医療期間を悩ませている診察の「無断キャンセル問題」で、6月から「キャンセル料」の徴収が可能になる。問題は解決に向かうのか。イット!では「1日3件キャンセルが出ることがある」という歯科クリニックを取材した。
歯科医院「キャンセル率」平均約10%
取材班が向かったのは、千葉・船橋市の「かわせみデンタルクリニック」。多い日は1日で約40人から50人ほどの患者を診ているという。
予約制をとっているクリニックの受付に貼られていた紙には「直前キャンセル・無断キャンセル」、「6月よりキャンセル料が徴収可能になりました」の文字があった。

かわせみデンタルクリニック・中村瞬院長:
残念ながら無断キャンセルっていうのは、1カ月で10人ぐらいですね。ざっくり計算で2日に1回ぐらいは、無断キャンセルの患者さんがいらっしゃるのかなという感じです。
連絡はいただけたんだけども、30分前で「ごめんなさい、今日行けません」とかっていうものを含めるのであれば、1日3件とかキャンセルが出ることはあります。

歯科クリニックでは、患者に合わせた準備が必要となり、診療時間も1人あたり30分から1時間ほどと長くかかるため、予約制としているところが多いのですが、院長の頭を悩ませているのが、診療予約の無断や直前の「キャンセル」だ。

キャンセルによる影響の1つが収入面。
かわせみデンタルクリニック・中村瞬院長:
3カ月に1回のクリーニング、メンテナンスで、だいたい3000円以上支払われる方が多いと思う。そうすると(患者3割負担の場合)実際の私たちの収入としては、3カ月に1回のメンテナンスでだいたい1万円ぐらいの収入があるんです。
キャンセルという形になってしまうと、1万円の収入が丸々なくなってしまう形になるので、かなり大きな痛手になります。

平均的な歯科医院を予約した人のキャンセル率は、全国平均で約10%といわれていて、1年間で計算すると、約192万円の損失になる。
かわせみデンタルクリニック・中村瞬院長:
それが(診療用)椅子1つ当たりなので、ユニット(診療用椅子)がもし5台あるような医院さんであれば単純に5倍なので、年間1000万円弱ぐらいの赤字は出てるのかなという感じ。かなり大きい金額になってきます。
キャンセルによる痛手は、これだけではない。
かわせみデンタルクリニック・中村瞬院長:
スタッフたちも患者さんのために事前にいろいろ準備をした物を、結局これ全部ムダになっちゃった、片づけなきゃ、次の人の準備しようってなると、モチベーションにも響いてきますし。
実際に6月からキャンセル料徴収?
こうした中、6月からルールが変わるのが、「医療機関での診療キャンセル料」の運用だ。

厚労省は、これまで曖昧だったキャンセル料について、一定のルールのもとで請求できるとしたのだ。

医療機関がキャンセル料を徴収するためには、事前に、キャンセルした際には料金が発生することを説明し、患者から署名による同意を得ている場合や、院内やホームページなどにキャンセル料の内容と金額を、わかりやすく掲示する義務など細かいルールが定められている。

また、公共交通機関の大規模な乱れや、台風などの自然災害、急な発熱・体調悪化、直前ではなく数日前のキャンセルなど、キャンセル料がかからない場合もある。
実際に6月から全国の医療機関でキャンセル料が徴収されるのかというと、そうではないようだ。
かわせみデンタルクリニック・中村瞬院長:
普段予約を取る時、予約料を取っている医院がキャンセルになっちゃったら、その予約料の分をキャンセル料として受け取ってくださいという形になるようなんです。
今回、実際にキャンセル料を取れるようになったぞ、じゃあ予約料を明日から取ります、みたいな形でやっていくのは、なかなか難しいのかなというのが、現在のところになると思う。
現在は、キャンセル料の徴収を実際に導入するかどうか、また、その金額などは、医療機関の判断に委ねられている。
街の人の声は
医療機関によるキャンセル料の徴収について、街で聞いてみた。
キャンセル料賛成派:
病院が閉じなくちゃいけないとか、そういったニュースも合わせて見ていたので、キャンセル料を取るという方になってしまうのも、致し方ない部分もあるのかな。
キャンセル料反対派:
すごく優しくない手法ですよね。やむを得ない事情っていうのは、どうしても生きてる限りありますから。
キャンセル料賛成派:
私は賛成派です。例えばワクチンとかですと、無駄になっちゃうケースもあると思うので。
キャンセル料反対派:
私は反対派です。例えば朝、ちょっと子供の具合が悪くて夕方に予約を取っておいて、夕方ぐらいになった頃にはちょっと調子よくなってきたから、じゃあもう、キャンセルしても大丈夫かなってなるときがあるので…。
キャンセル料反対派:
うち子供3人いるんですけど、キャンセル料かかっちゃうと、ちょっと困っちゃうなっていうのは。体調が変わったりとかバタバタして…。
キャンセル料反対派:
ちょうど今育休中で、いろいろ病院に何度か行ってますけど、子供は(キャンセル料が)かかっちゃうと厳しいところあると思います。
キャンセル料の導入により、無断キャンセルが減ることで、医療機関の経営の安定や貴重な診察の枠が、より多くの患者に使われるようになることが望まれる。
(「イット!」 5月27日放送より)
