「異常なし」が一転、進行した乳がん発見のナゼ?

マンモグラフィで「異常なし」と言われたのに、その後、進行したがんが見つかってしまうケースがあります。

その原因を解くカギは、乳房のタイプにありました。

そもそも乳房は「乳腺」と呼ばれる腺組織と脂肪組織でできており、その乳腺組織の割合が高いタイプを「高濃度乳房」と呼びます。

現在主流のマンモグラフィでは、腫瘍(がん)は白く写るのですが、実は、乳腺組織も白く写ってしまうのです。

つまり「高濃度乳房」の女性は画像全体が白く写ってしまう。ですから、医師の診断では「異常なし」とされても、実は進行した乳がんが見落とされている危険性があるということです。

それを踏まえて今回、乳がん患者団体が「高濃度乳房の女性がマンモ検診を受けた場合、『異常なし』ではなく、『判別困難』と伝えること」などを申し入れました。

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日本人女性の8割が「高濃度乳房」

米国人女性の高濃度乳房の割合は約4割。しかし、なんと! 日本人女性の割合は7〜8割にものぼるのです。特に若い女性や、やせた女性に多く見られます。
しかし現状では、マンモグラフィの結果は「異常なし」か「異常あり」かだけが書類で通知されるのみで、「高濃度乳房」と判明しても、そのことを伝えられることはありません。

では、ほとんどの日本人女性にはマンモグラフィは意味がないのでしょうか? 

そもそもマンモグラフィの一番の特徴は、乳房内の「石灰化」を発見すること。乳がん細胞の約半数は石灰化するので、マンモ検査を受けることで、触診では発見できない5mmくらいの小さい初期がんも発見できます。マンモグラフィにも重要な意味があるのです。

では「高濃度乳房」の女性はどうすればいいのか? 最も高い確率で乳がんを発見できる方法は何でしょうか?

「マンモ+超音波」で精度1.5倍に!

そこで紹介したいのが、超音波検査です。この検査方法なら、乳腺が発達している人の乳房でも乳腺と腫瘍との違いが明確にわかります。
東北大学が40代の女性約7万3000人を対象に行った研究では、マンモグラフィに加えて超音波検査も行ったグループでは、がん発見率が約1.5倍となりました。しかも、2cm以下の初期乳がんの発見率が高かったそうです。

とはいえ超音波検査だけでも不十分

マンモグラフィと組み合わせることで、「高濃度乳房」の女性の乳がん発見精度を大きくアップさせる、超音波検診。
ただし、超音波検診を受ける際に、絶対に注意すべき点が1つあります。

それは超音波検査は技量の差が大きい、ということ。

プローブと呼ばれる装置を乳房に当てて検査するのですが、その角度や動かし方によって画像が動くので、習熟していない先生だと1cmほどの大きな腫瘍でも見逃してしまう可能性があります。その一方で、慣れている先生なら3mmくらいの小さな病変でも見つけることができるのですが。

医師の技術に依存してしまうので、確実とは言えません。マンモグラフィと超音波検査と、それぞれの利点と欠点を把握して両方受けたほうがいいでしょう。

日本人の乳がん罹患率は、1996年に女性の悪性腫瘍の中で第1位となりました。生涯に乳がんを患う日本人女性は、現在、12人に1人と言われています。

乳がんや子宮がんなど、婦人科系のがんは若年でも発症することがあります。実際、若い女性の乳がん罹患率も上昇してきています。

これには女性の結婚が遅くなったことなども関係あるかもしれません。未婚女性の乳がん死亡率は、既婚女性の3.7倍と報告されています。出産経験がない、初産が30歳以降、などもリスク要因となります。

職場など健診のオプションに乳がん検診があるなら、ぜひ若い女性も受けていただくと良いと思います。