今年9月のMGCで東京五輪代表狙う
2019年3月、名古屋ウィメンズマラソンの会場で、契約するスポーツメーカーのラジオブースでゲストとして登場したプロランナーの神野大地選手、25歳。
4年前、2015年の箱根駅伝で、神野選手は登り区間で驚異的な走りを見せ、青山学院大学の優勝に貢献。「山の神」と称えられ、その名は全国に知れ渡たった。
現在は、マラソンで東京オリンピックを目指しているプロランナーだ。
2019年3つの目標
この記事の画像(12枚)東京都内にある神野選手の自宅を訪れると、2019年の目標を書いた色紙を見せてくれた。そこには、3つの目標。
①マラソン2時間6分台
②MGC2番以内
③女優・永野芽郁さんに会う
神野選手:
「(①の目標について)このタイムを目指して体作りをしていくっていう目標です。(②の目標)これはもう明確です、これが達成してオリンピックが決まったら、なんかここ(③の目標)もありそうな気がしますけどね(笑)」
神野大地選手:
「駅伝だったりとか、ロードレースっていうのがずっと好きでやってきて、少しずつ学年が上がるごとに距離を伸ばしていって、その後はって言ったらもうマラソンしかないので、マラソンで勝負したいという思いでやっていますね。僕にとってのマラソンは人生だと思っています」
2019年3月に開催された東京マラソンで、5度目のマラソンに挑戦した神野選手。
小雨が降るレースは棄権が続出したが、神野選手は日本人4位ながら、東京オリンピック代表決定レース、MGCの出場権を獲得。
2019年9月に開催されるMGCで、東京オリンピック代表への切符2枚を争う。
高校時代の監督「ピョンピョン跳ねる面白い子」
神野選手が生まれたのは愛知県津島市、走ることが大好きな野球少年。
中学入学後は野球と陸上を両立。2年の途中で陸上に専念するも、目立った実績は残せなかった。
しかし、中学時代の神野選手を知る高校の恩師、小田監督はその才能に気付いていた。
中京大中京高校陸上部 長距離 小田和利監督:
「バネがあってピョンピョン跳ねるような、こんな小さい子が何で歩幅は高校生とかわらないくらいのストライド(大きい歩幅)で走れて、それでいて結構長い距離を走っても、しっかりついてくるもんですから、面白い子だなという印象がありました」
小田監督の誘いもあって中京大中京高校に入学するも、始めは同級生の女子選手に負けるほど。それでも努力を積み重ね、少しずつ花が開いていった。
大きな決断…プロランナーへ
2011年開催された愛知駅伝。高校3年生の神野選手が驚きの走りを見せた。何と12人抜き、津島市代表として山登りでぐんぐん順位を上げ、区間2位に。
中学時代無名だった選手が、高校で大きく成長した。
小田監督:
「一人コツコツとみんなが終わった後でも、補強(トレーニング)は人一倍していましたし、5000mでいうと1年で1分ずつという、非常に驚異的な短縮の仕方をした」
大学卒業後「山の神」の称号を手に実業団に入社。
しかし、2度のマラソン挑戦もMGCへの出場権を獲得することはできなかった。
神野選手:
「僕が中学校のころに、速くなかったからこそやっぱりみんなと同じことをしていたら僕は駄目だと、もともとそういう考えでずっとここまでやってきていているので、自分の実力を考えた時に、このままみんなと同じ環境でやっていたら、絶対に僕はオリンピックに届かないという思いもあったので、だったらプロになって…」
決断したのはプロランナーに転向すること。
去年4月に実業団を退社し、1日の全てをマラソンに充てることができるようになった。
トレーニングの舞台はケニア、そしてエチオピア
プロランナーになり、トレーニング場所に選んだのはアフリカ・ケニア。
神野選手:
「やっぱり一番強い国に行かずして、マラソン人生ないなって思って。ふとケニア行こうかなってところから始まって、ケニアに行きました」
ケニアは現在、男子マラソンの持ちタイムトップ10に6人も名を連ねるマラソン強豪国。神野選手は標高2300mのイテンという街でトレーニング。
メダルを狙えるほど高い能力の選手達と練習を行い、それが大きな刺激となった。
神野選手:
「シンプルに強くなるためには完璧な環境なので、日本でトップになったり、世界で戦ったりするためには(トレーニングは)ああいう場所なのかなと思います。こういう挑戦できるのもプロランナーだからこそだと思っているので、その良さとを存分に生かしていって勝負できるかどうかだと自分は思っている」
さらに栄養士と共に、食事面も見直した。
この日のお昼の献立は、ネギトロ丼、野菜スープ、五目豆、キャベツのごま塩昆布、きのことレンコンの天ぷら、イチゴヨーグルト。
カロリーの消費が多いランナーのため、全体的に量は多め。さらに栄養バランスを考えた食事が丈夫な体を作っている。
神野選手:
「(ご飯)1合くらいは毎回食べますよ。いい練習をして、いい食事をして、初めて人は強くなれると思っているので、いい練習しただけで、適当な食事してたら成長はないと思うので。僕は食事も練習と思っていますけどね」
決してエリートではない道を歩んできたからこそ自ら考えて工夫し、多くの時間をマラソンに費やしてきた。
神野選手:
「今までの積み重ねが、最後のMGC、代表が決まる大会で結果が出る、そういうレースになると思うので、今までの努力は一番誰にも負けないという自信があるので、ほんとにチャンスあるなと思っていますし、これまでやってきた努力を振り返れば、絶対一番重要なところで結果出せるんじゃないかなっていう思いもあります」
4月5日、羽田空港…。神野選手が次のトレーニング場所に選んだのは、ケニアに続くマラソン大国・エチオピアだ。
神野選手:
「単純に強くなりたいという思いがあるので、ケニアも良い環境だと思っていますしエチオピアでも強くなれる環境があるんじゃないかなと思っています。内面的な部分でも変化して帰ってきたいと思うので、とにかく一皮剥けた神野大地で帰国できたらなと思いでいます」
東京オリンピック日本代表という頂へ。プロランナー神野選手の挑戦は続く。
(東海テレビ)