「愚かで無責任な行動」

4月7日、アメリカがシリア政府の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃し、9人が死亡、多数の負傷者が出たほか、同基地の施設がほぼ完全に破壊されました。

日本はアメリカの同盟国なので、政府の見解も報道も当然アメリカよりの見方になります。

ですからここではあえて、攻撃された側のシリアとその最大の保護者であるロシアの立場から、今回の攻撃について考えたいと思います。

シリア大統領府は先ほど、声明文を発表しました。

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アメリカによるシリア空軍基地への攻撃は、「愚かで無責任な行動」だと非難しています。

シリア軍も声明を発表しています

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アメリカはこの攻撃をしたことにより、イスラム国やヌスラ(アルカイダ系武装勢力)の仲間になった、と非難。シリア政府はアメリカがどんなに邪魔をしようと、これからもテロとの戦いを続ける、と述べました。

シリアを支援する最大の保護者であるロシアのプーチン大統領は、国家安全保障会議に参加し、今後もシリアでの軍事作戦を継続すると決定。今回のアメリカによるシリア空爆を、「テロ行為」に認定しました。

「イラク侵攻開始を思い出させる」

シリアとロシアからみると、今回のアメリカによる攻撃は、シリアに対する主権侵害、侵略行為以外のなにものでもありません。

なぜなら、そもそもトランプ大統領が攻撃の理由としてあげているイドリブでの化学兵器使用について、それを行ったのがシリアのアサド政権であることを示す明確な証拠はあげられていないからです。

ロシアのラブロフ外相はこれを踏まえ、「今回のアメリカによるシリア空爆は、かつてのアメリカによるイラク侵攻開始を思い出させる」と強烈な皮肉をかましました。

2003年のアメリカによるイラク侵攻は、「イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有している」という理由で、国連のお墨付きを得ぬまま決行されましたが、結局、大量破壊兵器は発見されませんでした。

ラブロフ外相も、本気でこれがアメリカによるシリア侵攻の開始のサインだ!などとは思っていません。ただ、「アメリカって昔から、すぐに証拠もなく他者を悪者にして、あせって攻撃して、その結果墓穴を掘るよね・・・」と言いたいだけです。

・・・ラブロフ外相に直接聞いたわけではありませんが、私は彼の言葉をそう解釈しました。

シリアのアサド大統領は、今回の攻撃に先立って行われたクロアチアの新聞とのインタビューで、「我々はこの戦争に絶対に勝たなければならない。勝利以外の選択肢はない。なぜなら、我々が勝たなければ、シリアという国は地図上から失われてしまうからだ」、と述べています。

シリア国営通信

アサド大統領の懸念は、おそらく真実です。

私は、アサド政権が正義だのどうのと言いたいわけではありません。ただ、現在のシリア内戦のプレーヤーのうち、もしアサド政権が敗北してしまったら、シリアという国家は消滅するだろうな、と考えているだけです。


(執筆:Iiyama Akari)