ミャンマーの少数民族「ロヒンギャ」の難民問題。
国連の高等弁務官が「集団虐殺」と言及するほど、世界的な関心事となっている。

平和に暮らしたい…

2017年8月にロヒンギャの武装組織がミャンマー西部ラカイン州で治安部隊に行なった奇襲攻撃。それに対する報復として治安部隊は、武装組織の掃討作戦を展開し、ロヒンギャの一般市民も巻き添えとなっている。

隣国・バングラデシュに逃れているロヒンギャ難民はすでに65万人を超えている。今でも1日に100人近くが国境を越え、流入は止まらない。


バングラデシュにたどり着いたばかりのロヒンギャの家族に話を聞くと「牛や子供を奪われたので、逃げてきました。ミャンマーの治安部隊は、私の村で3人殺し、さらに10~25人の女性を差し出せと言ってきたのです」と証言した。

その上で「バングラデシュで、平和に暮らしたい」とも語った。

しかし、そもそもなぜロヒンギャの武装組織は奇襲攻撃を行なったのか。

今回、FNNはロヒンギャの武装組織に接触する機会を得た。武力蜂起した彼らの目的は何なのか?話を聞いた。

ロヒンギャの権利をミャンマー政府に認めさせること

ARSA(アルサ、アラカン・ロヒンギャ救世軍)のメンバー

覆面姿で話し合いをする男たちは、ロヒンギャの武装組織「ARSA(アルサ、アラカン・ロヒンギャ救世軍)」のメンバー。2016年10月以降、ミャンマー西部ラカイン州で治安部隊と戦闘を続ける新しい武装組織だ。

ARSAは2017年8月25日に約30か所のミャンマーの警察施設を奇襲して、警察官ら12人を殺害し、犯行声明を発表。これにミャンマーの治安部隊が応戦し、ロヒンギャ住民の大規模な迫害に発展した。

このミャンマー軍の掃討作戦について、ARSAメンバーは次のように強く批判する。

「ミャンマー軍が子供たちを銃撃したので、村の男たちは抵抗した。ARSAメンバーではなく、一般人を殺害したのです」

ロヒンギャはミャンマーで厳しい状況に置かれている。

少数派イスラム教徒であるロヒンギャは、ミャンマー軍事政権下で迫害され、1982年に不法移民として国籍をはく奪された。国籍を認められず、移動の自由も制限されているため、国際的な人権団体も差別的な状況を厳しく批判している。

ARSAの目的は、ロヒンギャの権利をミャンマー政府に認めさせることです。我々の身分証は70年前に取られ、2012年からモスクや学校も禁止された。我々は、村を行き来する自由さえない。武器を持っていないので、戦えない。戻ったら一人ずつ殺される。国籍が認められるまでは、我々は帰らない」(ARSAメンバー)

一方で、彼らの奇襲攻撃がミャンマー政府に武力行使の口実を与えたことも事実である。これについてARSAメンバーは「我々はロヒンギャ救世軍です。ビジネスも宗教も家族も失い、怒っている。もし、正義が実現されるなら、この被害は受け入れられる。このような攻撃をすることで、我々の状況を世界に伝え、正義を実現できる」などと主張した。

組織の過激化は強く否定

一方で、新たな懸念も出ている。

イスラム過激派のアルカイダがロヒンギャのサポートを呼びかける声明を発表した。ARSAのメンバーは「我々は決して国際テロ組織の支援は受けない」と組織の過激化を強く否定した。

難民キャンプの上空より

避難したロヒンギャをめぐり11月、バングラデシュ政府とミャンマー政府は帰還を進める合意書に署名をし、ミャンマー政府による機関受け入れは1月中にも始まるともいわれている。

こうした中、1月5日、ラカイン州で再びARSAによるミャンマー治安部隊の車両への襲撃が発生し、隊員3人が負傷した。ARSAは犯行声明で「ミャンマー軍による掃討作戦は続いていて、戦うしか選択肢がない」と強調した。

ロヒンギャの難民化や迫害が長期化すれば、さらなる武装闘争に発展する可能性もあり、世界が問題の行方を注視している。