「加入は任意で入退会も自由」…のはずだが
世の中の環境が変わる中、改革が必要だと言われているのが学校の『PTA』。
そもそもどんな組織か、分かっているようで意外と分からないという人も多いかもしれない。
まずは基本的な情報を確認してみよう。
まず、PTAとは、「Parent Teacher Association」の略で、「親と先生の会」という意味。
歴史は長く、19世紀末にアメリカで始まり、戦後、GHQの推奨もあり日本に導入された。
文科省によると、『学校と家庭が相互の教育について理解を深めあい、その充実に努めるとともに、地域における教育環境の改善・充実等を図るもの』と理解が難しい言葉で説明している。
ただし、実は、「加入は任意で入退会も自由」…のはずだが、そうとも言えない実態がある。
「ブラックPTA」にかかわるそれぞれの立場の方に話を聞いた。
18日、東京で現役のPTA役員や学校の先生などおよそ80人が集まり、会合が開かれた。
話し合ったのは…「ブラックPTA」の体験談や改革案。
参加者:
「こんなブラック企業ありません」
「PTA問題というのが言われ始めてもう何年も経つんですけれども…」
参加した保護者たちからの悲鳴の声を具体的に見ていくと、まず一番多かったのが「役員決め」の悲惨さ。
“くじ”で強制的に…「役員決め」の悲惨さ
参加した女性:
「去年の冬ぐらいに校長から、『あんた(PTAに)1回も立候補してないよね、しなさいよ』と校長命令みたいなものが文書で来た」
「くじで委員長にあたっちゃって」
「強制的に最終的にくじを引かされまして、引いてしまいまして…」
「できないんですと言うと、そこで役員さんに取り囲まれて、いろいろと子供への不利益を言われた」
さらに役員を自ら引き受けた人からは、「こんなはずではなかった」という声が…
現役PTA役員:
「役員決めの段階で電話をいただいて『どういう仕事ですか?』とうかがったとき、それだったら時間的にフルタイムの仕事しながらでもできるかなと思ったが、蓋をあけてみたらその何十倍の仕事が待っていた」
「誰もなり手がいないならやめてしまえばいいが、やめることもできない八方塞がり」
任意加入なのに…「辞められない」
また、こんな声も…
「やめますと言っても『やめさせません』と、絶対やめさせてもらえなかった」
「なんか変じゃないかなと思うところが見つかってきて、じゃあ一回やめてみようと思ったら…」
その後、 恐ろしいことがあったという。
PTA非会員:
「仲の良かったお母さんから、残念ながらそういう対応はよくないんじゃないかといった電話が来た」
「脱会する意思を示した当初は初めてのことだと言われました。退会するならば子供を登校班に入れないということが役員会で決められました」
半ば「脅し」の様な引き留め。
今回参加した保護者の学校でもPTAに入らない人は、多くて数パーセント。半ば強制的に加入しているのが実情のようだ。
一方、苦労しているのは保護者だけではない。
役員決めを担任の先生が決めるケースも
学校の先生:
「本来の仕事じゃないなと思うんですけど。打診の電話したら、『なんでうちにそんな電話するんですか』と。『すみません、くじで決まったんですけど』と電話すると、『なんでくじで決めるんですか』と。なんでこんな思いしなくちゃいけないんだろうと担任として思った」
どの立場から見ても苦しい状況になってしまっているPTA。
果たして、いい解決策は見つかるのか。
入った人も入らない人も、先生も「なぜこんなことに…」などと3者共に不満があり、特に役員になったことが困ったことを引き起こす事例が多いようだ。
家族の病気でも…「出てこい!」
役員をしていたAさんは夫が手術をすることになったため、「辞めたい」旨を伝えると、他の役員が「絶対やめさせません」と猛反対。
夫が集中治療室にいるから休みたいと言っても「出てこい!」と脅迫めいたメールが送られてきて、毎日誹謗中傷をされた。
子どもも巻き添えに…
役員を辞めたいと伝えたところ、子どもがいじめにあった。田んぼから突き落とされたりすることもあったという 。
「ブラックPTA」といわれるようになった背景には、社会の変化がひとつの理由だと言われている。
専業主婦世帯の割合を共働き世帯が逆転し、忙しい中で、ベルマーク集めや卒業式での先生への贈り物を探すなど、やる意味があるのか?という声が挙がっているようだ。
一方でメリットも…
しかし、良いこともあるという。
聞こえてきたのは、『子どもたちの様子を近くで見ることができる』、また、『教育に熱心な保護者と関われる』といった「やってみたら意外とよかった」という意見もあった。
(東海テレビ)