世界初の木製ストロー

ペットボトルや食品の包装などに使うプラスチック製品を廃棄した「プラスチックゴミ」。2017年の国内排出量は903万トンに上る。不法投棄などによって 一部が海に流れ出し、海の生き物が誤って飲み込むなど、生態系に大きな影響を与えている。

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そんな深刻化する環境問題の解決に向け奮闘する一人の女性。岡山市出身で、東京を拠点に活動している環境ジャーナリスト、竹田有里さん。

竹田さんが考案したのが世界初となる「木製のストロー」。原材料は間伐材を含む国産材で、森林保全やプラスチックストローの削減に効果が期待されている。

6月1日、岡山県でも材料の提供先を探す竹田さんは、岡山市南区の木材加工会社を訪れた。

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
これが端材?

木材加工会社SHIN主任 萱高志さん:
そうです。木材を加工した後の切れ端だったり、全部処分する物。量でいうとこれの10倍くらいはある

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
10倍?結構出ますね

木製ストローはスギをはじめ、様々な種類の木で作ることができる。

木材加工会社SHIN主任 萱高志さん:
ストローにするのであれば、木の節は避けた方がいいと思います

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
節は5ミリ以内だったら大丈夫です

厚さ0.15ミリにスライスしたものを巻いて作るため、耐久性などが重要となってくる。

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
これヒノキかな?香りもすごくいいです。色も変わってますね

木材加工会社SHIN主任 萱高志さん:
白い木と赤みのかかってる木が(あります)

実際にスライスした木材で、香りや強度も確認した。

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
どこも産業廃棄物の問題を抱えていて、いい状態のものが受け入れ先がなく、産廃になってしまう。捨てるのにお金がかかってしまう。少額なんですが買い取らせていただいている

木材加工会社SHIN主任 萱高志さん:
僕らもたくさん木材の廃棄が出てもったいないなと思っていたので、今回お話してリサイクル、違った形で再利用できると聞けて良かった

1本約50円とコスト削減が課題

こうした竹田さんの取り組みを知り、木製ストローを使いたいという声も。岡山市北区に、今年2月にオープンしたスムージー店「モアフル」。 店主の橘さんは、店内の装飾に岡山の間伐材を使うなど、木のぬくもりにこだわった店づくりをしている。

モアフル代表 橘将太さん:
今これを使っているんですけど径はこの大きさがいいのでもう少し大きめがいいと思っているんですけど、それは可能ですか?

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
大丈夫です。太さは変えられるので

プラスチックストローが1本約1円なのに対し、すべて手作業で作る木製ストローは約50円。コスト削減が一番の課題だ。

モアフル代表 橘将太さん:
木の香りも少しするしうちのコンセプトとすごく合っている。あとはコスト面と大きさが合えば使わせていただきたいです。こんな小さなお店ですけど僕たちが使うことによって知ってもらうきっかけになればいいなと思う

きっかけは西日本豪雨

木製ストローを作るきっかけとなったのは去年7月、故郷を襲った西日本豪雨だった。

ーー西日本豪雨があって被災地に行った?

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
そうですね。生まれ故郷の岡山と中学高校は広島の学校に通っていたのですぐにかけつけました。適切な森林管理をするためには間伐をしていかないと重みで崩れてしまう。コーヒーチェーン店がプラスチックストローをやめるという報道があったのがきっかけで、何か倒木、間伐材を使って防災にも役立ち、環境にも役立つものをと考えて木のストローだと思ったんです

木製ストローは、賛同する住宅メーカーが量産化に取り組み、5月、新潟で開かれたG20農業大臣会合でも採用された。今後は日本だけでなく、世界の森林保全にも役立てられればという。

環境ジャーナリスト 竹田有里さん:
なかなか機械化するのは難しいですが、まずは機械化して量産化していく。ヨーロッパからも作りたいという問い合わせがあるので、今は日本のいろいろな木を使っていますが、世界各国の間伐材でも使えるのかどうか世界への展開も考えています

(岡山放送)

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