続いては特集です。
6月9日はお茶の話題についてです。
お茶には様々な種類がありますが、6月9日は、煎茶や深蒸し茶などの原料となる「荒茶」と、抹茶の原料となる「てん茶」の生産についてお伝えします。
宮崎県は、「荒茶」の生産量が全国4位です。
4月に行われた荒茶の初入札会では、平均価格が1キロ8583円と、去年よりも2500円ほど高く取り引きされ過去最高を記録しました。
背景には生産農家の減少、そして世界的な抹茶ブームによるてん茶への生産転換がありました。
(森山裕香子記者)
「私たちの身近な飲み物のひとつ、お茶。このお茶をめぐり、生産者や加工販売業者は大きな転換期を迎えています」
新富町で50年以上にわたり日本茶専門店を営む新緑園です。
店の裏手に広がる2ヘクタールの茶畑で年間およそ6トンの荒茶を生産し、自社で足りない分を他の茶園から仕入れています。
例年は、4月から7月にかけて1年分の荒茶を仕入れますが、今年は異変が起きています。
(新緑園 黒木信吾社長)
「ここは、1年間販売するお茶の原料、荒茶を保管する冷蔵庫になります。今年は仕入れ価格が非常に高いので、例年より在庫も少ないですね」
茶商でつくる団体の会長を務める黒木さんによりますと、今年は一番茶の荒茶の平均価格が1キロおよそ4000円と、去年と比べておよそ2倍に上昇しているということです。
(新緑園 黒木信吾社長)
「価格が今年は高くなると予想はしていましたが、ここまでは予想していなかったので、今後は急ピッチで販売の作戦を練り直さないといけないなと感じています」
急激な価格高騰。
その要因は、生産者の減少、そして、抹茶ブームに伴う「てん茶」への生産転換です。
県によりますと、荒茶の生産農家は、10年前には597戸ありましたが、去年は340戸まで減少しました。
こうした中、生産が急拡大しているのが抹茶の原料となる「てん茶」。
県内の生産量は、おととしが182トン、去年は304トンに増えました。
JAみやざきによりますと、平均価格も入札を始めたおととしと比べ、今年は3倍になっているといいます。
(新緑園 黒木信吾社長)
「一番は、抹茶の販売が世界的に広がっているので、生産面ではシフトする人が非常に増えていると感じています」
新緑園でも去年の秋に、てん茶を抹茶にする加工機を導入しました。
(新緑園 黒木信吾社長)
「この数カ月でも何十件という問い合わせが弊社にも来ているので、それに対応するために製造販売をしています。大きな抹茶のうねりがあって、世界にいま大きく広がっていると肌で感じます」
新緑園では、抹茶を含むおよそ100種類、年間およそ50万袋の商品を販売しています。
しかし、今年の新茶からは、仕入れ価格の高騰を受け低価格帯の商品を減らして対応。
また、100gで販売していた商品を80gに減らさざるを得ない状況です。
(新緑園 黒木信吾社長)
「販売価格が非常に原価的に厳しくなっている面があるので、当社では内容量を少し減らして販売しています。それ以上に、お茶の仕入れ、あるいは諸費用が全て上がっているので厳しい面はありますが、それでもこれでやっていこうと思っています」
抹茶ブームという新たな波がもたらした、お茶の可能性と生産農家の長年の価格低迷からの脱却。
一方で、煎茶などのお茶を取り扱う加工販売業者は、初めての事態に直面し、厳しい経営を強いられています。
(新緑園 黒木信吾社長)
「高値といわれている荒茶の価格が、今後はスタンダードなものになっていくと思います。お茶も、消費から流通、全ての面において、変化している真っ最中だと思います。そこにいかに対応していくかが、企業の力になると思うので、諦めずに前向きにやっていきたいと思います」
煎茶と抹茶、そのバランスを取りながらの工夫が続く中、茶業界にいま、大きなうねりが押し寄せています。