5月末のG7サミット首脳会議の経済分野のお膳立てとなったG7財務省・中央銀行総裁会議の声明には、2項目目に格差についての言及がある。

「世界経済が長期にわたる緩やかな成長、および大きくかつ拡大する格差に直面していることを認識する。(中略)格差は社会の一体性を脅かし…」

先進国、新興国とも“格差”の問題が表出

このところの世界政治におけるポピュリズムの蠢動、表出の根底には、“衣食足りて礼節を知る”の反対、いわば“衣食が足りないので不満の感情を選挙の投票行動にぶつける”(ポピュリズム政党・人物への投票)ということがある。

経済政策は近代民主主義下では議会などの多数議決で財政制度や財政の分配が出来上がるが、経済的不満の解消を人々が財政からの分配に求めた場合には、高成長の持続がない限り量的限界が来る。これは先進国でも、もちろん途上国でも同じだ。

経済格差の不満から派生するポピュリズム系の政党は、現状、保護主義、排外主義、に傾倒しつつあり、将来、経済成長を阻害するのは自明である。

グローバル化と分配の21世紀の新たな枠組みを

経済のグローバル化は急速で、ヒトモノカネが国境を越えて動く中、生産性が高い所に富が集まり、2008年のリーマンショック以降の先進国の過剰流動性と相俟って、富の偏在に拍車がかかる。ヒトの移動で安い労働力に人件費コストがさや寄せされれば20世紀と同じ給与はもらえず、外国人労働者と同じレベルに逓減していく。また、難民等への対応財源も生じ、経済全体での従前の分配の量も低減する。

つまり、先進国、また新興国で起きつつあることは急速なグローバル化に対応したバランスの取れた分配、そしてグローバル化前提の社会保障制度的枠組みがないことに起因する。

単純な世界均一のセーフティーネットシステムを政治が用意することは難しいだろうし、経済学、社会学でも新発想と新機軸を打ち出すのは難しいだろうが、ポピュリズムの頻発と低成長から抜け出すためにも人類の英知で工夫し、政治を中心に知恵を出す必要が生じている。