6月に入り、学校や職場では「衣替え」のシーズンが到来した。薄手のシャツや半袖シャツに着替え、過ごしやすくなった人も多いのではないだろうか?
そして、暑いのは何も人間だけではない。福島県郡山市の「イワナの里 のんびり温泉アルパカ牧場」が、5月末に子ども4頭を除いた25頭の毛を刈り、afterの様子をツイッターに投稿したのだ。
「毛刈り終了です」のコメントとともにアップされたその姿は頭や顔の毛を残し、体はきれいさっぱり。
頭以外はモフモフ感がなくなったアルパカのギャップある姿は話題となり、23万いいねがついている。(6月5日現在)
でもどうして体毛を刈り、頭部の毛は残しているのだろうか。アルパカ牧場の担当者に話を聞いた。
毛を刈る理由は熱中症対策
ーー毎年この時期に毛を刈っているの? その理由は?
寒い地域に生息するアルパカの毛の本来の役割は、凍えないための本能ですよね。体の熱がこもりやすいんです。逆に夏は発汗作用が不十分になり、暑さには弱く、熱中症や熱射病の恐れがあります。そこで、この予防のために毛を刈っています。
ーー毛を刈ることで体に悪い影響はない?
「日光が直接皮膚に当たって良くないのでは?」などと懸念される方もいますが、特に体に悪影響を及ぼすことはありません。それよりも、この時期に刈らないことの方が、熱中症などの危険性があります。
刈った毛を毛糸にして活用
ーー今年はいつ刈ったの?
5月28日から3日間に分けて刈りました。
ーーその毛はどうするの?
毛をほぐしてゴミを取り除き、きれいに洗って乾かし、毛糸にします。また、その毛糸でぬいぐるみを作り、牧場のカフェで販売もしています。
ーー刈った毛の量はどれくらいになるの?
一頭あたり約3キロになります。ただ脚やお尻の部分の毛は短くて、毛糸としてはあまり適していません。実は、毛にもプレミアム(首からお腹周り)、セカンド(首など)などとランクがあり、だいたい商品として使える部分でいうと、1.2キロから1.5キロくらいになります。
実は頭の毛を刈ったアルパカもいる
ーー刈る時はやっぱりアルパカは暴れる?
そうですね(笑)。刈る際には脚をベルトなどで固定してから、作業しています。
ーーいつも気になっていたのが頭や顔の毛。これは刈らないの?
個体の毛質によります。硬めで逆立っている毛の場合はそのまま残し、ペタッとしてパーマが掛かったような毛質では、丸刈りのような形にしています。毛が立っていた方がアルパカの可愛らしさが出ると思い、刈らずに残しています。これを私達は「ライオンカット」と呼んでいます。
ーー頭を刈るのもやっぱり嫌がる?
それは、あまりないですね。しかし、刈りにくいところもあって、カットには技術を要します。カットは、似合うか似合わないかという判断で個体にあった形にしています。
なんとライオンカットのアルパカが印象に残っているが、実は頭を刈っているのもいるというのだ。こちらの方が全体の3分の1ほどと少ないようなので、訪れた際には探してみるのも面白いかもしれない。
(画像提供:イワナの里 のんびり温泉アルパカ牧場)