9月18日に渋谷で開催されたホウドウキョクのトークイベント。「人はなぜ祭りを求めるのか?」をテーマに、パーティークリエイターのアフロマンスさんが泡パなど数々の事例を紐解きながら、「祭り」を構成する要素を解説。

【司会】
ドミニク・チェン(情報学研究家)
市原えつこ(アーティスト)

【ゲスト】
アフロマンス(パーティークリエイター/DJ)
和田永(アーテイスト)
岸野雄一(スタディスト)

アフロマンスが分析する「アフロマンス」とは

アフロマンス:
僕は「パーティークリエイター」という肩書で、「アイディアで非日常な体験を作る」というコンセプトで活動しています。

僕のやっていることを知っている人たちは、「イベントを企画する人?」って感じていると思うんですけど、僕の中ではイベントはツールの一つなんです。

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アフロマンス:
僕の根底には「世の中に、もっとワクワクを」提供していきたいという思いがあって、イベントは左上の「体験」のところなんです。

それを言葉にしたり、絵にしたり、ソーシャルメディアで展開したり、連携させるのももちろん大事なんだけど、やっぱり元のアイディアが良くないと、なかなかうまくいかない

だから一番中心になるアイディアから全部作って、最終的に社会の中に熱量を作りたいなという気持ちがコアにあります。

市原えつこ:
アフロマンスさんのイベントは毎回、数万人集まるぐらいの「モンスター動員」ですよね。

アフロマンス:
いやいやいや、そんなことないですよ。それは多分SNSに騙されてますね。人が入っている所しかアップしないので。(笑)

大成功しかし…「泡パ」ウラ話

アフロマンス:
僕の紹介がてらイベントを2つ見ていただきましょう。まずは「泡パ」でございます。

これは名前の通りで泡にまみれて踊るイベントです。みんなが楽しい感じは分かるし、泡かけてる僕も楽しいんですけど、イベントの「意味」はよく分からない。(笑)

アフロマンス:
最初は2012年の7月に原宿でやったんですけど、当時ってSNSはまだそんなに普及していなかったんですね。

Facebookも今のような「アフロマンス」ではなく個人名だったんですけど「泡パ」の書き込みはすごくバスりました。これモニターの解像度が低いので僕の本名がいい感じに見えなくなってますね。(笑)

アフロマンス:
初回と2回目は成功を収め、もう個人的にノリにノッていたんですよ。その時は普通の会社員で 、これは趣味でやっていたんですけど「もうフェスやるしかないっしょ」みたいな感じになって、同じ年の夏に豊洲の「WILDMAGIC」(キャンプなどができる屋外スペース)を借り切って、日テレの「スッキリ」とかにも5分くらい特集されて、すごい「わーっ」て気分になってたんですけど…

アフロマンス:
これが台風直撃しまして大赤字。そこまで「超」稼いだお金が、本当に「泡」とともに消えて、むしろ全然マイナスに落ち込んだんですけど、でも懲りずにまだやってます。

アフロマンス:
今日のトークテーマは「祭り」なんですけど、たまたま今年は「泡フェス祭」というものをやりました。

ステージ上で踊ってるのは、日本唯一の阿波踊りのプロ集団である「寶船」さんで、前々から何か一緒にやろうと話していたんです。それで「泡×阿波踊り=泡踊り」っていう感じで、みんな泡にまみれてしっちゃかめっちゃかで踊るみたいなことをしました。

市原:
アフロマンスさんは巨大な「泡放射マシン」を持ってるんですよね?

アフロマンス:
画像の右下に映ってるシルバーのやつですね

市原:
もう、人を殺せそうな感じですよね。

アフロマンス:
これはアメリカの業者に頼んで、いい車を買えるくらいの費用をかけてオーダーメイドで作りました。一応3台持ってて日本のいろんなところで泡を出してるっていう感じです。なので「泡が必要な時」は是非アフロマンスで検索してください!

実は“しくじり”連発の「Slide the City」

アフロマンス:
あと「Slide the City」というアメリカ発祥のイベントを日本でやっています。これも「祭り」の話しに関わりがありそうだと思ったんですけど、普通に「ウォータースライダーイベント」じゃなくって「究極のストリートパーティー」っていう言われ方をしています。

アフロマンス:
始めるきっかけになったのは、2014年にYouTubeやFacebookでバズった、シャーッって滑っていく映像です。「なんか原理はよく分からないけど日本でやったら絶対面白いじゃん!」っていう感じで問い合わせをしたら…

アフロマンス:
「まさかの公式ライセンス取得」

市原:
早い!

アフロマンス:
実際に早くて、問い合わせをしてから締結まで3か月くらいでした。実は、バズったすぐ後に問い合わせをしたのは、大手広告代理店さんとテレビ局さん、あと僕の「株式会社Afro&Co.」の3社だったんですが、なぜか僕が勝ちました。

ドミニク・チュン:
おお、すごい!

アフロマンス:
今はアメリカの主催者と「飲み友」になるぐらい仲がよくなったので分かるんですけど、結局向こうもベンチャーで「やっちゃおうぜ」というノリが僕に近いんですよね。

だから、すぐに連絡が来て「今年中に日本の5か所でできる?」とか「来週中に○○○万円振り込んでもらえる?」とか言ってくるんですよ。さすがに大手企業だとそんな事できないじゃないですか。そんな時に僕が「了解!」って即答したので、たぶんそれで決まったんでしょう。

市原:
え、○○○万円振り込んだんですか?

アフロマンス:
振り込みましたよ本当に。でもそれが悪夢の始まりだったんですよ。

「Slide the City」の悪夢

アフロマンス:
まず「そんな場所がない」。

写真のモノは幅12m長さ300mもあって、しかも直線なんですけど、そもそも日本にはそんな坂なんかほとんどないし、あったとしても道路封鎖とか簡単にできないじゃないですか。

でも、たぶん和田さんもそうだと思うんですけど、面白いことをやる人って ちょっと頭が悪いというか、勢いというか、あとさき考えずこれやりたいって言うところが…ありますよね?(笑)

和田永(アーテイスト):
一緒にされた!(笑)

アフロマンス:
いや、和田さんは考えてるかもしれないですけど、僕は振り込んでから契約書を見たくらいの感じだったんです。

アフロマンス:

おまけに、ものすごいお金がかかるんですよね。このイベントはモノの量が5tトラック10台分とかそんなレベルなんですよ。だから一回、大分県の別府でやったんですけど送料だけで数百万吹っ飛んで、まさに(泣)です。

アフロマンス:
その割に、道路を封鎖したりするので一か月間とかできないですよね。だから土日48時間限定などにするんですが、当然滑れる人数が限られてくる。計算していくと1人当たりの料金って結構高くなるんです。初回だと一回滑るのに2000円でした。ウォータースライダーにしては高いなとか悩んでいたら、また事件が発生しちゃいました。

市原:
「しくじり先生」みたい。(笑)

アフロマンス:
スプライトの年間スポンサーが決定してテレビCMが放送されたんですが、実はあの映像はCM用に撮影したのではなくって、イベントの様子を撮っているんです。だから逆にいうと、僕がイベントをやらないと夏のテレビCMが撮れないんです。でも場所なんて何か月も決まらないから、毎週「すいません、まだ見つかってません」って報告に行くような状況に陥ってしまったんです。

アフロマンス:
そんな途方に暮れてる中、お台場にあるビーナスフォートの屋上を見に行ったんですね。でも「屋上でやっても遊園地っぽいし、なんか違うよな」とあきらめて、東京テレポート駅に向かう途中の広場を見て「こんな場所でできたらいいな」と思って足元見たら看板(黄色い枠内)があるんです。

アフロマンス:
そこに「この場所の問い合わせはこちら」って電話番号が書いてあったので、その場で電話をかけたら、たまたま出た人が「Slide the City」を知ってて、やりましょうってなったんです。

この場所は東京都のものなので、いろいろ書類を出さなきゃいけないんですけど、それもその人がすごい協力をしてくれました。いろんなイベント会社とかロケハン会社とかにお願いしましたけど、結局自分が歩いているときに見つけた看板で決まったんです。

アフロマンス:
実際にやった写真がこれですね。かなりお金をかけたので「チケットが売れず、これがコケたら死ぬ」みたいな感じだったんですが、数日で1万枚がソールドアウトしました。ただ、ここでも“しくじり”があったんです。

アフロマンス:
前売りで1万枚売っちゃったんですが、当日になってみたら1回滑るのに2時間半待ちという状況になっちゃったんです。今ここにイベントに来たお客さんがいたら謝罪するしかないんですけど、一応アメリカでの1日の動員数・回転数を調べたうえでチケットの数を決めていました。

でも日本人とアメリカ人の性質の違いなのか、アメリカ人は「ウェ~イ」とか言って10人ぐらいで一気にガンガン滑っちゃうんですよ。でも日本人は「きゃっ怖い」みたいな感じで滑り込みのスピードが倍以上違うんです。
それで人数を消化できなくてこういう状況に陥ってしまったんですが、この状態を表した名言があります。

アフロマンス:
「本当の学びとは、経験からしか得られない」

これは僕アフロマンスの名言なんですけど、次の年からはちゃんと改善して人数をコントロールしています。

アフロマンスが考える「祭り」

アフロマンス:
では、“祭り” について最近僕が感じているキーワードを中心に話してみようと思います。

アフロマンス:
これは、ひらめいた瞬間に書くしかないと思ったんですけど、分かりやすく言うと「観るだけじゃなくて、感じるような時代」になってきている気がします。

「観客」って不思議な言葉で「観るお客さん」っていう意味じゃないですか。でも音楽イベントやクラブの現場も結構変わってきていて、純粋に音楽を聴くスタイルだと満足できないというか、もっと体動かしたりとか一緒に踊ったりとか、そういうことが求められていると思います。

「いいパーティー」や「いいイベント」は、実はいろんな要素が複雑に絡み合ってて、どんな人たちが来ているかとか、温度とか、匂いとか、そういうことも全部含めて「いいパーティー」なんですよ。

「いいアーティスト」を呼んだけど、そこまで到達できないイベントはけっこうあります。「感じる」ことだから説明がすごい難しいんですけど、そう思っています。

いい「祭り」は子供がめっちゃ踊っている

市原:
岸野さんのお祭りに最近行ったんですけど、小学生以下ぐらいの子供が、DJのクラブミュージックで、めっちゃ踊っていました。あれは「いいイベント」なんだってことが すごく分かりやすくて、子供こそ「感客」なんでしょうね。

岸野雄一(スタディスト):
子供はだませないからね。いくら「これが今イケてるんだよ」とか言っても子供はそんなの通じませんから。

アフロマンス:
本当に純粋に反応してくれるのがすごくいいいですよね。

市原:
子供が狂ったように踊ってるイベントは「いいイベント」ですよね。

アフロマンス:
子供は、泡出すと本当に狂ったようになりますから。泡に向かってきて「うわ~!」って。

「観る」から「リアルな感覚」を求める時代へ

アフロマンス:
テクノロジー的な見方をすると、「観客」という感覚が広まったのは、ここ30年ぐらいのマスメディアのせいなのかなと思います。言い方変えれば「観客」は「視聴者」じゃないですか。

テレビとかラジオがメインだったときに、そのメディアが伝えるコンテンツって「見る」とか「聞く」なんですよね。映画も音楽もプロモーションビデオも、全部マスメディアに対応して、いつの間にかみんなもそれに慣れてたんですよ。

でも「お祭り」や「演劇」とかは、その場に足を運んで体感するものだったんですよね。

市原:
そうですね。「祭り」などは現場がすべてと言いますか、パッケージング化して発信するのは結構難しいものがありますね。

アフロマンス:
だから、実は新しいことが起こっているのではなくて、みんなちょっと前の感覚を取り戻してきている感じなんでしょう。

SNSでも、リアルな体験をシェアするようになっていて、一方向のことを見るだけではなく「感じる」というリアルなところに回帰しつつある。
そういうところに「泡パ」も入っているんだと思います。

ドミニク:
Facebookで2万「いいね」されたアフロマンスさんの投稿が、もし大手企業による広告だったら、全然違う見方をされていたんでしょうね。口コミで広がったがゆえに、いい広がり方をしたように思います。

市原:
個人がやってる熱量みたいなものって、やっぱり透けて見えますよね。

ドミニク:
逆に、後ろにでっかいプロダクションがあったら、そこはバレちゃうでしょう。本当に好きな人がやろうとしてるのかって安易にバレちゃうと思うので、さっきのSlide the Cityの公式ライセンス取得も、相手に何かが伝わったんだろうなと考えながら聞いていました。

アフロマンス:
企業はいろんな数字を分析したり判断材料に使ったりしますが、フィール(感じる)って数字化できないんですよね。だから「イベントやりましょう」といっても「それよりWeb広告打った方が効率いいじゃん」みたいに、話しを通しにくかったんですけど、そうじゃない時代がやっぱりきているんでしょう。

祭りとイベントの共通点

アフロマンス:
あと、祭りとイベントの共通点だと思ったのは、見てても楽しくないこと。
例えば「泡パ」って、自分のコンテンツに言うのはあれなんですけど、正直別に見てても楽しくないんですよ。

映像コンテンツを撮るとすごいんだけど、ショーじゃないので見るだけだと別に楽しくないんだけど参加したらメチャ楽しいみたいな感覚が「祭り」と同じだなと思って、もう泡にまみれなきゃ損みたいな感じになるわけですよ。自分で考えてみると、意外と祭りとイベントの共通点ってあるなと思いました。

アフロマンス:
そもそも祭りってコンテンツじゃなくて「場」であり、そこに集まる「人々」を含めて「祭り」って言うんだろうなと思ったんです。

だから「何をやるか」じゃなくて「どうやるか」、「what」じゃなくって「how」という感じで、「伝え方」が大事なんだろうなと考えています。

僕は「早朝フェス」っていうイベントをやっているんですけど、平日の朝6時半から出勤前に集まって踊って、そのまま出勤していくっていう、それこそよく分からないイベントです。

市原:
一回行こうとして寝坊したことあります。

アフロマンス:
確率的にいうと僕がやっているイベントで一番前売りを買った人が来ないイベントですね。

出社前ということもあってノンアル・ノンスモーキングだし、朝活的な文脈があるので普段クラブに行かない人たちがいっぱい来るんですよね。

そうすると「リードとガイド」がすごい大事
になってくるんです。

「リード・ガイド」がないとノレない人々

アフロマンス:
遊び慣れた人たちは普通にDJが回してたら勝手に「ウェ~イ!」ってなるんですけど、「早朝フェス」のお客さんは「どうしよう?」みたいな感じで、立ってるだけになっちゃうんですよ。

そういう時に僕が手をたたくと、みんなも手をたたく。

これは今のシーンでは象徴的なことなんですけど、みんなすげー素直なんですよ。それこそ僕がDJブースを出て、前で跳ねた方が盛り上がるんです。つまり音楽やこの場の楽しみ方を「リード」してあげているわけで、DJには今インストラクター的な側面もあるんです。

EDM=お祭りの踊り

アフロマンス:
お祭りの踊りにも一定の「カタ」があるじゃないですか。
右手出して左手出して掛け声があってみたいな感じと、EDMで「スリー、ツー、ワン、ゴー!」って言った瞬間にみんなジャンプするみたいなのは、かなり似ている気がします。

身体的なことってすごい大事なんです。

よく会議とかの場で、「じゃあみんなで背伸びして」みたいなことをやって体をほぐすことあると思うんですけど、体と心は繋がっているので、同時にみんなが同じように動くのは一体感を生むきっかけになるんですよね。だからEDMや振付は、阿波踊りと同じなんだなって思っています。

アフロマンス:
あとファッションとの関連もあって、例えば「Slide the City」というイベントがあるからこそ、お台場を水着で堂々と歩けるんですよね。同じ人でも普段のお台場は絶対に水着で歩けないですよ。

だからお祭りやイベントには、普段は冒険したくてもできない人が服装やメイクなどで冒険するための「リードとガイド」的な意味があるんです。

アフロマンス:
「日常と非日常」みたいな言い方をよくしますけど、日常は「理屈」でできていると思うんですよ。

何の仕事に就くのか、どこに住んでどういう人生設計するのか、いろんな選択は理屈で考えるじゃないですか。理屈って、突き詰めて考えると100人いたら100人が同じ答えになることだと思います。月30万円もらえる仕事と50万円の仕事があったら、わざわざ安い方を選ぶ人はいないっていうのは理屈ですよね。

でも、理屈じゃなくって「なんかいい」とか「なんか面白い」とか「なんかワクワクする」ものをみんな求めていて、それがお祭りなんじゃないかと思うんです。

「低音卓球」はよく分からないけど楽しそう

アフロマンス:
例えば、僕のよく分かんないシリーズに「低音卓球」っていうのがあります。

アフロマンス:
ソニーさんとコラボレーションでやったんですけど、これは卓球台をくるっと丸めた筒なんです。そこで卓球しながら大きく反響する音を楽しめるっていう…これもいくら説明しても、やってみないと分かんないと思います。

でも「なんか面白そうだな」とか「楽しそうじゃん」みたいな感じがすごい大事で、逆に理屈で説明できることってあんまり面白くないと思っているんです。

市原:
あ~!すごい超名言ですね。

ドミニク:
本当にそうですね。

刺身とハウスミュージックの共通点

アフロマンス:
理屈じゃない系の例としては「マグロハウス」っていうイベントがあります。ハウスミュージックを流してマグロを解体するっていうイベントなんですけど、これもマジで意味はないです。きっかけになったのは、スシローのテレビCMで赤身をさばくのがハウスのPVっぽいなと思った事なんですけど、やってみたら意外とハマったんです。

岸野:
たぶん刺身を均等に切り分けるっていう感覚が、ハウスとすごく相性がいいんでしょう。

アフロマンス:
そうですよね!意外と共感していただいてますね。(笑)

あと、このイベントは今日のテーマの「祝祭」と共通するところがあると思います。イベント開始から2時間ぐらいはマグロを出さないので「飢え」もあるんですけれど、登場した瞬間の「ウワーッ!」って言う感じは、まるでメジャーな外タレが出たときみたいな盛り上がりなんです。

それが、どんどん解体されて、頭を取って「カブトー!」とか見せるたびに「ウワーッ!」ってなるんです。

これは、きっと特別な「食」なんですよね。狩猟とか魚の漁とかで獲物が獲れた時の「とったどー」みたいな感じだと思います。

岸野:
生贄だよね

アフロマンス:
イイですね!たまに入ってくるこの感じがすごく(笑)。このイベントは海外からの渡航者にもすごく好評なので、説明しなくても分かる共通の観念みたいなものが、みんなにあるのかなって思っています。

アフロマンス:
僕は「祭りで人は幸せにはならないが救うことはできる」と思っています。
ちょっと宗教的な話になるんですけど、アメリカには「バーニングマン」っていう砂漠の中で1週間ぐらい開くイベントがあるんですけど、それは親切の心をとても大切にする独特な社会システムで成り立っているんです。

バーニングマンに見る「祭り」と「宗教観」

アフロマンス:
会場内ではお金が使えずギフティング文化が成立していて、自己表現を究めようというテーマにのっとって、みんなが考えたことを表現するんですけど、その連続で7万人ぐらいの町が出来上がっているんです。

さっき言ったような「理屈」でできた普通の社会ではなくて、親切な心と自己表現が自由な場所で、みんながクロスオーバーしていくとどうなるのか、という世界なんですよ。

アフロマンス:
バーニングマンでは普通の日常生活のことを「デフォルトワールド」、会場の中を「プラヤ」って言うんです。会場のゲートを通過するとデフォルトワールドではないから名前も変わるんですが、これは戒名だなと思いました。

宗教的に考えると「デフォルトワールド」が「この世」「バーニングマン」は要するに「あの世」なんですよ。もっとブレイクダウンしていくと、「日常」っていうのが「この世」で、「非日常」は「あの世」なんですよね。

アフロマンス:
バーニングマンって砂漠の中で7万人がEDMで踊りまくっているんですけど、その先に「テンプル」っていうお寺があるんです。そこは一週間前ぐらいに作った急ごしらえの建物なんですけど、みんなが失った大切な人の遺品を持ってきたり、壁じゅうにメッセージが書いてあったりして、有名なお寺より「気」がすごいんですよ。

その建物のところでは音楽も鳴ってなくて無音なんです。もうパーティーピーポーもそこに来ると「しゅん」となって1時間ぐらい普通に瞑想とかしているんですよ。

それを見て人間っぽいなと思ったんですよね。

どんなパリピだって悲しいときがあるわけで、人生は楽しいことばっかじゃないわけですよね。そういう2面性というか、「わーい」って騒ぐことも、深い時間を作ることも大事なんだと思って、「The Lantern Fest」というイベントをやりました。

アフロマンス:
そういうテーマでやったイベントなんですけど、別に「こんな意味があります」という説明はしていません。でもみんなの中にうまく響いて、限定300名の応募に、参加希望が28万件も来たんです。

誰もが、そういうものを根底から求めているのかなと思いました、というのが最後の喜怒哀楽的な話でした。

市原:
このルックスから想像していた話と全然違う内容でした。

アフロマンス:
だから言ったでしょ、僕は意外と真面目ですよって。(笑)


(執筆:H.SCHOOL)

↓9月18日に開催されたホウドウキョクのトークイベント動画はこちら