静岡県掛川市に全国からも注目を集める「部活動」があります。

1つの学校ではなく、いろいろな学校から生徒が集まる「地域部活」と呼ばれる取り組みですが、様々なメリットがあるようです。

ダンスや演劇に励む生徒たち。

中学生の部活動です。

部活の名前は「掛川未来創造部Palette(パレット)」。

おととし、全国初の文化系「地域部活」として掛川市で創部されました。

1年生の平尾美月さん。

パレットに魅力を感じ入部しました。

掛川市立西中学校1年生・平尾美月さん 「自分のやりたいものばかりだなと思って、入ろうってなりました。物語とかも好きなので、自分で表現できるのがすごく楽しいです」

市内の中学校に通う平尾さん。

学校では積極的に人前に出るタイプではなく、控えめな女の子です。

文化系の部活への加入を考えていましたが、吹奏楽部と美術部の2つだけでした。

平尾美月さん 「もう1個くらいないかなと。パレットを知ってすごく入りたくなりました」

掛川市の中学校では部活は自由加入制になっていて、学校の部活動とともに地域部活動が紹介されています。

学校に代わり、地域が部活動の受け皿となる取り組み。

導入された背景には学校側の事情もあります。

掛川市立西中学校・窪野清校長 「顧問の負担の問題、専門性の問題、経費の問題など、いろんな問題があって、全て学校の部活動で対応することは難しい」

少子化で部活動の存続が困難になったり、残業など教師の負担が重かったりと、部活動を巡ってはそのあり方が問われています。

こうした悩みも解消する狙いもある「地域部活」。

パレットでは地元のNPOが運営し、長年、文化教育に携わってきた男性が顧問を務めます。

取り組めるのは音楽や演劇、ダンスなどが中心。

費用は一部の教材費を除いて無料です。

7つの中学校に通う1年生から3年生41人が、週に2回から3回活動しています。

平尾さんたちは、新型コロナの影響で延期となったイベントに向け練習を続けていました。

ー演劇の練習ー

「掛川には何もない。だから報徳社を守るのは無理だって言ったのよ。東京みたいにもっと奇抜でかっこよくないと」

「何もない?ふざけるな!」 

披露するのは「遠州報徳と我が故郷」と題した創作劇。

20年後の掛川市が舞台です。

ー自宅での練習ー

「僕は工業系の高校に行って、それから父さんの会社に就職します」

平尾さんが務めるのは、感情をあまり持たない14歳の男の子の役。

自宅での自主練習も欠かしません。

この日もメンバーに手伝ってもらいながら、セリフの練習に励んでいました。

平尾美月さん「(二宮)尊徳は貧しさからの経験と、たゆまぬ勉学が身を結び、見事に生家を立て直すことに成功しました」

メンバー「途中噛んだ。途中すごい噛んだ」 

平尾さんにとっては初めての大舞台。

不安を、練習を繰り返して取り除きます。

そして迎えたイベント当日。

文化庁の幹部も訪れるなど、パレットへの関心の高さがうかがえます。 

いよいよ本番が近付きます。

舞台裏では緊張するメンバーの姿が・・・

迎えた本番。

近未来の掛川で、若者たちが買収が進められる地域の文化財を守ろうと奮闘する物語です。

「私は、どっちの意見も大切だと思う」

「お前はいつもそうだ、人の意見ばっかり気にしやがって。たまには自分の意見も言え!自分をちゃんと持ってないやつに指図なんかされたくない!」

メンバーが書き上げた約30分の創作劇。

終盤に差し掛かり、いよいよ平尾さんの出番です。

平尾美月さん「僕は工業系の高校に行って、それから父さんの会社に就職します。父さんと一緒に、感情を持ち、人に寄り添えるアンドロイドの開発をしたいです。難しいと思います。でも絶対に諦めません!」

精一杯、役柄を演じる平尾さん。

地域の魅力を伝えて、舞台は幕を下ろしました。

「ありがとうございました!!」

掛川市立西中学校1年生・平尾美月さん 「驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。今まで、あまり目立ちたくないタイプだったけど、思いきり自分の好きなことで目立て、すごくワクワクする」

地域部活によって、生徒たちの部活動への選択肢は広がり、これまで以上に充実した学生生活が送れています。

全国初の文科系の部活動。

今後の活動に、注目が集まります。

◆地域部活動◆

地域部活動は、自治体の教育委員会などが定める「部活動ガイドライン」を遵守していることが要件です。

演劇やダンスなど公立中学ではあまりないものも含め子供たちの選択肢が広がること、少子化で廃部になった部活が地域ででできること、さらに、教師の負担軽減などがメリットとしてあげられています。

一方で、運営の担い手や指導者の確保、財源や活動場所の確保など課題も山積みでしす。

文部科学省は2023年度から「地域部活動」として、地域の人材が担う仕組みを

段階的に全国で実施していく方針です。