対照的な中吊り広告…

満員電車で揺られつつ、仕事のことを考えると思わずため息をついてしまう…社会人の多くが一度はそんな経験をしたことがあるに違いない。

そんな時にふと目にするのが電車の中吊り広告だが、阪急電鉄が6月から掲載した「毎月50万円もらって毎日生き甲斐のない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか。」などという広告が批判を浴び、掲載をとりやめた。

その一方で、同じ働く人へのメッセージとして称賛されている車内広告がある。



「阪急の広告がなんとかって流れてきたけど、西武鉄道は労働者を全力で肯定してくれるからみんな西武線に乗ればいいいよ」

とのコメントとともに、おさむ(@oshimsam)さんが紹介したのは西武鉄道の車内広告。

今回注目を浴びた広告。「いつもおうえんしてるからね!」の言葉が見る者にうれしい。
今回注目を浴びた広告。「いつもおうえんしてるからね!」の言葉が見る者にうれしい。
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これは西武鉄道が「コウペンちゃん」とコラボした、「いつもいっしょな はなまるトレインキャンペーン」の広告だが、そのコメント通りに全力で肯定してくれる言葉が並ぶ。

中吊り広告には「出勤してえらい!」「きみのおうえん隊!」「いつもがんばってるのみてるよー!」と働く人を激励するメッセージが書かれていて、さらにドアのところにも「バッグを前にもってえらい!」「ドアの周りを空けてくれたの?ありがと~!」と、とにかくいい気分にさせてくれる。

ドア枠部分にも「ドアに気をつけられてすごい!」などのポジティブな言葉が。
ドア枠部分にも「ドアに気をつけられてすごい!」などのポジティブな言葉が。

それもそのはず、「コウペンちゃん」は、イラストレーターの るるてあさんが生み出した「肯定ペンギンの赤ちゃん」で、人々を肯定し、癒やしてくれることでLINEスタンプなどで人気を博しているキャラなのだ。

キャンペーン自体は3月から始まっていたが、6月10日に紹介されると再び脚光を浴び、「この世の電車すべてどころかバスにも貼って欲しい」「これに乗って泣きそうになってました」「毎日フラフラな電車で見たいのは説教染みた言葉よりも労いの言葉」などと人々の共感を呼び、10万9000件の「いいね!」を集めている。(6月14日現在)

なぜこういったキャンペーンを行ったのか。西武鉄道の広報担当者に話を聞いた。

コウペンちゃんの起用が気づきにつながれば

――「いつもいっしょな はなまるトレインキャンペーン」について教えて?

コウペンちゃんのキャラクター設定、かわいらしいビジュアルなどに注目していたところ、今年に入ってご縁があり、私たちとコラボすることとなりました。

双方で盛り上げようということで、「西武鉄道×コウペンちゃん いつもいっしょな はなまるトレインキャンペーン」の企画が3月からスタートした次第です。

また、キャンペーンでのコウペンちゃんの人気の高さから、マナーアップPRのポスターなどでも起用をお願いすることになりました。

――ポスター起用の理由について詳しく聞かせて?

コウペンちゃんのキャラクターを生かし、マナーの“良い例”を載せることでお客さまの気づきにつなげ、快適に車内をご利用いただけることを目指しております。

実際のポスター。前向きなマナー啓発とともに「きょうもおつかれさま」の言葉も。
実際のポスター。前向きなマナー啓発とともに「きょうもおつかれさま」の言葉も。

――コウペンちゃんの「出勤してえらい!」「ドアの周りを空けてくれたの? ありがと~!」などのコメントは、社内で考えている?

私たちと版権元のスパイラルキュートさまにて、コウペンちゃんらしい前向きな言葉を選定しています。目にする皆さまに向けたものとなっております。


目的は電車のマナー啓発のようだったが、「出勤してえらい!」などのまっすぐなメッセージが、今回の阪急電鉄の騒動でもやもやしていた人の心に刺さったようだ。

西武鉄道の担当者は、「今回のコラボを通じて『お客さまに親しみやすい鉄道会社』だと思ってもらえたらうれしい」と回答してくれた。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。