すい臓がんは<患者数≒死亡者数>

ムッシュかまやつさんがすい臓がんのため亡くなりました。

スティーブ・ジョブズさん、坂東三津五郎さん、竹田圭吾さん、九重親方…これまで多くの著名人も、すい臓がんで亡くなっています。
 
日本では年間約3万8000人がすい臓がんと診断され、年間約3万3000人が亡くなります。患者数と死亡者数がほぼ同数である事からわかるように、発見後の治療が非常に難しい、悪性度の高いがんです。

この記事の画像(5枚)

すい臓はトウモロコシを横にしたような形で、胃の裏側に左右に横たわるようにあります。

消化に欠かせない多くの消化液が分泌されており、また血糖値を調節するインスリンやグルカゴンといったホルモン分泌も行っている、非常に重要な臓器です。

5年生存率が極めて低く、多くが「余命数カ月」

国立がん研究センターによると、がんと診断された全ての人の5年相対生存率は、男女計で62.1%でした。

一方、すい臓がん患者全体の5年生存率は、わずか7%に留まっており、他のがんと比較しても極めて低い数値です。

すい臓がんが“がんの王様”などと表現される所以です。

その理由は、すい臓がんの早期発見は極めて難しいことにあります。初期のすい臓がんでは、ほとんど症状が現れません。そのため、発見された時点ですでに進行していることが多々あります。

すい臓がんと診断されるのと同時に余命宣告されるケースも珍しくなく、その場合は多くが「余命…数カ月以内」となります。

人間ドックでの早期発見も難度高い

一般的な人間ドックで行われることが多い「腹部のエコー検査」ですが、それで早期発見出来ないのでしょうか?

すい臓がんは腫瘍の大きさが2cm以下の早期に発見しなければなりません。しかし、すい臓の周囲には多くの他の臓器があり、また胃のガスの影響等ですい臓がはっきり見えないこともあります。

腹部エコー検査で早期発見できる可能性は、1%以下というデータもあります。

手術出来るのは20%の患者さんだけ

すい臓がんの治療の中で、最も治療効果が高いものは外科手術です。基本的には、ステージ0期~3期までと4期aの一部は外科手術が選択されます。4期aの1部や4期bでは手術が適用されず、化学療法や放射線療法を施します。

ステージ4期の1部まで手術出来るから、多くの患者さんが手術の適用になるかというと、そうではないのです。実は、すい臓がんと診断を受けた患者さんの80%以上がステージ4期なのです。

すい臓がんは早期発見が難しく、また進行も速いため、手術可能な時期に発見できるケースが少なく、手術できるのは全体のおよそ20%程度に留まります。

手術出来たとしても90%は再発・転移

手術によって、がんをすべて切除できたとしても、約90%の患者さんが3年以内に再発・転移するといわれています。

その理由は、すい臓はインスリンなどホルモン分泌する臓器なので、血管を通じて周囲のリンパ節や遠くの臓器に、早い段階で遠隔転移しやすいからです。

また、すい臓周辺は内臓や血管、胆管などが複雑に入り組んでいるため、手術でどんなに丁寧に病巣を摘出しても、医師も気づかないほど小さながん細胞が散らばって残っていることもあるのです。

リスク回避の努力を!

早期発見が難しく、また早期発見して手術しても再発率が高い…となると、予防する方法が知りたいところです。

ところが、現在 すい臓がんを防止するための確立された方法はありません。ただ、すい臓がん発症のリスクを高くする要因はわかっています。

◇家系にすい臓がん患者
◇高齢(90%以上が55歳超)
◇糖尿病患者(リスク1.8~2.1倍)…
すい臓がん発症後に、糖尿病が悪化する患者さんも8%程度います。
◇慢性すい炎患者(リスク4~8倍)…慢性すい炎と診断されたら、定期的なすい臓がんチェックを受けましょう。
◇喫煙(リスク2~4倍)
◇多量飲酒(8年以上で1.2倍)…
8年以上にわたって大量の飲酒を続けた場合は、すい臓に負担がかかり、発症リスクが1.2倍になるとされています。
◇肥満(BMI 30以上→1.8倍)

…これらのリスク要因が2つ以上ある場合は、特にリスクが増加します。まずは飲酒・喫煙・肥満に注意しましょう。飲酒しながら喫煙する人のリスクは、そうでない人の10倍とも言われています。