笑顔が溢れた福島県・浪江町立津島小学校の運動会。

主役は唯一の在校生・須藤嘉人くん。

震災後、福島県二本松市の仮校舎で再開した浪江町の津島小学校。

須藤嘉人くん:「(一人だと)遊ぶ人があまりいなくて」

震災前、浪江町には小学校が6校あったが、このうち5校は児童の減少などで休校。

津島小学校も、2020年の春からは在校生が嘉人くんだけとなり、2021年春に休校する。

校長:「実施を見送っている学校も少なくないんです。ただ、うちの場合はやらないわけにはいかない事情がありまして、来年ないんですよね」

10月下旬、地域の人を集めて運動会の打ち合わせが行われた。

浪江町を覚えていてもらおうと、嘉人くんは故郷にちなんだ種目を考えた。

須藤嘉人くん:「津波とかで、故郷がなくなった人達を喜ばせたい。元気に場を盛り上げられるような、運動会にしたいです」

浪江町から避難している原田雄一さん。

毎年、運動会では『なみえ焼そば』を振る舞い、子どもたちに故郷の味を伝えてきた。

2020年は新型コロナウイルスの影響で、焼きそば作りは出来なくなったが、“記録係”を任された。

浪江町から二本松市に避難・原田雄一さん「最後、嘉人くんが頑張っている様子を、いきいきと撮ってあげたいなと思います。(みんなで)一緒にできるっていうのは、なかなかこれからないと思いますので。雰囲気も楽しませていただければなと思っております」

運動会当日。

地域の人や卒業生など約60人が集まった。

リハーサル中の嘉人くんの顔は、どこか緊張気味。

開会式

須藤嘉人くん:「今年のスローガンは『笑顔で絆を大切に誇り高く力のかぎりはばたくぼくらなみえっ子』です。今日は一緒に楽しみましょう」

震災後は体育館で行っていたため、嘉人くんにとっては最初で最後の校庭での運動会。

浪江町から二本松市に避難・原田雄一さん:「たった一人の児童に、これだけ皆さん協力するってすごいですよね。本当に」

毎年、地域の人も参加して盛り上げてきた運動会。

嘉人くんが伝えたかったのは“感謝”だった。

須藤嘉人くん:「みなさん楽しんでいただけましたか?津島小学校の児童は僕一人ですが、最後の運動会を皆さんと一緒にできて、本当に嬉しかったです。この出会いを大切にして、中学校でも頑張ります。今日は本当にありがとうございました」

感謝を伝えようと頑張った運動会…嘉人くんの想いは笑顔になって返ってきた。