卵子の老化は止められない

今、日本では6組に1組の夫婦が不妊に悩んでいると言われています。通常、不妊治療の最終段階は「体外受精」です。妻から採取した卵子に、夫の精子を振りかける、あるいは顕微鏡下で注入して受精させ、その後に培養した受精卵を、妻の子宮内に移植する方法です。

しかし、精神的・肉体的に重い負担と、多額の費用を費やしても、妊娠・出産に至らないケースも少なくありません。

さらに30代後半を過ぎると、体外受精で妊娠しても、流産する率が高くなってくるのです。その大きな理由の1つは、卵子の老化は止めることが出来ないからです。しかし、その『老化の壁』を超越する、不妊治療の「最後の手段」があるのです。

究極の不妊治療「提供卵子」とは?

第三者の卵子を仲介するNPO法人「OD-NET」によると、自分の卵子で妊娠できない40代女性が、匿名の30代女性から卵子を提供され、その卵子による受精卵を子宮に移植することで、今年1月に女児を出産していたことがわかりました。

これは、究極の不妊治療「提供卵子」による妊娠・出産です。

「提供卵子」による不妊治療の流れは、第三者の女性(ドナー)から卵子を採取し、夫の精子と体外受精させた上で、妻の子宮へ受精卵を移植するという流れになります。

つまり、若く健康な卵子を提供してもらって、夫の精子と体外受精する訳ですが、生まれてくる子には妻の遺伝子は受け継がれないことになります。そこには母として葛藤もあると思いますが、それでも踏み切らせる理由が「提供卵子」にはあるのです。

「提供卵子」なら45歳を過ぎても高い出産率!

アメリカでのデータになりますが「提供卵子」による出生率は、女性が45歳を過ぎても、50%前後を維持しています。

これは、通常の体外受精等と比較すると、圧倒的な成功率と言っても過言ではないでしょう。日本でも、第三者からの卵子提供を考える女性は、不妊治療を長く続けてきた40代半ば~50台の方が多いようです。

「提供卵子」に関する法整備は放置状態

ところが、「提供卵子」による出産について、日本では未だ法整備が全くされていません。また、日本産科婦人科学会は「体外受精は、婚姻関係にある夫婦のみに認められる」として第三者からの卵子提供を認めていません。そういった事情から、国内での卵子提供はほとんど行われて来ませんでした。

今回、ニュースで報じられた「OD-NET」によるドナーとのマッチングも、現在、新規登録は受け付けていません。こうした状況のままでは、今後も国内で「提供卵子」による不妊治療は、大きく広がらないと思われます。

「提供卵子」求めて、海外渡航が急増!

世界では「卵子提供」について法整備が進んでいる国が多くあります。2012年の統計では、世界で行われている体外受精の6%が「提供卵子」によるものなのです。そこで近年、海外で卵子の提供を受ける日本人女性が急増しています。

日本からの渡航者が多い国としては、アメリカやタイ、台湾などがあります。費用は国によって大きな差があり、最近は台湾に渡るケースが多いようです。

日本国内には「提供卵子」治療をサポートする仲介業者が複数あり、ドナーの選定や海外の医師の紹介等を請け負ってくれます。

1回目は夫婦で渡航し、検査の後、夫の精子を採取⇒仲介業者が決定したドナーから採卵し、夫の精子と体外受精⇒2回目は妻だけが渡航し、受精卵を子宮に移植⇒日本国内で検査、妊娠判定…という流れになります。

海外でも日本人女性の卵子提供が可能

海外での「提供卵子」だと、母親の遺伝子を受け継がないばかりか、いわゆるハーフになるのでは?

当然の疑問ですが、日本人女性は、やはり日本人の卵子を望む方が多いそうです。
そこで最近では、日本在住の女性が卵子提供のためだけに渡航するというケースも非常に増えているようです。

日本人女性の渡航費用・滞在費等は、すべて提供されるご夫婦が負担します。
またドナーには、卵子提供への「報酬」ではなく、「謝礼」名目で、50~60万円程度が支払われることが多いようです。

「提供卵子」のリスクと今後の課題

第三者から提供された卵子は、自分由来の細胞ではないので、流産や早産、大量出血の恐れがある癒着胎盤などのリスクや、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病が増えると言う声もあります。

日本は、年間4万人以上の子が体外受精で生まれる、世界有数の不妊治療大国です。
しかし、「提供卵子」で生まれた子供との親子関係や、子供が出自を知る権利についても、現在は規定する法律はありません。

様々なリスクを拡大させないためにも、一日も早い法整備が望まれます。