配車サービスで与論島の良さを
新しい配車サービスを始めたのは東京に本社を置くITベンチャー企業「Azit」。
Azit 須藤信一朗取締役:
「また与論に戻ってきたい」と思ってもらえる体験を提供できるよう頑張っていきたい
海に浮かぶ真っ白な砂浜、百合ケ浜など美しい自然が残る与論島。去年1年間で7万人以上の観光客が訪れた。
レンタカーは充実しているものの7万人もの観光客に対し、島の交通機関はバス1路線とタクシー8台しかないのが現状。
南陸運 南有隆社長:
この業種は二種免許がないと仕事にならない。いくら人手不足だからといっても「誰でもいい」とはいかない
そこで導入されたが配車サービス「CREW」。スマートフォンの専用アプリを使って観光客が、今いる場所と行きたい場所を設定。すると車を所有する近くの住民に連絡がいき、目的地まで送ってもらえる。
ドライバーは事前に研修を受ける必要があり、現在は9人の住民が登録している。登録ドライバーの1人小髙明日香さんは普段、観光協会の職員として働いている。
小髙明日香さん:
マップやネットでは分からない部分も自分たちは分かると思うので面白い話をできたらいい。それで与論の良さ、与論のことを好きになってくれたらうれしい
国内ではこれまで、マイカーでタクシーのようなサービスをする行為は「白タク」行為として道路運送法で禁止されていた。しかし国土交通省は去年3月、「自発的に謝礼が支払われた場合は有償とみなされない」と通達し、離島など交通機関の確保が難しいエリアを念頭に容認する方向に転じた。
新サービス導入はこの通達を受けたものだ。
南陸運 南有隆社長:
初め聞いたときは「白タクだろ」って思った。頭から否定するのは今の時代にそぐわないと思うので、ある程度受け入れてお互い共存できればいい
タクシー会社への配慮もあり、サービスを受けられる時間は午前5時から午前8時まで、期間は観光客が多く訪れる6月から10月までと限られている。料金は1分ごとに約20円のシステム料とガソリン代などの実費、それに乗客の任意で謝礼を支払うことができる。
乗るだけでなく人と人との触れ合い
神奈川県横浜市から来た藤沼勇多さんは宿泊先のホテルでポスターを見てサービスの利用を決めた。
ーーどちらから?
藤沼勇多さん:
横浜からです。昨日到着したばかりで親戚が(奄美の)加計呂麻島に移住Iターンした
海岸に到着した藤沼さんはカヤックに乗り込み午前5時半、海の上で日の出を迎えた。
藤沼勇多さん:
すごい。めっちゃ良い島。ホテル泊まると島の人と触れ合う機会が少ない。CREWを利用すると地元の人と話す機会があるので、単純に車に乗るだけではない。人と人の触れ合いになる
藤沼さんはアプリの決済システムでドライバーに快く心ばかりの謝礼を支払った。ドライバーは島で学習塾を経営する女性だった。
登録ドライバー 田畑香織さん:
始めたときは観光客に与論の良さを知ってもらいたいと思ったが、私の方が気づかさせることが多い
与論に限らず、交通手段の乏しい離島や過疎地で広がる可能性のあるこの新サービスは果たして定着するのか。与論島の挑戦に注目だ。