過激派組織「イスラム国」が犯行声明

4月9日、エジプト北部にある教会2カ所で立て続けに自爆テロが発生し、47人が死亡、100人以上が負傷しました。

エジプトはイスラム教徒が多数を占める国ですが、国民の1割ほどはコプト教というキリスト教の一派を信じています。エジプトのコプト教徒は、中東に存在するキリスト教コミュニティーの中では、最大の勢力です。

今回標的にされたのは、このコプト教徒の教会で、彼らが聖枝祭を祝う儀礼をとりおこなっている最中に自爆テロが発生しました。

犯行声明を出したのは過激派組織「イスラム国」で、声明文には、2人のエジプト人「同胞」(「兵士」ではありません)がタンターとアレクサンドリアにある教会でそれぞれ自爆し、190人のキリスト教徒を死傷せしめた、と記されています。

イスラム国は昨年12月に発生したカイロのコプト教会での自爆テロについても、犯行声明を出しています。いみじくも先ほど彼ら自身が、「イスラム国がエジプトのキリスト教徒に対して実行した3つの攻撃」と題するグラフィックを公開しました。

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合計80人以上を殺害したとされています。

「イスラム国」の教義

エジプトには、イスラム国の支部があります。地元の武装勢力が2014年11月にイスラム国入りを宣言、それ以来シナイ半島を中心に、エジプト全土でしばしばテロ事件をおこしてきました。

エジプトに限らず、世界中のイスラム国支部や戦闘員、シンパらは、軍や治安当局者、政治家などを標的として攻撃していますが、彼らが強い敵意をむき出しにする標的のひとつが「異教徒」です。

なぜなら彼らの教義においては、「異教徒」は無条件で直ちに殺害すべき対象とされているからです。(厳密にいえば、イスラム国の統治に服し人頭税を支払うキリスト教徒には、生存権が与えられます。)

エジプトのイスラム国も様々なテロ事件をこれまでおこしてきましたが、この半年間のコプト教会に対するテロは3件ともが自爆であり、死傷者数も非常に多いという点で際立っています。

他にもイスラム国はコプト教徒を誘拐して惨殺するという犯罪行為を繰り返しており、シナイ半島からは多くのコプト教徒がそれを恐れて移住してきてもいます。

エジプトでは古来より、イスラム教徒とキリスト教徒が互いを「当然の存在」として共存してきました。歴史的にもほとんどの時代において、イスラム教の専門家は「異教徒」を迫害するより、うまく共存することを共同体全体の利益と考え、イスラム教の教義をその方向で解釈してきました。

イスラム国の恐ろしいところは、そうした解釈や知恵の全てを「イスラム教の歪曲」であるととらえている点です。


(執筆:Iiyama Akari)