トランプ支持者の長蛇の列
トランプ支持者の長蛇の列
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トランプ大統領は6月18日夜、フロリダ州・オーランドで2020年の大統領選への出馬を表明し、会場は熱気に包まれた。しかし、その2日前から、会場周辺は大騒ぎとなっていた。トランプ大統領を間近で見ようと、熱狂的なトランプ支持者がテントを持ち込んで長い列を作っていた。

中には40時間以上並んだ支持者も!(フロリダ州・オーランドの会場周辺)
中には40時間以上並んだ支持者も!(フロリダ州・オーランドの会場周辺)

会場周辺は厳戒態勢

会場へ続く道路はスクールバスで遮断する警戒ぶり
会場へ続く道路はスクールバスで遮断する警戒ぶり

出馬表明に合わせてフロリダに取材に入ったFNN取材班は会場周辺の厳戒態勢に驚いた。会場に続く道路はスクールバスを停めて封鎖、上空をヘリが飛び、大勢の警察官が投入されていた。

会場周辺を警備する警官隊
会場周辺を警備する警官隊

さらに、約2万人収容可能な会場に入りきらなかった支持者の為に、外に巨大スクリーンが設置され、万全の態勢を敷いていた。出馬表明という晴れの舞台でいかなる失敗も許されない、そんなトランプ大統領の気迫が伝わってくるようだった。

閑散としたパブリックビューイングエリア
閑散としたパブリックビューイングエリア

しかし、雨期のフロリダの天気は移り気出馬表明当日はバケツをひっくり返したような豪雨がオーランドを直撃した。トランプ大統領は集会前、会場の収容人数2万人に対して、10万人以上の応募があったと豪語していた。

しかし会場の外に設けられた特設エリアで、傘をさして集会の中継を見る人の姿はまばらだった。さらに追い打ちをかけるように、タイミング悪くこの日はシャナハン氏が国防長官の指名を取り下げると発表、9年前に元妻に対して暴力を振った容疑が辞退の背景にあることが明らかになり、出馬表明はフロリダの天気のように“土砂降り”の展開となった。

19日のUSA TODAY シャナハン氏の記事が一面トップ、トランプ大統領の出馬表明は下段に小さく掲載された
19日のUSA TODAY シャナハン氏の記事が一面トップ、トランプ大統領の出馬表明は下段に小さく掲載された

「勝って、勝って、勝ち続ける!」

2万人の熱狂的な支持者が埋め尽くした会場で、間近に見たトランプ大統領の表情は自信を深めているように見えた。民主党の対抗馬バイデン元副大統領を「眠たくなるほどつまらない」とけなし、いつもに増して饒舌だった。

反トランプの旗印となっているCNNが出馬表明の前(6月5日)にまとめた世論調査によると、トランプ大統領が2020年11月の大統領選で再選を果たすと予想する人が54%にのぼった。一方、敗北するとの予測は41%だった。

これはCNNが同時期にオバマ前大統領の再選を予測した50%を上回っている。トランプ大統領を毛嫌いする人たちですら、トランプ大統領が再選することが、より現実味をもって感じられるようになっているのだ。その背景には、アメリカの堅調な経済がある。トランプ大統領の支持率は高くはないが就任以来4割前後を一貫して保っている。また、2016年の大統領選の公約をなりふり構わず実行しようとする姿にワシントンの政治家たちにはない、魅力を感じる国民は少なくない。

そもそも現職大統領は有利と言われるが、トランプ大統領は就任以降集会を60回以上行い、再選に向けて着々と準備をしてきた。彼の集会に行くと、スローガン「WIN WIN WIN!!」「勝って、勝って、勝ち続ける!!」がこだまするトランプ大統領の辞書には「負ける」という言葉はない。

再選できないことはトランプ大統領にとっては「負け」を意味し、勝ち続ける事こそがトランプ流美学なのだ。だからこそ大統領になったその日から、再選することこそが彼の最大の目標となったのかもしれない。

「トランプ狂騒曲」はまだまだ続く

今後、自らの得票につながると考えれば、日米貿易協議や、国境の壁など、内外の批判とは関係なく強硬な手段にも出る可能性がある。

大統領選まであと、1年4か月。
「トランプ狂騒曲」に拍車がかかりそうだ。

【執筆:FNNワシントン支局長 藤田水美】

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ダッチャー・藤田水美
ダッチャー・藤田水美

フジテレビ報道局。現在、ジョンズ・ホプキンズ大学大学院(SAIS)で客員研究員として、外交・安全保障、台湾危機などについて研究中。FNNワシントン支局前支局長。