が会見で発表した「韓国も日本をホワイト国から除外する」というもの。いわば、目には目をという対応だ。

さらに、韓国・大統領府のホームページには、「反省のない戦犯国日本でのオリンピックボイコット運動を平和の連帯として提案します」と、来年の東京オリンピック・パラリンピックをボイコットするよう求める国民の声が寄せられ、現在、約2000人の請願が集まるまでの事態に発展している。

8月6日、韓国ツアーに力を入れている日本の旅行会社を取材すると…

韓国ツアーを販売する旅行会社 旅工房:
(一部の客から)「今行っても大丈夫なのか?」という不安の声をいただくこともあります。7月の半ばくらいから、キャンセル数が増え始めたように感じます

8月3日には、ソウル市内で約1万5000人が集まる反日デモが行われ、デモ参加者の男性は「安倍がむかつくんだよ!最後まで戦わなければ」などと話した。

こうした背景から、夏休みの韓国旅行をキャンセルする日本人が増えているというのだ。

その影響は、文化やスポーツ交流にまで広がっている。

韓国で開かれるコンテストの1つである「ミス・コリア」の運営本部は、「日本の経済報復に対して全国民が不買運動を行う中、日本ブランドを宣伝する大会には参加できない」として、8月5日、日本で毎年、開催される世界を代表するミスコン
「ミス・インターナショナル」に韓国代表は参加しないことを表明した。

関係者によると、政治的な理由で本戦の出場を辞退したケースは、これまでなかったという。

さらに、ソウル市が今年10月に開催する「ソウルランニング大会」のホームページを見ると…

ミズノのマークが描かれたデザインで完成していた大会記念Tシャツが、ミズノの韓国法人が協賛社から除外されたことでデザインの変更が決まり、「準備中です」との文字が書かれていた。

また、韓国のある世論調査では、1年後に迫る「東京オリンピック・パラリンピックの出場をボイコットすべき」という意見が7割近くに上った。(韓国リアルメーター調べ/19歳以上502人回答)

「お互いに一歩も引けない状態」旅行時の注意点は?

こうした中、安倍首相総理は8月6日、輸出管理の優遇対象国から除外を決めて以降、初めて韓国について言及。

安倍晋三首相:
韓国には)国と国の関係の根本に関わる約束を、まずはきちんと守ってほしいと思います

韓国が日韓請求権協定に違反し、国際条約を破っているとした上で、適切な対応を求めた。

では、今後の日韓関係の行方はどうなるのか?韓国情勢に詳しい専門家に見解を伺った。

共同通信編集委員 磐村和哉氏:
お互いに一歩も引けない状態を作ってしまった
ところがあります。この状態がしばらく続くでしょうね。当面、打撃を受けるのは双方の航空業界と旅行業界。ですから、経済界のほうが「このままじゃ共倒れになる」と危機感を抱いて、事態の鎮静化を要求するという動きが出ない限りは、着地点が見出しづらい状況ではないかと思います

また、磐村氏は「反日デモは、日本大使館等の施設周辺で行われることが多く、そういった場所に気をつければ旅行に大きな影響はないのではないか」と指摘していた。

一方で、8月15日は日本統治からの解放を記念した「光復節」で、デモの範囲が広がる可能性があるため注意が必要だともしている。

(「めざましテレビ」8月7日放送分より)