「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。

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6月に入り、いよいよ就活戦線がスタート!
経団連が定めた「採用選考に関する指針」によると、面接などの選考は6月1日から開始され、10月に内定が出るのが就活の現行ルールだ。

そんな中、先月5月に話題となったのが、「内定辞退」に関するとある記事。
その記事によると、内定を辞退する際は「人事担当者に直接会い、まず内定を出してくれたことへの感謝を述べるべき」だというが…
SNSでは「謎マナーすぎる」「わざわざ会社に時間を作ってもらうの?逆に失礼なのでは…」と困惑する声に加え、「でも実際メールと電話ならどっちがいいんだろう」「“お祈りメール”に対抗して“辞退メール”だけでいいでしょ?」など、「内定辞退」への疑問が続々。

そこで今回のテーマは…

早速、企業などでのマナーコンサルティングや人材育成などのマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。

西出氏:
マナー的にもっとも良い方法は「まずは電話かメールで企業側の意向を伺う」ことだと思います。

内定辞退の方法には

1. アポをとって、直接辞退のお詫びに伺う
2. アポ無しで、直接辞退のお詫びに伺う
3. 電話をしてその旨、伝える
4. 手紙でその旨を伝える
5. メールでその旨を伝える
6. LINEでやり取りをしていれば、LINEで伝える

などが考えられます。

そこで、企業側が「OK」であればどの方法をとっても良く、企業としての明確なルールがない場合は「担当者がどう感じるか」によりますので、一概に「これが正解」とはいえないことですが…

実際に弊クライアント5社に伺ったところ、来社して直接伝えたいと言われる場合、その対応に困るため、断っているという現状がありました。また、メールで申し出のあった場合は、メールの返信に加え、直接電話をかけて、本当に本人からのメールなのか確認をしているという企業もありました。

この対応法は、大企業なのか、中小企業なのかによっても、企業側の意向や反応は様々なのが実状です。

このように考えたときに、マナー的にもっとも良い方法は、やはりまずは「電話かメールで企業側の意向を伺う」こと。

以前は「メールは失礼、電話をすべし」などと言われることも多かったのですが、現代は「忙しい中、電話がかかってくると面倒・メールのほうが文字としても残るし助かる」という声も多いので、まずは辞退の意向メールを送信し「ご迷惑でなければ、直接お目にかかってお詫びをお伝えしたい」とか「お電話にてお話しさせていただくお時間を頂戴できますでしょうか」とか「どのようにすればよろしいでしょうか」など相手の意向を伺うことが良いでしょう。そうすると一方的にならずに申し訳なく思っている気持ちも伝わります。
どのみち、辞退することに変わりはないと思いますので、辞退をするにも、少しでも相手の気持ちを慮る方法で伝えられたらいいですね。



就活の中で「メールよりも電話の方が誠意が伝わる」「直接会って話すべき」といったことを聞いた人も多いかと思うが、企業側にも「電話対応は忙しいのでちょっと…」「メールの方が文字として残るので嬉しい」といった現状があるようだ。
まずはしっかりと辞退の意思を伝えた上で、「どのようにすべき?」と聞くのがよさそうだ。

話題となった「直接会って感謝を伝える」という方法は「直接話したい!」という企業に対しては正解だろうが、すべての企業に対して「絶対に直接会わないとマナー違反!」とは言えないだろう。

西出氏:
何も連絡をしないで、内定式に行かないということですね…
また、入社前の研修などに連絡をしないで欠席し、会社からの連絡にも応答しないなど…


もちろん、いわゆる“バックレ”は絶対にNG!
辞退を伝えるのは気まずい…という気持ちは理解できるが、そっとフェードアウトしてしまおう…というのは失礼にあたるだけでなく、後々トラブルの原因にもなってしまう。

とはいえ、辞退を伝える際「他に内定決まらなかったのですが、これでいいのかずっと迷っていました…」「第一志望じゃなかったので…」「行きたいと思っていた企業から内定が出たので…」などの理由や表現をするのは控えるべきだ。


西出氏:
辞退を伝えるときには、まずは辞退の意向を伝え、理由を訊かれなければ、伝える必要はないでしょう。

もしも、その理由を訊かれた場合は、辞退の理由はそれぞれあると思いますが、家庭の事情であれば、「大変残念でなりませんが」と前置きのクッション言葉をつけて「急遽、実家に戻らなくてはならなくなり…」「家業の手伝いをしなければならなくなりまして…」などの理由を伝えます。大事なことは、「残念である」という気持ちを伝えることでしょう。

それ以外の場合は、「私の勝手で本当に申し訳なく思いますが」という言葉を添えて、企業側が失礼だと感じたり、傷つけるような言葉は避けます。

そして最後は、「内定をくださったご恩は忘れません」などの深い感謝の気持ちを伝えると、よろしいのではないでしょうか。

ちなみに、もちろんNG対応だが、内定者の代わりに保護者が辞退の連絡をする、といったケースも最近は登場しているようだ。


また、内定辞退の方法について就活生が悩んでしまうのは、企業側から内定辞退の方法が明確に提示されていないこともひとつの理由。
売り手市場と言われる中、企業側が内定者を囲っておきたい気持ちはわかるが「もし、内定を辞退する場合には、国内居住者の場合は、簡易書留で内定辞退の文書を送付ください。海外居住者の場合は…」といったルールを提示しておくのも、ひとつの解決法だろう。


西出氏:
内定辞退を伝える際に決まった形はありませんが、大事なのは自分勝手に「こうしておけばいい」という思い込みをしないこと。内定を辞退されることは、企業側の立場にたてば残念なこと。少なくとも、その伝え方は相手の意向を伺う姿勢をみせてほしいものです。
どのようにすれば双方が気持ちよく、また納得できる結果を導けるかを考えることで、社会に出た後に“マナーあるコミュニケーション”ができる人として、幸せに仕事ができるかどうかにも繋がってくることでしょう。

今回の“もやもやマナー”への答えは、自分勝手に突撃!の前に電話かメールで相手の意向を聞くこと。
大事な選択だからこそ、お互いにもやもやが残らないようにしたいですね、キャトウさん。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。