あれは何だ!鳥か飛行機か…UFOか

5月も終わりに近付き、いよいよやってくる夏。
キャンプにバーベキューとアウトドアが盛んになる季節だが、望遠鏡をかついで天体観測に、という人もいるだろう。

4月には、世界で初めて撮影に成功したブラックホールの映像が発表されたとして“宇宙熱”が盛り上がったが、そんな宇宙とも関連がある、こんなチェック表が話題になっている。



星野村@星の文化館公式Twitterアカウント(@hoshibun_staff)より
星野村@星の文化館公式Twitterアカウント(@hoshibun_staff)より
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「『空の光はなに?UFOかな?』と あやしい光を見たら誰に聞けばいいの?と思ったときのチェック表を作ってみました」


この投稿をしたのは、福岡県八女市星野村にある公開天文台「星の文化館」の公式Twitterアカウント。

チェック表は「はい」「いいえ」で答えていくチャート式になっていて、“あやしい光”が見えた方角や色、光の動き方などに答えていくと、その正体がわかるようになっている。

筆者は空をスーッと移動していく光を見て「絶対UFOだ…」とワクワクした経験があるのだが、さっそく「夜に見た」「光の色は白で、点滅していない」などの遭遇状況をこのチェック表に照らし合わせてみると…

UFOではなかった模様
UFOではなかった模様

「白い光がゆっくり空を横切った?」という項目にたどり着いた。
まさにこれだ!と思ったのだが…… チェック表によると、これは「人工衛星、もしくは飛行機の窓の可能性がある」との結果に。
欄外から「人工衛星はよく見るとたくさん飛んでいる。全て地上から監視されているぞ」という豆知識を得たものの、少々ションボリしてしまった。


よくよく見てみると、この チェック表がたどり着くのは「惑星・恒星」「飛行機」「カーブミラーの反射」さらには「飛蚊症など、目の症状(早めに病気に気付けたこともあるぞ!)」など、 全てUFOではないものばかり。

これは「UFOは存在しない」という悲しい結論を示しているのだろうか。
しかし、もしかしたらこのようなチェック表が必要なほど“UFO目撃談”が寄せられているのかもしれない…さっそく、星の文化館にお話を聞いてみた。 

きっかけは「見知らぬ光を怖がる人へ…」

――このチェック表を作ったきっかけは?

天文台に勤めていますと「見知らぬ光を見たけど、何ですか?」という質問を受けることがあります。年齢も性別も幅広くいろんな方が疑問に思われているようです。
天文台への問い合わせで疑問が解決すれば良いですが、中には本当に怖がっていらっしゃる方もいて、気軽に楽しく空の光を判別できるシートがあればいいなと思ったのがきっかけです。
また、星はきれいなものなのに、いわれもなく怖いものと思われているのがかわいそうで疑いを晴らしたくもありました。


――「あやしい光を見た」という問い合わせは多い?

全国的にどの天文台でも問い合わせは多いのではないでしょうか。ただ、ここ星の文化館は休館日の火曜日以外は毎日昼から夜まで開いていて、宿泊施設も併設しているので、お問い合わせを受ける率が高いのだと思います。
お問い合わせが増える時期というのはあります。明け方に明るい星「金星」が見え始める時期、冬に「シリウス」等明るい恒星が低い空に輝く時期、空がきれいで飛行機雲などが良く見える時期によく受けます。テレビやネットで話題になった時にも増えます。冬は空が澄んでいる上に明るい星が輝くので目に付くのだと思います。

星の文化館外観(星の文化館提供)
星の文化館外観(星の文化館提供)

星の文化館によると、このチェック表を作ったきっかけは、“あやしい光”への問い合わせに答える中で「楽しく判別できる表があればいい」と思ったこと。
確かに、見慣れない光を「なんとなく怖い…」と思ってしまった人には、辿れば正体がわかるチェック表があれば安心だろう。

 UFOの存在について食い下がって聞いた

 チェック表が生まれたきっかけについては納得だが、やはり気になるのは「UFOは存在するのか否か」!
“あやしい光”を見つけても、チェック表のとおり、UFOである可能性はないのだろうか… 


突然だが、“UFOっぽい光”とはどんなイメージだろうか。
あくまでひとつのイメージだが「ジグザグに走る」「すごいスピードで消える」などが挙げられるはずだ。
このイメージをチェック表に当てはめてみると、その正体は「サーチライト」。
ライトが雲に当たり、すばやく動く“あやしい光”に見えることがあるのだという。 

(イメージ)横浜・八景島シーパラダイスのサーチライト
(イメージ)横浜・八景島シーパラダイスのサーチライト

――ジグザグに動く光はUFOではない?

「サーチライト」のこともありますが「鳥」などのこともあり、なかなか一緒に見ていないと「これ」とは言えないのが難しいところです。
よくあるのは「流れる雲のそばに星が見えていたとき」。実際は雲が動いているのに、星の方が動いていると錯覚しやすいです。雲がかかれば星は消えますよね。また、雲は途切れていたり不定形だったりします。このような雲に騙されて変な動きと思うことが多いです。


 “あやしい光”の正体の特定は難しく、かなりUFOっぽい「ジグザグ走行の光」もサーチライトや鳥、雲など身近なものが正体である可能性が次々挙がってしまった…しかし、“UFOいる派”としてはその存在をまだ信じてみたい。

星の文化館によると「全てのパターンを入れるには紙面が足りなかった」とのことで、チェック表には省略されている部分もあるという。
たとえば「夜、点滅しない赤い光を見た」という人はチャートが途切れてしまうだろう。 

Twitterからも「このパターンは?」と様々な目撃情報が寄せられていたが、この“チェック表の隙間”にUFO存在の可能性はないだろうか… 

 「広い宇宙のどこかには…」 

 ―― チェック表で判別できない光には、UFOの可能性アリ?

チャートに当てはまらないものは素直に「謎の光」で取っておくのはどうでしょう。
その時の状況を詳しくまとめて覚えておいて、いつか謎が解明される時がくるのを待つのがいいと思います。

どういったものが「UFO」かと言うことは、ここではできません。私自身が見たことがないからです。
「UFO」や「宇宙人」はいるかと言われると、「広い宇宙のどこかにはいると考えられます」。では地球に来ているかと言われるとそれはなかなか難しいんじゃないかな?と思われます。どこかに生命はいるだろうと考えられるくらい宇宙は広く、また気軽に来られないほど宇宙は広いのです。


――大きな反響がありましたが…

ここまで反響があるとは思っていませんでした。びっくりしています。
皆さんUFOが好きなんだなと感じました。 

(星の文化館提供)
(星の文化館提供)

 ――このチェック表から天体に興味を持った人へ…

空の光を見て、このチェック表が気になった人は、なにげないところから不思議を発見できる素晴らしい感性の持ち主なんだと思います。
もしここに書いてあるどれにも当てはまらなかったら、それは「不思議な光」としてとっておいてください。まだわかってないだけでいつか解明されるかもしれません。 そして宇宙や星空に興味を持ってきたら近くの天文台や科学館に行ってみてください。 


星の文化館は「泊まれる天文台」

今回はUFOに興味津々のユーザーたちによって話題となったが、星の文化館では壮大な天体ショーを見ることができる。

星の文化館には九州最大級の「100cm反射望遠鏡」や1時間ごとに投影されるプラネタリウム、展示コーナーや展望台があり、最大の特徴はプチホテルを併設した「泊まれる天文台」であるということ。

口径100cmリッチー・クレチアン式望遠鏡(星の文化館提供)
口径100cmリッチー・クレチアン式望遠鏡(星の文化館提供)

宿泊施設の中には宇宙船内をイメージした内装の「スターキャビン」などもあり、一日中天体観測を楽しむことができるのだ。 

映画セットのような「スターキャビン」(星の文化館提供)
映画セットのような「スターキャビン」(星の文化館提供)
「天文ラボ」には宇宙人の姿が…?(星の文化館提供)
「天文ラボ」には宇宙人の姿が…?(星の文化館提供)

天文台から発信され、話題となったこのチェック表。
今回お話を伺った中では、UFOの存在は完全に否定されるものではないようで、一安心。
もし「チェック表に当てはまらない光」を見た人は、ロマンを感じつつ次回の遭遇を待ってみてほしい。 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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