グリーンノートを販売して欲しい
視覚過敏の人がつぶやいたツイートをきっかけにメーカーや取扱店が、短期間で続々販売を決定した迅速な対応がSNSの時代らしいと話題になっている。

きっかけは、6月9日のひとつの切実なツイートだった。
 



私は視覚過敏があるため、白いノートをあまり使いたくありません。ノートの白が光を反射し、鉛筆の線が見にくくなるなるからです。
幼いころから顔を近づけて影を作らないと文字が書きづらく、また、良いノートであればあるほど紙質がよく綺麗な白で、目が痛かったのを覚えています。

そんな中、中学生のときに母が紙が緑のカラーノートを買ってきてくれ、私はその見やすさに驚きました。目が痛くならないし、文字は見えるし、一気にまとめ買いしたほどです。

しかし高校生になってからそのノートを売っているお店は潰れてしまい、今は買い溜めていたノートを使っています。
しかし私はこのノートのおかげで板書が楽になっていたので、ストックが尽きそうな今とても困っています。


通販で売っていないかと調べましたが、カラーノートはかわいいリングノートなどが多く、学校で授業用に使えるものはありませんでした。
今でも文具屋に行くたびに探していますが、なかなかありません。

グリーンノートは私のような視覚過敏の人のためだけではなく、症状のない妹も「目が楽、使いやすい」と言っていました。
なので、もしもこのツイートをノートを取り扱っている会社の人が見てくれたなら、ぜひグリーンノートを作って販売してほしいです。
私は絶対に買いますし、目に優しいので普通の人にもよいと思います。
ソースは不確かですが、緑のノートは集中力が上がるというのも聞いたことがあります...。

ここまで見てくださって、ありがとうございます。どこかの会社が、グリーンノートを作ってくれることを願っています。(全文)

 

このツイートをしたのは、特定の光や色に対してストレスを受けてしまう視覚過敏の症状がある女子高校生ふ〜ふ@fu_fu_zattaさんだ。

このツイートに対し、「私も使っていました」「このツイートをきっかけにグリーンノートが普及するといいですね。」など共感や励ましの声があがり、約5万件のリツイート、約4万7000件のいいねがつく大きな反響となった。(6月19日現在)

そして、“SNSの輪”は企業にも広がっていた。
 



ロフトは、ツイート翌日の6月10日に「抱えていたお悩みが、雑貨との出会いで変わる、こんなに嬉しい事はありません。」とリツイートし、その日のうちに、まずは14日からネットストアで「グリーンノート」を販売することを決定した。
そして、東急ハンズも15日に一部店舗で販売を開始した。

このグリーンノートは元々あった商品を、ツイートをきっかけに再販したものではあるが、このスピード感に「素晴らしい企業だ!」と企業の対応にも称賛の声があがった。

SNSでつながった心温まる話。まずは発端となった投稿者のふ〜ふさんに聞いた。
 

同じ悩みを持つ人の需要を合わせるほうが今の時代実現しやすい

ーーなぜSNSを使おうと思った?

私一人で直接問い合わせし要望を送るよりも、同じ悩みを持つ人の需要(拡散数)を合わせるほうが今の時代実現しやすいかと考えたからです。


ーーこれまで他の方法で訴えたことはある?

具体的な社名は申し上げられませんが、ある文具メーカーにこのような需要があると説明させていただいたことがあります。
また、店舗でもお願いしたことがあると母が言っておりました。


ーーSNSの今回の反響をどう思う?

想像以上に同じ悩みを持つ人などから意見があったので、私だけではなかったんだなと驚きました。


ーーロフトと東急ハンズが販売しているグリーンノートは購入した?

ロフトさんの店舗販売は6月19日からですが、学校があり平日行けないため今度の土日に買いに行こうと思っています。ハンズさんも同様です。

 

SNSというツールを使うことで、同じ悩みを持つ人を結びつけて大きな力にするというのは、今どきの女子高生らしい考え方だった。
そして、今回グリーンノートの販売を迅速に決定したロフトにも、その舞台裏などを広報・高橋さんに聞いた。
 

SNSの声に気づき、できることからまず行動

ーーふ〜ふさんのツイートを見た時に何を思った?

お困りのお客さまに、何かロフトでサポートできないかとまず思いました。
それとともに、率直に、雑貨に出会ってお悩みが軽減されていたという過去のご経験に対しても、雑貨を扱う者としてとても嬉しく、大切にすべきお言葉だと感じたのがきっかけです。

該当のものがなくても、似通った代替え品の扱いがあるかもしれないという考えと、また、ロフトで何かしらの対応ができるのではと思いました。


ーーとても迅速に販売となった理由は?

まず経緯と致しまして、ロフトではお客様が探されていた、B5サイズのグリーンの綴じノートと同じ商品の取り扱いはしておりませんでしたが、弊社の公式ツイッターの担当者が6/10(月)の朝、該当のツイッターを拝見して、出社後バイヤーに内容を共有し相談、代替えでご提案できる商品や、新たな取扱いができないか打ち合わせいたしました。

そこで、まずは弊社でお取扱いをしていたノートで、サイズがA5ではございますが中身がグリーンの綴じノートのご用意があったため、代替品としてツイートにてご提案いたしました。
お客さまがお困りだったということもあり、とにかく早くお伝えしたかったのが一番の想いにありました。

第一報をお伝えするのと同時進行で、バイヤーが投稿の内容をヒントに該当商品に近い商品を探し、弊社のお取引先のアックスコーポレーション様のグリーンノートを発見、午前中には直接お会いできるお約束に。
先様と交渉の末、ロフトで販売することが6/10(月)の夕方頃には決定。

また、打合せの際に現物も持ち合わせていたため、その場で写真を撮り、お客様へ、販売決定のご報告をツイッター上で6月10日(月)にすることができました。

今回商品の販売に至るまでのスピード感は、弊社のツイッター担当者がSNS上の声にすぐに気付いて弊社でできることからまず行動に出たこと、バイヤーがお客様のニーズに早く応えたいと対応してくれたことと、何よりお取引さまであるアックスコーポレーション様のご尽力があってのことだと思っております。


ーー通常だと販売するにはいろんなセクションの許可が必要?

大まかな流れと致しましては、販売する商品の選定、メーカーとの商談を経て、弊社で商品を登録、メーカーに発注、仕入れをして販売となります。
 

光の反射を約14%カット

ーー普通のノートと何が違う?

中の紙が淡い緑色になっており、光の反射を約14%カットしてくれるため(※)、目に優しいと言われているノートです。
そのため、視覚過敏の方に限らず普段白いノートが眩しいと感じている方にもおすすめです。
(※高知県立紙産業技術センター調べ)
 

 
 
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ーー売れ行きは?

ロフトネットストアで6/14~6/17の4日間累計で80冊販売しております。


ーーグリーンノートを販売してから反響は?

ツイッターの投稿主様以外にも、同じようなお悩みを抱えていた方々からグリーンノートの存在を知って、使ってみたい!など嬉しいお声をいただいています。各店にもお問い合わせが入ってきていると聞いております。
そのほか、お悩みだった方の思いがこうして実現してよかったと、優しいお声もたくさん頂戴しました。


ーー迅速な対応への反響はあった?

多くの方に大変喜んでいただけました。
 

ちなみに、今回ロフトで販売している「ダブルリング グリーンノート」は、B5サイズ(430円)、A5サイズ(390円)のほか全部で5種類のサイズがあるという。

SNSをめぐっては、どうしても炎上が話題になることが多いが、こうした困っている人を助けるためにその輪を広げる使い方がもっと増えることを期待したい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。