2020年の風景のコーナー。

美浜町で、関西電力が原発の運転を始めて、2020年でちょうど50年となる。関電は現在、美浜原発3号機について、国が定める原則40年の制限期間を超えた運転を目指している。原発の再稼働に向けた、町内の動きを取材した。

美しい砂浜で知られる福井県美浜町の水晶浜。奥には、関西電力の美浜原子力発電所が見える。

美浜原発が立地する美浜町。人口は県内で3番目に少ない、およそ9200人。

戸嶋秀樹町長は、最近、ある言葉をよく口にする。

戸嶋町長「半世紀」「半世紀」「半世紀」

1970年。関西電力として初の、美浜原発1号機の運転開始。

そこから今年で50年。美浜町は半世紀にわたり「原発のある町」として歩んできた。

2号機、そして3号機と次々に運転がスタート。

原発に関わる企業も広がり、地元経済に大きな影響を与え、国からの交付金は、町の財政運営にも大きく関わってきた。原発と立地地域の関連性などを研究する専門家は、近年の美浜町についてこう指摘する。

東洋大学・井上武史教授「原子力の運転に携わる人材、それを周辺で支えている企業の雇用が減少してきたのではないか。特に美浜町は再稼働がされていない状況なので」

2011年の福島第一原発の事故で、全ての原発は停止に。そして美浜1.2号機は廃炉が決定。美浜町の原発は、10年止まったままだ。

今年9月。残る美浜3号機は、再稼働のための安全対策工事が完了した。ここから、町内は慌ただしく動き出した。

福井テレビ 小川一樹記者「関西電力は美浜町では初となる取締役会を、原子力事業本部で開催します」

関電の原子力事業本部。原子力部門の中枢です。金品受領問題に端を発した関西電力は、風通しのよい職場づくりとガバナンス体制強化のため、取締役会を原発が立地する美浜町で開催。

再稼働に必要な「地元同意」。そのため関電は「信頼回復」が急務だった。

関電は町民に対しての報告会を、1週間で、町内4カ所で行った。

住民「再稼働はダメだとかって話はなかった」「あまり質問もなかったから納得されたんじゃないですか」

11月9日。

関西電力は森本社長以下、役員らがまた美浜町に集結し、地元の商工会、観光などの代表を招いて開いた懇談会を開催。

住民からは「漠然とした不安は残っている」「不信感の解消が必要」といった意見がある一方…

住民「力を合わせながらよりよい会社にしていくと力づよい言葉を聞いたので、町民としては大きな不安は持っていません」「10年というのは我々にしてみたら空白感というか。安全が確認できたものに対しては動かすというのは、そうじゃないと経済は回りません」

こうした声に町長は…

戸嶋町長まだ議論できる状況にはないと思うが、理解は進んできていいるのかな。」

11月16日。国も動く。

経済産業省・資源エネルギー庁の幹部が美浜町入り。

エネ庁幹部「美浜町の再稼働について、ご理解とご協力をお願い致します」

戸嶋町長「原子力政策は国の政策なので、そこから要請があったということは、始動、ということに受け止めたい」

町長のギアも変わった。

11月19日。臨時の美浜町議会。

戸嶋町長「議会の判断も賜りたいと考えております」

町長は、再稼働に向け、議会での検討を求めた。

11月31日。町主催の住民説明会。

町民200人を前に、国の関係省庁が美浜3号機の再稼働の必要性を説明。

再稼働への強い反対意見はなかった。

戸嶋町長「理解深まるいい機会になったのではないか」

今後、美浜町では、12月議会で再稼働について議論される。ただ、杉本知事は関西電力が年内に使用済み核燃料の中間貯蔵施設の場所を明示することを再稼働の条件の1つに挙げている

この2カ月。再稼働に向け活発な動きがみられる。

美浜町が原発と共存して半世紀。その行方はどうなるのか…