入試&授業料で大きなメリットが!

近年の大学入試において、医学部が大人気です。私立医学部の場合、授業料が数千万円に昇るにもかかわらず、入試倍率は30~50倍という超高倍率になっています。

人気過熱の医学部受験において、「地域枠」という推薦入試があるのをご存じでしょうか?

「地域枠」=「医学部の地域枠入試制度」は、地方の医師不足等を解消することを目的に、大学医学部が実施している推薦入試制度のことです。国公立・私立を問わず、全国の60以上の大学で実施され、現在では 医学部定員の約6分の1を占めています。

実は「地域枠」受験なら、入試においても、授業料の面でも、受験生・学生は大きなメリットを受けられるのです。

3000万円以上もタダになる条件とは?

まず最大のメリットは、授業料が実質0円になること!

地域枠で入学した学生には、奨学金というかたちで、6年間の授業料が大学のある自治体から貸与されます。私立の岩手医科大なら6年間の授業料は3,440万円、兵庫医科大は3,760万円。

これが無料になるのは大きいですが、条件が1つあります。

それは、医師免許取得後に、その大学のある都道府県の指定医療機関において、大学在学期間の1.5倍=9年間を医師として従事すること。そうすれば、返済が免除されるのです。当然ながら、へき地や離島を含めた、医師不足が大きな課題となっている地域へ派遣されます。

一般受験は超高倍率だが、「地域枠」は…

「地域枠」のメリットはそれだけでありません。「地域枠」は、一般入試より倍率が低くなる傾向があります。

先ほどの岩手医科大の場合は、一般入試の倍率が18.7倍に対し地域枠が2.7倍。兵庫医科大の場合は、10.9倍に対して6.4倍となっています。(2017年度)

試験科目はどうなっているんでしょうか。

試験は多くの場合、1次試験と2次試験に分けて行われます。試験内容は大学によって様々です。大学センター試験を1次試験に充て、指定科目の80~85%程度の得点をボーダーラインにして選抜、2次試験では小論文や面接や口頭試問を行う大学もあれば、1次試験で学力試験を課し、2次試験では小論文や面接や口頭試問に加えて、大学センター試験の受験を課す場合もあります。

一般入試と比較すると、受験生の負担が軽減されるケースもあります。(高校時代の評定によって、出願できない場合があります)

「地域枠」のデメリットとは

メリットが多いように見える「地域枠」ですが、デメリットはあるんでしょうか。

「地域枠」では卒業後に、9年間にわたる勤務先の施設を指定されます。
その間は海外留学等のキャリアアップはできません。また、大学病院に残って基礎研究に従事することも叶いません。こうしたことは、医師としての将来の進路に大きな影響を与えます。

また、医師不足が深刻な医療過疎地域では、かなり過酷な勤務になり、休みを取ることが難しいケースもあるようです。

もし“約束”を破ったら…!

では“9年縛り”を履行しなかった場合はどうなるんでしょうか。

卒業後に、指定された医療施設で従事しなかった場合や、退学等で就学の継続ができなくなった時、卒業から2年が経過しても医師国家試験に合格しなかった場合などは、6年間の授業料を全額返還する必要があります。さらに、10%の利率での返済が求められる場合が少なくありません。

現在は、「地域枠」の半数が地元出身者枠となっていますが、半数は大学のある都道府県外からの受験できました。しかし厚生労働省は今後、原則として大学がある地元出身受験生に対象を限定するよう求める方針です。

「地域枠」で入学した医師が、9年間の勤務後も定着するなど、地方の医師不足解消が進むことが期待されます。


(執筆:Kusaba Gaku)