知事公舎のあり方

5月、初登庁した福井県の杉本知事。初の会見では「若杉の知事公舎は入るのはやめておこうと。全ての事務事業は県民目線で全部見直す。知事公舎のあり方もご議論いただければ」と話した。

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知事公舎は知事が住むための建物で平成の初めまでは、福井県国際交流会館がある福井市宝永にあった。その後、福井市若杉3丁目に移転新築。

知事公舎は、国体が開かれた福井運動公園から約600メートルのところにある。 みどり図書館の隣に位置し、周りの住宅と比べるとひと際広く、敷地面積は約4000平方メートル。

間取りは3LDKの私邸部分と、会議室や応接室を備える公邸部分があり、渡り廊下でつながっている。また、副知事や秘書が住む建物もある。

2017年度の公舎にかかる維持管理費は約600万円で、杉本知事は、知事の私邸と公邸の部分について在り方を議論しようというのだ。

福井テレビ 大久保直輝記者:
知事公舎の中を見せていただける?

福井県財産活用推進課 松井秀幸課長補佐(当時):
セキュリティの観点で見学はご遠慮いただいている

福井テレビ 大久保直輝記者:
県民の財産なので県民も見てみたいと思うが

福井県財産活用推進課 松井秀幸課長補佐(当時):
その時期がきたら見学の場をつくっていきたいと思います

完成直後に公開された過去の映像だ。

知事公舎の認知度、活用法は?

この知事公舎、そもそも福井県民への認知度はどれくらいなのか。100人にアンケートを実施した。
福井県民からは「知ってます。立派なお屋敷という印象」や「家がみどり図書館の近くだから知ってる」といった声が聞かれる一方、「聞いたことない」や「全然知らない」という人も。

知っているかどうか尋ねたところ、100人中62人が「知っている」という結果に。

次に知っていると答えた人のうち、どんな活用法が良いか複数回答で尋ねたところ「学術・教育施設」が良いという人が最も多く、「博物館や美術館」、「カフェやレストラン」と続いた。「現在のまま残す」と回答した人もいた。

他の都道府県ではどうなっているのか調べたところ、47都道府県のうち16の都府県が知事公舎を所有していないことが分かった。

富山県では国文学館に

富山県の例を見てみると2009年、知事が公舎の廃止を表明。改修増築し、現在は富山ゆかりの歌人や作家、文学作品を紹介する「高志の国文学館」として活用している。

図の左側が知事公舎だった部分。

改修され緑豊かな庭やレストラン、研修室がある。

右側は増築された展示スペース。

以前は富山県の職員用の駐車場だった敷地も活用し、富山県民が憩うことのできる芝生広場も整備した。

高志の国文学館 佐藤陽子さん:
年間10万人を超える入館者数で4月下旬に80万人を達成した。展示コーナーや企画内容はもちろん人気だが、日常の喧騒を忘れてゆったり過ごせる場所になっているので、皆様に親しまれていると思う

このほか山梨では、地元の国立大に貸し出して研究拠点に。群馬では大模な公園用の駐車場として活用。奈良では改修して宿泊施設に生まれ変わる予定だ。用途は県によってさまざまで、公舎がある県の一部でも活用法を模索している。

廃止は時代の流れ

こうした状況に、京都橘大学の竹内直人教授は「知事公舎の廃止や別の用途での活用が広がっているのは時代の流れだ」と指摘する。

京都橘大学の竹内直人教授:
3つ要因がある。1つは財政的な問題で大きな公舎を建てたり、維持にもお金がかかるから、財政上の問題で見直されている

竹内教授によると、1、財政の問題に加え、2、知事と住民の距離感が近づいていること、3、民間にも立派な住居があり、通信手段が発達したため県庁のすぐ近くに住む必要性が薄れたことから、知事公舎の廃止や別の用途での活用が進んでいるという。

(福井テレビ)

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