(冒頭画像:視聴者撮影)

事故を起こした男性が取材に答えた

千葉県市原市で、保育園児が遊ぶ公園に車が突っ込んだ事故。
園児をかばった30代の女性保育士が、足の骨をおるケガをし、警察は、車を運転した65歳の男性を過失運転致傷の現行犯で逮捕したが、男性は翌日、釈放された。

事故直後の様子(視聴者撮影)

5月16日午後4時半ごろ、市原警察署内。
相談に訪れた人々や、警察署員が行き交う中、男性は、事故当時と同じ、赤い服を着て1人で歩いてきた。

手錠はつけていない。釈放されたのだ。

当日朝に送検された際、つけていたマスクは外していて、柔和な印象を受ける。
男性に気づく人はいない。
正面玄関に向かって歩く男性に声をかけた。

ーー失礼します。●●さんですか?

少し間をおいて、男性が応じる。
 
男性:
はい。

「大変ご迷惑をおかけして申し訳ないです」

釈放された65歳の男性

正面玄関を出てすぐのスペースで、男性は立ち止まった。
男性は、警察署の門外から自身を撮影する取材カメラを見つめる。
承諾を得て、取材を進める。

柔和な印象は、話しぶりからも感じられる。
釈放された人物が取材に応じるのは、極めて異例で、真摯に説明する様子は、送検時の犯人然とした映像とギャップを感じた。

(下記、やりとり全文)
 
ーー事故を起こしてしまったことについて。
男性:
非常に残念だということで、被害者の方に誠実な対応を取りたいと思っています。

ーー30代の女性保育士の方が骨折している。伝えたいことは?
男性:
「大変ご迷惑をおかけして申し訳ないです」と伝えたいと思います。

ーー当時公園に5人のお子さんがいたことをどう考えている?
男性:
本当に怖い思いをさせてしまって、本当に、子どもたちなので。大変怖い思いをさせてしまって、大変かわいそうなことをしたな、と思います。

事故の状況「はっきりとは覚えてない」

事故現場の柵はひしゃげて倒されていた

ーー事故当時の状況について、覚えていることを。
男性:
その時は気も動転していましたので、自分でも「信じられない」という気持ちだったんです。

ーーコインパーキングから車で出ようとした時、何かが起きたのか
男性:
たぶん私の運転未熟だったかもしれませんけれども、そこら辺のことは、これから調べたい。そういうことだと思うんですよね。

ーードライブレコーダーは付けていたのか
男性:
そうですね。

ーー見返しましたか
男性:
はい、見ています。

ーー見返してみて、当時の状況は
男性:
私の方の運転が未熟だったところもあるかも、というところはありました。

ーーコインパーキングで車内にあるチケットを取ろうとしたら、車が急発進したのか
男性:
そこらへんはそういう声もあったかと思いますけれど、もう急発進していた状況だったので、はっきりとは覚えてないんです。
それも、私の未熟の運転から来ているな、というような感はしますので。

ーーチケットは車内のどこに置いていたか
男性:
車内のチケットは、すぐ脇のボックスで。色々探すことがないように、すぐ取れるような所に、置いてあります。

ーーブレーキはかけていたのか
男性:
そこらへんのところが、いま自分の記憶を定かにしながら、確認したいなと思います。

免許の返納「これから考えたい」

ーー現在65歳。高齢者とされる年齢で、免許の返納など決めていることはないか
男性:
それはこれから色々考えたいと思っています。

ーー保護者の方の中には、涙ぐまれる方も。園児が公園で遊んでいる間に、車で突っ込んでしまった
男性:
本当に申し訳ないことをしたなと思っていますので、誠意をもって謝罪したいと思っています。

ーー謝罪はどういう形になるか
男性:
まだ具体的には考えていないです。

ーーどれくらいの頻度で車を運転しているのか
男性:
相当な頻度で運転しています。毎日です。今回みたいなのは全く初めてなので。

ーー車の整備不良の可能性は
男性:
それはないと思います

ーー車検もしっかりと
男性:
はい、やっていますから。

事故歴なし「運転にはかなり自信がありました」

ーーこれまで運転している中、危険性を感じることは
男性:
いや、それは全くなかったんですよ。だから自分でもショックですね。

ーー社会的にかなり注目度が高い事件となった。お子さんたちの命を奪っていたかもしれない。
男性:
私も運転にはかなり自信がありましたし、こんなことが起こるとは思っていませんでしたので。
でもこういうことが起きたということはやはり何かがあったのかなというところがありますので、そこらへんのことは、これからよく考えながらやっていきたい。

――運転歴は
男性:
運転歴は、もう二十何歳ぐらいの時から。もう40年近く。

ーーこれまで事故を起こしたことは
男性:
ありません、ああいう事故なんか、初めてです。

ーー1度も事故を起こしていない
男性:
はい。スピード違反くらいです。

ーー免許停止の経歴は
男性:
ありません

ーー女性保育士が、自分の身を挺してかばうような形で、結果ケガをしている。その様子は見たか
男性:
その時はすぐお話しして、謝罪の言葉をかけています。

ーー当時、謝意を伝えられなかった保護者やお子さんに伝えたいことは
男性:
本当に申し訳ない事をしたなと思っていますので、これからは誠意ある対応をさせていただいて、謝罪させていただければと思っています。

ーー治療費などの負担も含めて
男性:
そうですね。そこらへんのところも考えさせていただきたい。

ーー任意捜査、実況見分などには協力していくのか
男性:
それは、もちろん。
 
誠実な印象を受けた。話しぶりに、嘘や悪意は当然感じない。

男性は、その後、徒歩で警察署を去った。

警察は勾留を継続したかったが…

逮捕翌日の釈放。

男性を過失運転致傷の現行犯で逮捕した警察は、警察は、現場の状況などを捜査した資料のほか、「10日間の勾留が望ましい」との意見書を検察側に提出した。 
しかし、検察は証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れがなく、勾留の必要はないと判断した。

事故直後の様子(視聴者撮影)

ある捜査幹部は16日午後、こう話した。
 
『検事が男性について「しっかりした方だ」と話している』
『どうも、勾留を必要としない可能性がある』
 
それから2時間後、男性は釈放された。

警察は、釈放後も、任意捜査を継続し、実態解明を進める方針で、今後、実況見分を行う見通しだ。
男性も協力する意向を示している。

(執筆:フジテレビ社会部 百武弘一朗)